書籍・雑誌

2011/06/05

ウエルベック著『素粒子』と文学の命

 ミシェル・ウエルベック著『素粒子』(野崎 歓訳、筑摩書房刊)を読了した。フランスでベストセラーになり、様々なスキャンダラスな物議を醸し出したという本書は、既に読まれた方も多いだろう。

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← ミシェル・ウエルベック著『素粒子』(野崎 歓訳、筑摩書房刊) 「人類の孤独の極北に揺曳する絶望的な“愛”を描いて重層的なスケールで圧倒的な感銘をよぶ、衝撃の作家ウエルベックの最高傑作」だって。

 文学に疎い小生は、昨年末、近所の図書館で年末年始の休暇中に読む本を物色していて、本書を見つけた。全くの未知の本だった。その前にG・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を手にしていたのだが、他に何かずっしり来る本はないかと探していて、単にタイトルに魅せられて、ちょっと手を伸ばしてみただけのつもりだった。書評などで採り上げられていたのかどうかも、まるで知らなかった次第なのである。
 パラパラと捲ると、文章に力がある。これは読んでもいいというサインだ。

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2011/05/27

多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者:ドナルド・コクセター

 過日、ブログ日記でも紹介していた、シュボーン・ロバーツ著の『多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者』(糸川洋 訳 日経BP書店)を本日(27日)、読了。

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← シュボーン・ロバーツ著『多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者』(糸川洋 訳 日経BP書店) 「幾何の美しさを追求し芸術家、建築家、物理学者からも認められたイギリス・カナダで活躍の数学者(ドナルド・コクセター)の生涯。2008年アメリカ数学会のオイラー賞受」といった本。

 かなり高度な数学の本、でも、著者もだが、特に訳者も高校で数学に辟易した口。
 それでも、苦労せずに訳せたという。

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2011/01/18

サイモン・シャーマ 著『レンブラントの目』の周辺(前編)

 サイモン・シャーマ 著の『レンブラントの目』 (高山 宏 訳 河出書房新社)を数日前、読了した。
 読み通すのに一ヶ月以上を費やした(というか、楽しませてもらった)。

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← サイモン・シャーマ 著『レンブラントの目』 (高山 宏 訳 河出書房新社)

17世紀オランダ、宗教戦争の渦中で育った神童は、どのようにしてルーベンスを越えて超絶芸の画家となったのか。その生涯と時代の全てにせまるレンブラント伝にして絵画論最高の超絶作」というから、まさに、この間、レンブラント(とルーベンスら)の世界にどっぷり浸っていたわけである。

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2010/10/23

サイエンス・イメージは美しく楽しい!

 いつの頃からか、ジョン・D. バロウの著書のファンになった小生、目に付いたら即、手にし、分からないところがあろうと、強引に読んでいく
  ジョン・D. バロウ著『美しい科学〈2〉サイエンス・イメージ』(桃井 緑美子【訳】 青土社)も、迷わず手に取った。

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→ 「マンデルブロ集合(Mandelbrot set)」  「マンデルブロ集合」とは、「複素平面上の集合が作り出すフラクタル」。その集合を画像で見ると、「ヒョウタンのような図形の周囲に自己相似的な図形が無数にくっついた形状をしている」。「どんなに細かい部分でもかならず全体とそっくり同じ形をしている」!「マンデルブロ集合はジュリア集合に対する指標としてブノワ・マンデルブロによってつくり出されたもの」だが、そのマンデルブロ氏も、過日、亡くなられたばかり。小生がこの図像(集合)に初めて出合ったのは、(ご他聞に漏れず?)ジェイムズ・グリック 著の『カオス―新しい科学をつくる 』( 大貫 昌子 訳 新潮文庫)においてだった。とても読みやすい、且つ面白い本で、カオスやフラクタクルの世界を垣間見ての衝撃は今も鮮明だ。

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2010/09/22

メデューサとしてのクラゲ?

 一昨日の日記の冒頭で、「ある本を読んでいたら、「メデューサ(メドゥーサ)」という言葉に久々に出合った。ギリシャ神話に出てくる魔物である」と書いている。
 せっかくなので(?)、当該の本の関連の記述を本ブログに転記しておきたい。

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← ユージン・カプラン著の『奇妙でセクシーな海の生きものたち』.(土屋晶子◎訳 インターシフト)


 格別な意図はない。あくまで個人的な興味であり、今後のため(になるとは到底、思えないが)メモしておきたいのである。

 今、読んでいる本とは、 ユージン・カプラン著の『奇妙でセクシーな海の生きものたち』.(土屋晶子◎訳 インターシフト)である。

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2010/09/18

『数学者のアタマの中』やら『コズミック・イメージ』など

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← D.ルエール著『数学者のアタマの中』(冨永 星【訳】 岩波書店)

 過日、図書館の数学のコーナーを物色していたら(新入荷本のコーナーにめぼしい本がなかったら、この書架は必ず物色する)、D.ルエールという、耳馴染みの名前の著者名が。
 見ると、D.ルエール著『数学者のアタマの中』(冨永 星【訳】 岩波書店)とある。
 何年か前、同氏の『偶然とカオス』という本を読んで面白かったという印象があり、迷わず手に取り、借りた。
 今は気忙しくてあれこれ読めないので、本書に遭遇したのを幸いとして、他には何も借りずに帰宅の途へ。

