2022年6月の読書メーター
← 内庭のカエデを内側から。涼しげ? 暑い……庭の植物や動物のためにも雨が欲しい。三日(日)の夕方近く、ザッと通り雨。夕立か。
ギックリ腰の再発に翻弄されつつも、庭仕事や法要の準備に大童だった。それでも多彩な本を読めて幸いだったかな。
-6月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4810
ナイス数:7310
進化の技法――転用と盗用と争いの40億年の感想
ニール・シュービンの本は分かりやすく且つ面白い。『ヒトの中の魚、魚の中のヒト』(2008年)『あなたの中の宇宙』(2014年)に続いて三冊目。最初の著書で内容はもちろんだが、文章に惹きつけられた。これこそ欧米科学者の伝統のナチュラルヒストリーなんだろう。
読了日:06月29日 著者:ニール・シュービン
清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?: 新しい博物学への招待の感想
感想めいたことは、一昨日の日記に書いた:「新しい博物学…」 その中で「単純に理系の本好きなのだが、同時に科学者らのドラマもあるし、研究自体の中にも紆余曲折があり試行錯誤があり日進月歩の現実がある。特に20世紀の後半から今世紀にかけて進化論にしろ宇宙論にしろ生命論にしろ、パラダイム転換の最中にあるような熱さを感じる」と。
読了日:06月27日 著者:池内了
日本瞥見記〈下〉の感想
八雲は、単身日本にやってきて、当時としては初めて西欧の…外人を観る田舎の人々の関心の的。しかも八雲が訪れる場所が島根の田舎や島。外人(白人)を見慣れない好奇心たっぷりの各地の田舎人は、彼の宿に雲集し、障子をやぶってでも観察し、彼が行くところ、金魚の何とかのようにゾロゾロ付いていく。
読了日:06月24日 著者:小泉 八雲
江戸の宇宙論 (集英社新書)の感想
「「重力」「遠心力」「真空」など現在でも残る数多の用語を生み出した翻訳の達人・志筑忠雄。「無限の広がりを持つ宇宙」の姿を想像し、宇宙人の存在さえ予言した豪商の番頭・山片蟠桃。そして超一流の絵師でありながら天文学にも熱中し、人々に地動説などを紹介した司馬江漢」らの事績や生涯を辿ってくれている。
読了日:06月23日 著者:池内 了
不確実性を飼いならす——予測不能な世界を読み解く科学の感想
著者によると、本書の大半は、人間がどのようにして「知らないのを知らないこと」に立ち向かい、「知らないのを知っていること」に変えてきたかを語っている。不確実性を6世代に分けて縷々噛んで含めるように説明してくれている(それでも、我輩には難しいと感じることも)。不確実性の奥にはカオスが潜んでいる。だが、そのカオスは決定論でもあるからびっくり。
読了日:06月21日 著者:イアン・スチュアート
日本瞥見記〈上〉の感想
八雲には、「日本の心」「日本の面影」「心」など明治の日本を好奇心たっぷりで観て回り、卓抜な表現力で描いた本がある。そんな中、本書はあまり読まれてない? 読んでて名著だと感じる。ただ、上下巻で900頁近いのが難なのか? あるいは題名が読めないとか? 長大だけと読みやすい。文章に惚れ惚れする。
読了日:06月19日 著者:小泉 八雲
娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件の感想
凄惨な事件が繰り返される。表沙汰にならない<事件>も相当数に上るだろう。知らなければ知らないで済まされる…のだろうか。本書を一読をと薦めるのも辛い。だが、目を背けていればいいってものではないだろう。
読了日:06月17日 著者:文春オンライン特集班
円安が日本を滅ぼす-米韓台に学ぶ日本再生の道 (単行本)の感想
「日本はいま先進国の地位を失う瀬戸際に立たされている。この間経済発展を遂げてきた米・韓・台との比較から、日本の問題を炙り出す。日本復活のための方途を具体的・包括的に論じる。」という内容。
読了日:06月14日 著者:野口 悠紀雄
川三部作 泥の河・螢川・道頓堀川 (ちくま文庫)の感想
「泥の河」と「蛍川」は、少なくとも再読。特に「蛍川」は、郷里である富山市のそれなりに土地勘のある場所が舞台なので、親近感を持って読んだ。今回、仕事の合間に読んだが、実に味わい深いと再認識。「道頓堀川」は初読なのだが、派手な展開はないことはないのだが、それが本筋ではない。あくまで泥臭いまでの等身大の目線で描かれている。これらの作品群に描かれているのは、嘗てあった戦後間もない時期の(焼け跡闇市時代よりはあとか)帰らざる、古臭い表現をすればセピア色の世界とでも云うべきか。
読了日:06月13日 著者:宮本 輝
すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集の感想
『掃除婦のための手引き書』も素晴らしかったが、本作品集も存分に楽しめた。訳の良さも預かって大きいのだろう。 「ベルリン( 1936年 – 2004年)は米国アラスカ州ジュノーで生まれ、幼少時は鉱山技師の父親の仕事のために各地を転居した。一家はアイダホ州、モンタナ州、アリゾナ州、そしてチリの鉱山キャンプで暮らし、ベルリンはそれらの地で青春時代を過ごした。成人してからはニューメキシコ州、メキシコ、カリフォルニア州、そしてコロラド州で暮らした」(Wikipedia参照)という。
読了日:06月12日 著者:ルシア・ベルリン
江戸漢詩選 ((上)) (岩波文庫 黄 285-1)の感想
下巻のほうは先に読んだので、一か月余りを費やして、これで上下巻を通読したことになる。白文は眺めるだけで、読み下し文を眺めただけだが、それでも、結構楽しめた。
読了日:06月09日 著者:揖斐 高 (翻訳)
長野まゆみの偏愛耽美作品集 (中公文庫 な 77-1)の感想
題名や、表紙の絵をちゃんと考慮すべきだった。そもそも耽美作品嗜好は自分にはほぼない。あるいは皆無か。美しい人は好きだが、美と幻想の世界に妄想の中ですら、浸るのは尻込みする。まして、少年愛の性癖となると、自分の感性には全く刺さらない世界。
読了日:06月07日 著者:長野 まゆみ
遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎 (ブルーバックス)の感想
中屋敷 均の本は、『ウイルスは生きている』以来で、二冊目。この本も面白かったことも、本書を選ぶのに後押しとなったのは確か。 期待以上の本だった。今更「遺伝子とは何か?」なんて教科書的な本など退屈なのではないか…そんな野暮な危惧など吹き飛ばされた。一応は、科学史に基いて「遺伝子とは何か」が綴られている。その過程でも、ワトソンとクリックらによるDNA発見というトピックの陰のドラマが描かれていたりして、実に面白い。
読了日:06月05日 著者:中屋敷 均
華岡青洲の妻 (新潮文庫)の感想
「世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした」という物語。 (中略)
読了日:06月04日 著者:有吉 佐和子
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