妄想的エッセイ

2015/08/12

深井克美 あるいは 愚よ、愚よ、汝を如何せん

 我が畏敬の対象である、小林孝至(たかゆき)さんの「絵画錬金術師ドクターカオス(@takayuki419)さん Twitter」を眺めていたら、なんと深井克美の世界が紹介されていた。久々の再会。

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→ 「1976 2時37分」 (画像は、「~ 命を削って ~  深井克美の描く世界  漂えど沈まず、風に訊け  つれづれがたり」より)

 もっとも、本ブログにて、昨年、「ダーウィンやら深井克美やら台所やら」(2014/09/24)なる拙稿を書いている(ただ、その時は、さっと触れているだけ)。
 ただ、彼の世界に初めて出会ったのは、三十年ほども昔。東京で各地の美術展を観て回り、美術関係の情報を熱心に摂取していた頃のこと。

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2015/06/26

メリッサ・マクラッケン あるいは豊饒なる共感覚の世界

ディープタイム

 浮べる脂の如くして、くらげなすただよへる時……

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← Melissa McCracken 「David Bowie – Life On Mars?」 (以下画像は全て、「I See Music Because I Have Synesthesia, So I Decided To Paint What I Hear Bored Panda」より。そこには、「I See Music Because I Have Synesthesia, So I Decided To Paint What I Hear 」とある。)

 夢の世界に居る。真っ青な海の中。自分が海の真っ只中にいて、時に浮かび、 時に潜って行く。
  そう、潜って行くのである。決して沈んでいくわけではない。なぜなら、不 思議な浮遊感が自分の体を満たしているのが分かるからだ。海の水が体を浸潤 している。目の玉にも耳の穴にも鼻の穴にも、尻の穴からだって、尿道口から でさえ、水は遠慮なく入り込んでくる。

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2012/05/01

エロスの罠

 エロティシズムへの欲望は、死をも渇望するほどに、それと も絶望をこそ焦がれるほどに人間の度量を圧倒する凄まじさを 持つ。快楽を追っているはずなのに、また、快楽の園は目の前 にある、それどころか己は既に悦楽の園にドップリと浸ってい るはずなのに、禁断の木の実ははるかに遠いことを思い知らさ れる。

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 快楽を切望し、性に、水に餓えている。すると、目の前の太 平洋より巨大な悦楽の園という海の水が打ち寄せている。手を 伸ばせば届く、足を一歩、踏み出せば波打ち際くらいには辿り 着ける。

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2011/02/06

アウトサイダーアート…あなたはもう帰れない

 ちょっとだけ、心と目の辺境を散歩。但し、心の塀の内側をなぞるように、用心しつつ。マージナルマン、ビートルズ風に言えば、「NOHERE MAN」らしくね。

 ジャン・デュビュッフェやフォンタナらに付いては、その周辺を幾度となく巡っている。

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→ アドルフ・ヴェルフリ開かれた迷宮、閉ざされた迷宮」より

 例えば、「三人のジャン…コンクリート壁の擦り傷」が比較的最近の記事かもしれない。

 この記事の中で、知的障害者による<創造>の世界のことを若干、話題にしている。
 せっかくなので、この機会に多少なりとも紹介しておきたい。
 紹介と言っても、ネットで見つかる限りでの画像で彼らの世界を感じ取ってもらえたらそれでいい。

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2009/09/21

バシュラール『水と夢』の周辺

 ガストン・バシュラール/著『水と夢 物質的想像力試論』(及川馥/訳 叢書・ウニベルシタス 898  法政大学出版局)を昨日、読了した。

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→ ジョン・エヴァレット・ミレー 『オフィーリア』 (1851-52 テート・ギャラリー(ロンドン)蔵) (画像は、「ジョン・エヴァレット・ミレー - Wikipedia」より) 拙稿「ハムレットとスミレとオフィーリアと」参照。水とオフィーリアとの関連付けも本書でされている。

 以前、読んだことがあるはずなのだが、印象が薄れている。
 昨年末、刊行されて間もない本書を図書館の新刊本コーナーで見つけ、慌てて手に取り、借り出したものだった。

 その前には、ずっと昔、三十年ほども過去のこと、学生時代か、卒業して間もないアルバイト生活時代だったか、『水と夢  副題 物質の想像力についての試論』(著者 ガストン・バシュラール  訳者 小浜俊郎、桜木泰行 国文社)版にて、読んだというより、眺めたかすかな記憶がある。
 読んでも、さっぱり理解が及ばなかった、情けない記憶だけは残っている。

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2009/01/08

アンヌ・バシュリエ(Anne Bachelier) アリスワールド?

