音楽

2010/03/15

千住真理子とアインシュタインのヴァイオリン演奏と

 先週、本の返却と借り出しに図書館へ行った。
 受付カウンターの手前に新入荷本のコーナーがあり、返却の前にザッと眺めたら、寺田寅彦という名前が目に飛び込んできた。
 彼の著書ではなく、彼に付いての本。
 借りるかどうかは別にして、とりあえず、ゲット(…じゃなく確保に過ぎないが)し、カウンターへ。
 寺田寅彦(の随筆)のファンである小生、長年住み暮らした東京から帰郷のため引越しをした際にも、寺田寅彦の全随筆(全部で六巻)だけは死守したものである。

 さて借りた本とは、下記である。

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← 末延 芳晴 著の『寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者』(平凡社)

 内容説明によると、「欧化の明治・大正・昭和になって、日本が誇る「知性」とは何か?地球物理学者としての独創的な業績によって名を轟かせ、漱石門下、その文才を謳われた巨星・寺田寅彦。今も魅了してやまない、このマルチな創造的精神の核心の秘密に、「音」「音楽」という視覚から迫る画期的論考」といった本。

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2010/02/15

マイルス・デイヴィスの絵画へ(後篇)

 本書を読んで、ジャズやロックなどいろんな音楽家のデイヴィスとの関わりを知ることができて面白かったが、ある意味、小生が本書で一番、関心を呼び起されたのは、「絵画における共同制作者」という副題の付された「ジョー・ゲルバード」の章だった。
 まず、このジョー・ゲルバードという画家・宝石商なる女性が謎めいている。

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→ テオドール・ジェリコー(Théodore Géricault)『エプソムの競馬』 (画像は、「テオドール・ジェリコー - Wikipedia」より。本画像を掲載する理由に付いては、本稿転記文を参照のこと。とはいっても、小生は平野の説明を読んでも『メデューズ号の筏』で有名なジェリコーを引き合いに出す必然性は今ひとつ、よく理解できなかったが…)

 が、その前に、マイルスが、一九八〇年頃から絵に凝り出し、コレクターでもあったのはともかくとして、トランペットを吹くか絵を描いているか、といった状態になったという事実が気になる。
 マイルスがどんな絵を描くのか。
 彼に影響を与えたジョー・ゲルバードとはどんな女性であり、どんな絵を描くのか。

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2010/02/14

マイルス・デイヴィスの絵画へ(前篇)

[本稿は、「マイルス・デイヴィスの絵画へ(序)」の続きです。]

「マイルス・デイヴィスは、常に新しいジャズを創造し、同時に多くのミュージシャンを育てた、まさに“ワン・アンド・オンリー”の存在であ」り、「パーカー、コルトレーン、ハンコック、ジミ・ヘンドリックス、マイケル・ジャクソンら、21人から迫る」ことで、「「帝王」の真実」」を浮かび上がらせようという本。

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← 小川隆夫/平野啓一郎【著】『マイルス・デイヴィスとは誰か―「ジャズの帝王」を巡る21人』(平凡社新書 (2007/09/10 出版)) (画像は、「小川隆夫のJAZZ blog 『 Keep Swingin' 』 2007-08-29 9月の新刊(その2)~『マイルス・デイヴィスとは誰か』」より)

 マイルス・デイヴィス像を当人にフォーカスするのではなく、外堀から埋めていくことで、自然にマイルス・デイヴィス像を掘り出していこう、削りだしていこう、というわけである。
 ジャズにもロックにも(クラシックにも)疎い小生だから、読み話、紹介されるエピソードの数々はひたすら興味津々だった。

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2009/10/30

「之を楽しむ者に如かず」!

 世に音楽が嫌いだという人は少ないのではなかろうか。
 音楽ということで、どんなイメージや人や曲を思い浮かべるか、同床異夢ではあろうが。

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← 吉田秀和/著『之を楽しむ者に如かず』(新潮社 2009/09/30刊)

 小生にしたって好きか嫌いかと言えば、好きである。
 というか、断然、好きである。

 しかしながら、人との比較において、我輩が段違いに好きかと問われると、返答に窮する。
 音楽が好きということに嘘偽りがあるわけではない。

 まあ、そもそも人と音楽を享受する生活の如何を比較することにどれほどの意味があるのか、という反論もありえよう。

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2009/09/24

沈黙の宇宙に響くハープの音色

 読書も音楽に聴き入ることも侭ならない日々が続いている。
 それでも、週に一枚の割で、CDを借りてきて、束の間の時であれ、曲を流しておく。

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← 『花一輪~彩愛玲ハープの世界』(キングレコード)

 空疎で殺風景な部屋を満たすために…ではなく、多くは、こうしてブログ(日記)を綴る際に、流したままにしておく。
 ロッキングチェアーに腰を沈めて、ゆっくり聴き入りたいところだが、まあ、ながらの形で曲を楽しむのも、やむをえないだろう。

 今、借りて聴いているのは、図書館のCDコーナーを物色していて、たまたま目に飛び込んできた彩愛玲さんのCDである。
 かねてより、ハープの曲を聴きたくて、視聴覚コーナーを訪れるたび、物色するのだが、ハープのCDはなかなか見つからない。
 それが、誰か知らない方のCDであれ、ハープという活字が躍っている(ように見えた)ではないか。

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2009/08/16

カストラートについて

 個人的な関心もあって、アルマン・マリー・ルロワ著『ヒトの変異  人体の遺伝的多様性について MUTANTS』(監修上野直人 訳者築地誠子 みすず書房)を読んでいたら、カストラートという呼称に遭遇した。
 カストラートという音楽史上の存在については、小生には、多分、初耳の言葉だが、オペラなどクラシック音楽ファンにはあるいは馴染みの、常識に属する言葉なのかもしれない。

