肉体・恋愛

2015/08/10

先手必笑

 肉は煮え滾る鍋の中に。
 視線と肉欲とのごった煮鍋。
 眼窩は胃の腑に直結し、煮えくり返る腸が高嗤いしている。

As20140924003004_comm

→ 魲 万理絵(Marie Suzuki)作『全人類をペテンにかける』(制作年:2007年/素材:紙に油性ペン) (画像は、「境界線を溶かす芸術「アール・ブリュット」とは?~エシカル百科事典Vol.1~」より) 「アール・ブリュット」と呼ばれたりするけど、そんなことより、絵の迫力に圧倒される。

 眼下の敵は誰だ。それはお前自身。
 たらーりと溢れ零れる涙と汗と涎が、鍋の恰好の隠し味。

続きを読む "先手必笑"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014/12/28

ベルニーニの謎の表情へ

 西欧の彫刻家で有名な人はいろいろいるが、小生は、やや俗っぽい関心からも、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニが一番、気になる。少なくとも小生にも、その素晴らしさの一端は感じられる。
 つまり、芸術性の欠片もない小生にも、その芸術性を感じさせるほどに、凄味があるということだ。

Bernini_l_therese00

← ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ Gian Lorenzo Bernini「聖テレジアの法悦 (The Ecstasy of Saint Therese)」 (1645-1652年 | 383×225cm | 大理石 | 高さ:350cm) (画像は、「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ-主要作品の解説と画像・壁紙-」より)

 ジャン・ロレンツォ・ベルニーニは、小生が説明するまでもない。小生にはそんな能はない。
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ-主要作品の解説と画像・壁紙-」によると、「ピエトロ・ダ・コルトーナと共に、17世紀のイタリアにおいてバロック様式の発展に決定的な役割を果たした初期バロック美術の彫刻家兼建築家。その活躍は画業にまで及び、そのどれもが規範にとらわれない自由で感覚的な表現をおこなう」という。

続きを読む "ベルニーニの謎の表情へ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/03/03

ベクシンスキー:廃墟の美学(後篇)

Zdzislaw_beksinski_1978_2

→ ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より) 何処かフリードリッヒを想わせるかのよう。けれど、徹底して乾いた絶望という名の詩情が漂うのみ。

 ズジスワフ・ベクシンスキーは、「私の絵に定義づけ、意味を問う行為は無意味だ。私自身意味は分からないしね。そのうえ、理屈にはサッパリ興味が無いんだ」と言う。
 だからなのか、彼の作品のほとんど(あるいは全て?)は、「無題」のようである。

 末尾でも示すが、「editions treville - from é.t.art lab - エディシオン・トレヴィル - アート ラボ - ベクシンスキー アーカイブ」は、覗くだけの値打ちはある。

続きを読む "ベクシンスキー:廃墟の美学(後篇)"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ベクシンスキー:滅亡の美学(前篇)

「furiae」の周辺」なる稿を書くため、関連情報をネットで渉猟していて、「ファンタジーアートの世界~美麗系&CG系アーティスト」なるサイトに遭遇。
 どのアーティストも興味深いが、小生の嗜好もあってか、ベクシンスキー(Zdzislaw Beksinski)という名の世界に特に惹かれた。
ベクシンスキーのHP:「Zdzislaw Beksinski 」(Official web site presented by Belvedere Gallery)

411887251

→ ズジスワフ・ベクシンスキー(Zdzislaw Beksinski)著 『ベクシンスキー』(永瀬唯・解説 エディシオン・トレヴィル・発行 河出書房新社) 「死、腐敗、損壊。言い知れぬ寂寥感と恐怖に支配され永遠の廃墟と化した時空。それでも画幅にはエロスの魂だけが虚ろに木霊している。先頃刺殺体で発見されたポーランド孤高の画狂ベクシンスキーの日本唯一の作品集、追悼復刻版!」とか。

ズジスワフ・ベクシンスキー - Wikipedia」によると、「ズジスワフ・ベクシンスキー(Zdzislaw Beksinski、男性、1929年2月24日 - 2005年2月22日)は、ポーランドの画家、写真家、芸術家」として、さらに以下の説明を見出す:

