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2023/02/02

2023年1月の読書メーター

 ← 雪の季節は除雪の季節。降雪の小休止。植木から雪の塊も落とさないと、というわけで、雪原をラッセルし、サツキなどのザラメ状になっている冠雪を竿で叩き落した。

 先月の一番は、なんといってもチャールズ・C.マン著の「魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い」だ。気象変動や環境破壊あるいは保存を巡っての科学者たちの熾烈な格闘。知れば、気候変動の危機なんてデッチ上げだなんて言えなくなる! 

 このほか小泉八雲の大著、日本共産党研究、斎藤幸平の新著、安部公房の「砂の女」、自閉症の本……などなど充実した読書が出来た。 欲を言えば、もっともっと読みたい。ま、ないものねだりかな。

1月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:5706
ナイス数:6139



砂の女 (新潮文庫)砂の女 (新潮文庫)感想
昔初めて読んだ時の本書の印象は、これこそ芥川賞に相応しいというもの。読むのに苦労したような。楽しめなかった気がする。今回、久々に読んで案外と(?)面白かった。
読了日:01月31日 著者:安部 公房


ゴールデンスランバー (新潮文庫)ゴールデンスランバー (新潮文庫)感想
作者も断っているように、本作はアメリカのケネディ元大統領暗殺事件を重ね合わせている。暗殺犯(とされた人物)はヒットマンによって射殺され、犯人として真相は闇に葬られた。副大統領が糸を引いていたという噂があった。
読了日:01月29日 著者:伊坂 幸太郎


ゼロからの『資本論』 (NHK出版新書 690)ゼロからの『資本論』 (NHK出版新書 690)感想
刊行ホヤホヤの本を書店で見出し、即、入手。同氏の本は三冊目。この本の前にも同氏の著三冊目として『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』が出ていたようだが、吾輩は気付かなかった。……もしかしたら斎藤幸平ファンになりつつある……?
読了日:01月25日 著者:斎藤 幸平


夢の正体: 夜の旅を科学する夢の正体: 夜の旅を科学する感想
車中にて仕事の合間の楽しみで読んだ。著者はジャーナリストで、大学では考古学・人類学専攻とか。夢に限らず専門家ではない。アンデスのモチェ遺跡の発掘の際、暇を持て余して読んだ本が夢を話題にしていた。中でも明晰夢に惹かれたのが本書に至る端緒だったとか。
読了日:01月23日 著者:アリス ロブ


縄文人と弥生人-「日本人の起源」論争 (中公新書 2709)縄文人と弥生人-「日本人の起源」論争 (中公新書 2709)感想
縄文人と弥生人をめぐる「日本人の起源」論争がこれほど錯綜してきたとは驚きだ。そもそもこの縄文/弥生人モデルすら近年のもの。「縄文/弥生人モデルが二〇世紀後半に定着するまで、(中略)様々な説が唱えられてきた。(中略)近年はゲノム解析により、縄文/弥生人の図式もゆら」いでいるというから門外漢なれども目が離せない。
読了日:01月22日 著者:坂野 徹


日本共産党-「革命」を夢見た100年 (中公新書 2695)日本共産党-「革命」を夢見た100年 (中公新書 2695)感想
「一貫して「革命」を目指しつつも大きく変化した百年の歴史を追い、国際比較と現状分析を交え同党の全貌を描く」という内容で、読了に十日以上を費やした。昨年、結党百年だったとか。  日本共産党は怖いとか一緒に政権を組むことはありえないとか、排除の論理…感情は連合からも示される。
読了日:01月20日 著者:中北 浩爾


ゆびさきの宇宙――福島智・盲ろうを生きて (岩波現代文庫)ゆびさきの宇宙――福島智・盲ろうを生きて (岩波現代文庫)感想
内容案内によると:「盲ろう者として幾多のバリアを突破してきた東大教授・福島智の生き方に魅せられたジャーナリストが密着」というもの。
読了日:01月17日 著者:生井 久美子


月世界へ行く (新装版) (創元SF文庫)月世界へ行く (新装版) (創元SF文庫)感想
「186X年、フロリダ州に造られた巨大な大砲から、アメリカ人とフランス人の乗員3人を乗せた砲弾が打ち上げられた。ここに人類初の月旅行が開始されたのである。」奇想天外というか、奇想ではないが(大砲で宇宙船を打ち上げる宇宙旅行の物語もシラノ・ド・ベルジュラックが先んじていた)、当時としてのサイエンス知見を駆使してヴェルヌならではの空想科学冒険モノを作り上げた。
読了日:01月17日 著者:ジュール・ヴェルヌ


自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実 (ブルーバックス)自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実 (ブルーバックス)感想
「現代は自閉症が増えている!? 天才や起業家には自閉症的傾向が多い!?20世紀初頭に研究が始まった自閉症。さまざまな誤解と偏見を経て脳科学的に理解されるまでをたどりながら、「自閉症スペクトラム」と呼ばれる人たちの真の姿に迫る。「脳多様性」という新たな視点から捉え直す科学ノンフィクション」というもの。
読了日:01月16日 著者:スティーブ・シルバーマン


ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)感想
女性作家の小説は好き。特に若手の初期作品が鮮烈。地方に育つ女性の鬱屈した思いがよく書けてる。輝いて見える男性や、きらびやかに映る都会への憧れ。そこには燻る自分を変えてくれる何かがある。男たちも中央にこそ出世のチャンスがあると背伸びする。早晩高望みする自分に幻滅する。足元にしか地歩はないのだから。でも、背伸びしない若者なんてありえない。……それにしても地方は……
読了日:01月12日 著者:山内 マリコ


生物圏の形而上学 ―宇宙・ヒト・微生物―生物圏の形而上学 ―宇宙・ヒト・微生物―感想
本書は「現代思想」などに書いてきた小論10篇を編集したもの。2017年刊。どの章も面白いが、個人的には第9章が印象的。「微生物はなぜ小さいのか?」だが、卵子の大きさも含め、その大きさ(小ささ)には必然性があることを説いてくれて面白い。専門家には常識なんだろうが、仕事の合間に楽しんだ。
読了日:01月10日 著者:長沼毅


日本―一つの試論日本―一つの試論感想
内容案内によると、「日本研究の集大成といわれる世界的名著の一つであり、外国人の書いた日本国民精神史として、われわれに多くの示唆を与えてくれる、八雲の終生の大著」とある。 …終生の大著じゃなく、畢生の遺著だ。
読了日:01月10日 著者:小泉 八雲


語学の天才まで1億光年語学の天才まで1億光年感想
著者のヴァイタリティは感服に尽きる。「辺境の言語は、ネイティヴを探して学び、文法の法則は自分で見つける」「コンゴの怪獣やアマゾンの幻覚剤探し、アヘンケシ栽培体験などの仰天エピソードにおける語学についても語られ」と、破天荒なのは確か。
読了日:01月06日 著者:高野 秀行


魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い感想
魔術師とは技術革新こそが本道という科学者たち。予言者とは何よりも環境重視の科学者たちを総称。名著だと思うが、あまりに大部。本文だけでも730頁。参考文献や注、索引を含めると850頁!  大物好きな吾輩の読書経験の中でも上位に入るだろう。
読了日:01月04日 著者:チャールズ・C.マン

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