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← アルマン・マリー・ルロワ著『ヒトの変異  人体の遺伝的多様性について MUTANTS』(監修上野直人 訳者築地誠子 みすず書房)

 本書は、「その昔、重い奇形をもつ人々は「怪物」とみなされた。いま、奇形は遺伝子の働きを知るうえで、貴重な手がかりとなっている。その間には体づくりの謎をめぐる、数百年にわたる混乱と探究の歴史があった」といった本。
 小生には単なる好奇心ではすまない内容の本。

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2008/11/10

「川中美幸コンサート」へ(後篇)

[本稿は、「川中美幸コンサート」へ(前篇)」に続くものです。…でも別に前篇を読まなくても支障はないけどね。]

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← 白っぽい和服から、真っ赤なドレスへ衣裳替え。歌も演技も上手いが、トークが絶妙だということを知った。オヤジギャグも交えてみたり。富山を歌った歌って、ありますと観客に聞く。「風の盆恋歌」といった曲名が出てくる。そこから、富山を代表する食べ物を観客に聞く。鱒の寿司、白エビ、ブリ…。彼女には「金沢の雨」という曲がある。こうしたネタを仕込んだ富山の歌も作りましょうか、なんて話もしていた。ただのサービストークだったのだろうか。

 そうした誤解も含めて歌はヒットする。正解など、正確な理解などありえるのかどうかなど小生は分からない。
 ジャズを日本固有のジャンルの音楽だと見なす人など居ないだろうけれど、日本人が歌ったり聴いたりしたら、もうその時点で日本人なりのテイストに加味され、案外と演歌や歌謡曲を聴いている年輩層と、同じような心持で音楽に浸っているってこともありえないではない気がする。

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2008/11/09

「川中美幸コンサート」へ(前篇)

 昨日の写真日記「写真日記…土に近いかもしれない生活(後篇)」の前書きにも書いたが、「オーバード・ホール」(富山市芸術文化ホール) が会場の)「川中美幸コンサート」へ行ってきた。

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→ 開演数分前の会場。幕が開く直前には五階まである会場内はほぼ一杯になった。演歌の根強さってのが日本にはある。会場は年輩の方たちばかり。小生が一番若い方だったりして。

 小生は(日本の)男性歌手だと、春日八郎、三橋美智也、村田英雄、石原裕次郎…といろいろいる。
 女性歌手だと、美空ひばりや香西かおりとか、竹内まりや、高橋真梨子、今井美樹…といろいろ。
 この中で、現役時代は(生存していた頃は)嫌い…か、敬遠気味だったのが、亡くなられてから好きになった歌手もいたりする。
 その代表格が、春日八郎、三橋美智也、村田英雄、美空ひばりといった面々。

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2008/10/01

ソプラニスタ岡本知高!

 過日、車での営業中、岡本知高(おかもと ともたか)という声楽家の存在を知った。
 ファンならずとも音楽に詳しい人、テレビやラジオなどでクラシックなどの番組を視聴(聴取)されるような方ならとっくに知っている方のようだ。

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← 「岡本知高/ソプラニスタ・ザ・ベスト」 (画像は、「岡本 知高 「ソプラニスタ」ディスコグラフィー」より。) ソプラニスタというより、ソプラノソリストと呼称すべき?

 例えば、「牡丹と薔薇 」というテレビドラマで、「岡本の『涙のアリア』が主題歌に起用された」らしい(あとで調べて分かった。小生は、このドラマは見ていない)。
 さらに、「NHKみんなのうた〈空へ〉」や「フジテレビ系「フィギュアスケート番組オープニング曲〈ボレロ〉」など、ある意味、耳馴染みなっている。
 そのほかのテレビ出演歴やプロフィールなどは、「岡本知高 プロフィール」が詳しい。随分、テレビにも出ている。
 ただ、小生のようなボンヤリは誰か外国の高名な女性声楽家が歌っている程度の認識しかなかっただけのこと。

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2008/04/01

キアズマ

 ここ数年のことだと思うのだが(小生が気づいてから数年なのかもしれないが)、「キアズマ」という言葉をたまに見聞きする(哲学では浅田彰あたりが異種交配的意味合いで使っている)。
 と思ったら、「ステファニー・バレンティン:顕微鏡下の美」なる記事をつづる際にも、この言葉に際会。
 せっかくなので、ちょっと気になるこの専門用語と思われる言葉「キアズマ」を巡って若干のメモを試みる。

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→  山下洋輔トリオ『キアズマ』 (アーティスト), 山下洋輔 (演奏), 坂田明 (演奏), 森山威男 (演奏)  「坂田明,森山威男を擁する伝説の山下トリオの,75年のドイツでのライヴ・レコーディング」! 75年だって。さすがにミュージシャンの感性は鋭い。文末参照。

 その名も「キアズマ」(ホームページ:「横浜国立大学大学院 環境遺伝子工学研究分野」)という頁がネット検索で上位に浮上した。
 そこには、「相同染色体にとって大切な”絆”」とした上で、以下のように説明されている:

新しい遺伝的組合せを作るためには、相同染色体同士が一部交叉することが必要です。交叉によって生じた”結び目”が、キアズマです。交叉は、ほとんどの生物において、2個の相同染色体を別々の娘細胞の核へと正しく別れさせます。キアズマは両親それぞれから1本ずつの相同染色体を減数第1分裂後期までまとめておく役割を果たしています。

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