作品では、死、絶望、破損、廃退、終焉などが描かれ、それは不気味さや残酷さと同時に荘厳な美しさを感じさせる。独特の世界観から多くの支持を得た画家である。
[来歴]
ポーランド南東サノク出身。少年時代にナチスのポーランド侵攻を経験している。
祖父や父が建築関係者ということで、クラクフ工業大学建築設計学部に入学、卒業後は建築業務で現場監督をするも不満を抱き、芸術の道へ進む。

続きを読む "ベクシンスキー:滅亡の美学(前篇)"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/10/08

『新撰病乃雙紙』から

0236340

→ 立川昭二著『生と死の美術館』(岩波書店) 目次などは、「moreinfo」にて。

 立川昭二著の『生と死の美術館』(岩波書店)を添えてある絵画画像を眺めつつ読んでいて、本書のテーマならではだが、今度は『新撰病乃雙紙(しんせんやまいのそうし)』なる存在を知った。

2008_1006071003tonai0046

← 畑で収穫したカボチャ。小ぶりのものが二十個ほど。大半は知り合いに提供し、残ったこの五つは、色艶もいいので、玄関に飾った。ハロウィンってわけではないのだが。来訪された方は、こんなものが鎮座していて、さぞかしびっくりされるだろう。

 この「双紙」は、「嘉永三年(一八五〇)幕府の医学館助教の大膳亮道が大阪の画工福崎一寶に描かせた一服の絵巻」で、「ここには、この舌の腫物の女をはじめ、脱肛痔の男、広節頭条虫症の男、蟯虫症の娘、子宮脱の女、老人性失禁症の男など、さまざまな病人の姿が巧みな筆致と鮮やかな色彩で描かれている」という。

続きを読む "『新撰病乃雙紙』から"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/10/03

鰭崎英朋…今こそ大正ロマン!

「夢幻の美“鏡花本の世界”~泉鏡花と三人の画家」:カイエ」なる頁で、鰭崎英朋(ひれざきえいほう)という名の画家に幽霊画のあることを知った。
 文中に掲げてある絵はどれも魅力的だが、特に、鰭崎英朋の『蚊帳の前の幽霊』 明治39年 絹本着色)が気に入ったのである。

2356343_2

← 鰭崎英朋 『蚊帳の前の幽霊』(明治39年 絹本着色) (画像は、「「夢幻の美“鏡花本の世界”~泉鏡花と三人の画家」:カイエ」より。)

 上掲の頁には、ほかにも目を惹く絵が載っている。
 せっかくなので、ちょっとだけネット情報を収集してメモしてみることにした。

 鰭崎英朋は(明治の人だが)、竹久夢二や鏑木清方、高畠華宵らと並び、大正ロマンを髣髴とさせる美人画(挿画)を描いた一人。
どこか耽美で妖艶で都会的な洗練された美意識がもたらされた時代」を象徴する一人で、「美人画・新聞紙上の相撲絵・大衆雑誌や小説の挿絵・口絵などで活躍し、一世を風靡した」人でもある。

続きを読む "鰭崎英朋…今こそ大正ロマン!"

| | コメント (8) | トラックバック (3)

2008/08/16

Perle ペルレ…遍路の旅は六道の闇夜へと

 ネットを好みのタッチの素描(デッサン)を求めて放浪(漂流)していたら、「Perle(ペルレ)」という名の線描作家の作品に遭遇した。

21

→ 「ものをくれたとすればそれは奪うためであった21」 (以下、画像は最後の一枚を除き、何れも「ペルレ」より。)

 幾つか同氏の作品を断りもなく掲載させてもらうが(あくまでネットでの画面で観た印象という限定の上でのこととして)、エゴン・シーレの素描のタッチをどうしても連想させる。

 そんな感想を述べたら、本人は光栄に思うか、迷惑に思うだけなのか。
 チェッとか、アホめ! という舌打ちの音が聞こえてきそう。

 学生時代だったか、エゴン・シーレの世界に痺れて久しい小生、ある意味、ちょっとでもシーレの匂いを嗅ぎ取ると、誤解になりかねないとしても、どうしても、その色眼鏡(偏見?)で見てしまうのかもしれない。
 あるいは、平面アートへの小生の素養のなさのゆえなのかもしれないとも思う。

続きを読む "Perle ペルレ…遍路の旅は六道の闇夜へと"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/18