Anne Bachelier-armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム]」という頁で、Anne Bachelierという名の個性的なフランスの画家を見つけた。
armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム]」なるブログは、少なくとも小生のサイトではもう馴染みのサイトになっている(と思う)。

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↑ Anne Bachelier 「C'est un matin si calme」 (Oil on Canvas (Diptych) 7” x 19” 2006) (画像は、「Anne Bachelier at CFM Gallery」より)

Anne Bachelier」についての情報は小生は持ち合わせていない。
 なので、ネットが頼り。
 そもそも、Anne Bachelierは、日本語ではアンヌ・バシュリエと表記していいのかさえ、分からない。

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2008/09/18

浅草サンバカーニバル幻想

謝肉祭 - Wikipedia」によると、「謝肉祭(しゃにくさい)とは、カトリックなど西方教会の文化圏で見られる通俗的な節期」で、「仮装行列やパレードが行なわれたり、菓子などを投げたりする行事が行なわれる」とか、語源については、「カーニバルの語源は、一つにラテン語のcarne vale(肉よ、さらば)に由来するといわれる。ファストナハトなどは「断食の(前)夜」の意で、四旬節の断食(大斎)の前に行われる祭りであることを意味する」とか、あるいは「この農耕祭で船を仮装した山車であるcarrus navalis(車・船の意)を由来とする説もあ」ったりする。

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↑ 以下、ピーテル・ブリューゲルの絵画を除き、画像は全て、batoさんの「コンデジ画像館 (浅草サンバカーニバル)」内にある、「浅草サンバカーニバル(2008)スナップIndex」より。撮影は一部を除いてFinePix S100FS。大きな画像で見てみたい!

 後者の語源(説)がどれほど妥当性があるのか、小生には判断が付きかねる。
 ただ、リオや浅草のサンバカーニバルで、アレゴリア(山車)が一つの呼び物(見物)であるのは、根拠のあることだし(浅草サンバカーニバルの出場規定の一つなのは別儀としても)、むしろ、花形であり、もっともっと注目を浴びていい出し物だと理解すべきなのだろうと思う。

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2008/09/12

林アサコ…野蛮なるメルヘンの世界

 先月27日にアップした拙稿「西牧徹の黒戯画的ユートピアとロリータ文化」なる記事の中で簡単に触れていた「林アサコ」という名の画家のことが気に掛かっている(以下、敬愛の念を籠め敬称は略させてもらいます)。

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→ 本稿の主役「林アサコ」!(西牧徹撮影) 目の力。猫より強烈! 男どもの欲望は勿論だが、女自身の本能だって見逃さない ? ! 獣欲とロリータとはメビウスの帯の面の如く同じ地平にあるのかも。

 林アサコが西牧徹を作品も含め魅了し、ついには西牧徹の写真でモデルを務めていることなどは上掲の記事にも書いた。

 が、林アサコの小悪魔的ワールド(大人が勝手に小悪魔めってって焦れているのだが…って、林アサコも立派な大人なんだけど)を巡って、そのうち改めて採り上げたいと思いつつ、あれこれあってのびのびになっていたのだ。

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2008/08/27

西牧徹の黒戯画的ユートピアとロリータ文化

西牧徹…ラブドール幻想」なる雑文を書いたことがある。
(以下、例によって敬愛の念を籠め、勝手ながら敬称は略させてもらう。)
 某サイトで西牧徹の小さな作品画像を見つけ、気になりネットでチェックしてみら、とても個性的な世界だったので仕立てた記事である。
 ユーモラスであり、児戯的であり、エロチックであり、そして画家自身が唱えるように、ユートピア幻想世界の色彩を帯びていることを感じた。

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→ 黒戯画の艶画「肖像のガーネット」(2008) 惑溺の世界へ誘い込む蠱惑的な瞳。無垢なようでいて存在そのものが挑発的な、玉の肌の肉体。画像をクリックしたら拡大するが、その画像をさらに嬲ると、ああー、弾けちゃった!(画像は、西牧徹本人よりの提供)

 西牧徹の作品や同氏についての大よそのことは上掲の記事で書いたので、今日は別の話題を。
 同氏のワールドには二つの世界があるようで、前稿でも転記したが、下記の如し:

少年・少女と玩具・食物などをモチーフに鉛筆画を制作。2003年に自らの作品を「黒戯画」と名づける。この「黒戯画」は“艶画”と“福画”に大別され、性幻想に基づくもの、キエムクーとその仲間たちの日常と冒険を描いたもので、ユートピア絵画という点で同一線上の世界となっている。

 このたび、バルセロナの画廊「ARTZ 21 ""ARTSTORE & CULTURAL EVENTS""」にて今秋10月から11月に掛けて催される展覧会に出品することが決まったそうで、今回は「黒戯画の艶画(エロスをモチーフにしたもの)のみを出展」するとか(冒頭の画像を参照)。

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2008/06/28

クロード・モネ…「睡蓮」未満

 梅雨 → 紫陽花 → 水仙 → 睡蓮 → クロード・モネ…といった連想が働いたわけではないが、今日は断固、モネである。
クロード・モネ - Wikipedia」によると、「クロード・モネ(Claude Monet, 1840年11月14日 - 1926年12月5日)は印象派を代表するフランスの画家。「光の画家」の別称があり、時間や季節とともに移りゆく光と色彩の変化を生涯にわたり追求した画家であった」という。

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← クロード・モネ作『かささぎ(La Pie)』(1869年 89×130cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)) (画像は、「クロード・モネ-かささぎ-(画像・壁紙)」より。)

 まあ、今更小生如きがモネを紹介するまでもない。
 ここではただ小生の好きなモネの垂涎の作品を幾つか、ネット上で鑑賞しようというだけである。

 好きな画家モネを今までメモ程度にしろ扱わなかったのは、温存というほかない。

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