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2010/09/16

『身体の歴史』や『感じる脳』など

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← A・コルバン/J-J・クルティーヌ/G・ヴィガレロ 監修の『身体の歴史 Ⅱ 19世紀 フランス革命から第一次世界大戦まで』(小倉孝誠 監訳 藤原書店)

 図書館の新入荷本のコーナーにあった、A・コルバン/J-J・クルティーヌ/G・ヴィガレロ 監修の『身体の歴史 Ⅱ』(小倉孝誠 監訳 藤原書店)は、大部の本で読みきるのは困難に思えたが、身体への関心は一方ならぬものがあり、躊躇いつつも借りてしまった。

 一部の章は読み飛ばしたものの、大半の章は興味津々で読了。

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2010/06/22

ディラン・トマスあるいは愚者の夜

 以下に示すのは、19歳のとき、ディランは、ある詩が新聞紙に掲載された。同紙である人物が詩の大賞を受賞した。この書簡はディランが受賞を祝う手紙を書き送った、その一部である。
 

一二、僕の人生。一段落の感動的な自伝
 僕は、グラモーガンの別荘で、初めて日の光を見て、ウェールズ訛とメッキ工場の煙突から立ち上がる煙の恐怖の真只中で育ち、愛らしい赤子となり、早熟な子どもとなり、反抗的な少年となり、病的な若者となりました。僕の父は教師でした。これほど寛容な人を僕は未だかつて知りません。母はカマーゼンシャーの奥まった農村の出です。未だかつて会ったこともない、理屈を並べ立てる女性です。僕のたった一人の姉は足の長い女生徒らしさ、丈の短いドレスを着たお転婆らしさ、社会的俗物根性の段階を経て、落ち着いた結婚生活に入りました。僕は小学校の低学年で初めてタバコ(ボーイ・スカウトの大敵)を知り、中学校の上級生の時にアルコール(魔王)を覚えました。詩(オールドミスの友)が初めてそのヴェールを取り去って自らの姿を僕に晒したのは、僕が六、七歳の時でした。彼女は依然として僕のところにいます。時には、彼女の顔に古い受け皿のようにひびが入っていることもありますが、二年間、僕は新聞記者をしており、霊安室、自殺のあった家々――ウェールズでは自殺がとても多いのです――、そしていくつかのカルバン派の「礼拝堂」を毎日訪問していました。二年で十分でした。僕は物を書く以外は何もせず、時折『いかにして演じないか』という演劇の解説で、わずかばかりのお金を得ています。ある人間嫌いの医師は、僕の眉毛の整え方が気に入らなかったらしいのですが、僕に余命四年を宣告しました。あなたのあのひどい表現をお借りして――実際にはあなたの表現ではありませんが――彼の耳元で「まさか」とささやきたいものです。

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2010/05/28

草刈民代写真集『バレリーヌ』新聞広告写真を巡って

[2010年04月21日]
昨日、朝日新聞朝刊をパラパラ捲っていたら、一瞬、目を疑うような写真が。
何頁目かの一面を使って、草刈民代さんの全身ヌード写真が載っていたのだ。

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→ 20日付け朝日新聞朝刊に載っていた21日発売の写真集「バレリーヌ」(幻冬舎)の広告 (画像は、当該の広告を小生がデジカメで撮ったもの。綺麗な写り具合でなくて申し訳ない。同時に思うのは、新聞という性格柄、写真の真ん中で折込の痕があること。写真に対し、モデルの草刈さんに対し、ちょっと惜しまれる気がする。)


「昨年4月にバレリーナを引退し、女優に転身した草刈民代(44)が21日発売の写真集「バレリーヌ」(幻冬舎)で一糸まとわぬ裸身を披露」だとか。
(「草刈民代 集大成として全身ヌードを披露 - Ameba News [アメーバニュース]」参照)


フルヌードで、乳房も写されている。
公共性の高い新聞で、こんな広告が載るのかと妙な懸念。

でも、鍛え上げられた見事な肢体。
まさにアスリートのような無駄のない体。
抜群のプロポーションといった表現で形容できるレベルを遥かに超えている。

トップダンサーとは、かくも過酷なものなのかを痛感させる。

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2010/05/11

『悲しみのダルフール』のこと

 ハリマ・バシール/ダミアン・ルイス著『悲しみのダルフール』を読了した。素晴らしい本だった。期待を遥かに上回る。
 副題に「大量虐殺(ジェノサイド)の惨禍を生き延びた女性医師の記録」とあるが、本書の内容は副題で想像されるよりずっと豊か。

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← ハリマ・バシール/ダミアン・ルイス著『悲しみのダルフール』(真喜志順子訳 PHP研究所)

 とにかく語り手の女性(ハリマ)の木目細かで愛情溢れる観察力に基づく記憶力で語られ、情景が鮮やかに浮かんでくる。
 ハリマの語り口が実にいい。

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