湯真藤子のユーモレスクワールド

 ARTIST 木村了子(例によって本ブログが形式上、日記でもあるので、勝手ながら敬称は敬愛を籠めて略させてもらう)の「KIMURA Ryoko Art Collections . blog」の各記事をつらつら眺めていたら、「おともだち@blog 湯真藤子」という記事に掲げられている絵に眼が止まった。

 ブログが紹介されている:
湯真藤子YUMA TOUKO Art Works

120228713000416224353

← 湯真藤子『THORN ROSE』(1167×910mm, oil painting, 2007) (画像は、「THORN ROSE 湯真藤子YUMA TOUKO Art Works」より) 本人の弁によると(「THORN ROSE 湯真藤子YUMA TOUKO Art Works」)、「「THORN ROSE」とは「いばら姫」の事で、百年寝てると王子様が助けに来てくれるという、「果報は寝て待て」を体現している、夢の様な話です」とのことだが、詳しくは当該頁のご本人の文章を読んでもらいたい。この絵をひと目見て気に入ったと思ったのだが、案外と彼女の文章に惹かれたような感もなきにしもあらず。
 
 早速、「湯真藤子YUMA TOUKO Art Works」へ飛び彼女の絵の数々を眺めてみる。同時に文章も読む。
 大抵は絵に注意を払っても文章は流してしまうものだが、やはり作者の弁となると一味違う。批評の次元に留まらず、実作者の感性というものが滲み出てくる。

続きを読む "湯真藤子のユーモレスクワールド"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/12

西牧徹…ラブドール幻想

 西牧徹(の世界)は、例によって(?)「vanilla-gallery 西牧徹展 黒戯画源展」で知った。
 一度でも見てしまうと、言葉に成らないものの彼の絵は脳裏にハッキリ刻み込まれてしまう。

Top1

← 「西牧徹-黒戯画世界」の表紙画像。

(「タナトス6通信 b◆2007.9.2◆-b西牧徹 超舌トークショウ」参照。)

西牧徹-黒戯画世界 Blacken Caricature-Toru Nishimaki」の中の「西牧 徹 プロフィール」によると:

1964年東京生まれ。少年・少女と玩具・食物などをモチーフに鉛筆画を制作。2003年に自らの作品を「黒戯画」と名づける。この「黒戯画」は“艶画”と“福画”に大別され、性幻想に基づくもの、キエムクーとその仲間たちの日常と冒険を描いたもので、ユートピア絵画という点で同一線上の世界となっている。

 最初は、少女幻想というか性幻想の画に惹き付けられ、覗いていくと、そこには「キエムクーとその仲間たちの日常と冒険を描いたもの」も一つの世界として描かれていて、二つの世界にやや戸惑う。
 でも、というか、しかも、「ユートピア絵画という点で同一線上の世界となっている」!

続きを読む "西牧徹…ラブドール幻想"

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/01/02

宮沢賢治から昇亭北寿へ飛びます!

宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」をベースに配信している「宮沢賢治 「Kenji Review」」というメールマガジンを愛読している。
(メルマガ配信と同時に(相前後して)、ホームページにもメルマガと同じ文面が載るようだ。)
 このメルマガ(記事)の内容は、今回は特に小生にはタイムリーだった。好きな宮沢賢治の話題であり、且つ我がブログでも時折採り上げている、これまた小生の好きな(浮世絵)版画と賢治との関わりを話題の俎上に乗せてくれているのである。

19

→ 昇亭北寿『江之嶋七里ヶ濱』(1818~29) (画像は、「江の島の浮世絵 昇亭 北寿」より。HP:「江の島(江ノ島)マニアック」) 以下に続くどの作品(一枚は除く)についても言えることだろうと思うのだが、現代の刷師らの手で改めて刷り直してもらったなら、さぞかし見栄えがまるで違うことだろうにと思う。画像で目にするものとは、多分、江戸の世に刷って売りに出された色合いとは随分、違うのではなかろうか。

2007.12.22 第461号(「松の針」) 」では、まず同人誌仲間である保阪嘉内宛ての手紙が紹介されている。
 この手紙の文面がまた興味深いが、ここでは勿体無いが素通りする。

続きを読む "宮沢賢治から昇亭北寿へ飛びます!"

| | コメント (2) | トラックバック (0)