2022年3月の読書メーター
← キウイフルーツの芽吹き。これもつい先日まで枯れ木のようだった。木々は凄い。楓も芽吹いていたよ。
3月も万葉集関連を中心に、ロヴェッリや土の人類史、あるいは久しぶりのシェイクスピアなどそれなりに読めた。 どれが面白いって、それなりに選んで読んでいるので、どれも面白い。
ただ、仕事がやや忙しくなり、仕事の合間に読む本は減ったし、春になって雑草も目立ってきて、庭仕事も増える。読書の量は、一か月ごとに減っている。ちょっと淋しい。
3月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:4654
ナイス数:8551
カルロ・ロヴェッリの 科学とは何かの感想
訳者あとがきによると、本書は一般向けのサイエンス本としてはロヴェッリの初期の本。後続の本が評判ということもあって、敢えて翻訳となったのだろう。
彼は、既刊本でデモクリトスを称揚していたが、本書でのアナクシマンドロスは、そのとば口となるもの。吾輩などは、解説を最後に読んだので、恥ずかしながら、これまでの論考の発展本かと勘違いして読んでいた。不明を恥じるが、それだけ優れた内容とも言える(よね)。
読了日:03月29日 著者:カルロ・ロヴェッリ
文庫 ヘッセの読書術 (草思社文庫)の感想
二十歳代の頃、ヘッセの本は一通りは一度ならず読んだ。特に『荒野のおおかみ』は繰り返し。仕事の合間の息抜きに。と思ったが、さすがに硬派。訳者の岡田朝雄氏が編集したもの。蔵書が数万冊だとか(当然読んだ)。西欧の古典から幅広く読んでいるが、世界を幅広く読もうとしてきたようだ。日本は、禅宗への関心止まりか。禅は際立つが、それだけというは淋しい。
読了日:03月28日 著者:ヘルマン ヘッセ
大伴家持 波乱にみちた万葉歌人の生涯 (中公新書)の感想
再読である。数年前に、令和に関連し、富山市の高志文学館にて大伴家持展があって、その際に売店で入手し、読んだ。「大伴家持(七一八頃~七八五)は、天平文化を代表する歌人であり、『万葉集』の編纂にも関わったとされる。」「天平文化を代表する歌人として知られる大伴家持は、政争渦巻く中を歩んだ官人でもあった。その波乱にみちた生涯を立体的に描き出す」という書。
読了日:03月26日 著者:藤井一二
悲劇文学の発生・まぼろしの豪族和邇氏 (角川ソフィア文庫)の感想
読み終え三浦佑之(!)による解説で知ったのだが、冒頭の「悲劇文学の発生」は、卒論として書き上げたとか。角川の業績は中世文学が中心だが、この論考は古代文学及び古代史。「悲劇文学の発生は、学部一年の単位論文。「和邇部の伝承」は、学部二年の単位論文。早熟! 特に、『悲劇文学の発生』は、昭和16年(1941)大学三年生で繰り上げ卒業となり、戦士となって戦地に向かうことになるかもしれなかった角川が、まさに「遺稿集」のつもりで編んだ一冊だったとか。
読了日:03月24日 著者:角川 源義
アスベストスの感想
題名のアスベスト(ス)に惹かれて。アスベスト(石綿)による健康被害についての訴訟・裁判などについては折々報道で伝え聞く。 「石綿被害の時効救済、27日で廃止 支援団体は制度継続訴え(2022年3月23日)|BIGLOBEニュース」によると、「アスベスト(石綿)による健康被害で亡くなった人の遺族に対する労災認定の時効救済制度が、27日で終わる。だが支援団体は「救済制度があったからこそ浮かび上がる被害の事実が多くある」と制度の継続を訴えている」とか。
読了日:03月22日 著者:佐伯 一麦
シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス (ちくま文庫)の感想
本作は、シェイクスピアの初期作品とか。長いとは言えないシェイクスピアの30歳前に書いたもの。残虐さが際立つのは年齢のせいなのか。物語として分かりやすい。登場人物の誰にしても、直情径行なので、性格が分かりやすい。その分、深みに欠ける気がする。それでも、楽しめたのは、我輩にも同じ性癖が潜んでいるからか。
読了日:03月21日 著者:ウィリアム・シェイクスピア
土の文明史の感想
人類が嘗て行った土への蛮行に嘆息する日々となった。嘗てではなく、今も…現在進行形の愚かさ。食べること、目先の食糧確保が喫緊とはいえ、国や支配者や経営者の愚昧さにうんざりする。(中略)本書について書きたいことはあまりに多い。付箋が何枚も。
愚かしさを強調し過ぎたようだが、マロリーが見た一九二〇年代のある中国は違った。
読了日:03月19日 著者:デイビッド・モントゴメリー
中島敦の絵はがき──南洋から愛息への感想
昭和一六年七月から翌年一月にかけて、中島敦は、赴任先の南洋から、家族や友人たちに宛てて、数多くのはがきや手紙を送って」いた。「現在、一五五通が残っていて、県立神奈川近代文学館に所蔵されて」いる。「本書には、そのうち息子桓(たけし)と格(のぼる)に送った書簡・はがき八一通をカラーで収録」した(はがきは原寸大)。
読了日:03月19日 著者:山下真史編 中島敦の会
NHK 100分 de 名著 カール・マルクス『資本論』 2021年1月 (NHK100分de名著)の感想
内容は、「気鋭の経済思想家が、エコロジー・脱成長の視点からマルクスを読み直す」というもの。「生産力が上がるほど人が貧しくなるのはなぜなのか。なぜ過労死するまで働き続けなければならないのか。」読むほどに日本(に限らないが)社会の現実に身につまされる思いが募った。
読了日:03月16日 著者:斎藤 幸平
口訳万葉集(下) (岩波現代文庫)の感想
感想など僭越だろう。万葉集は、四半世紀以上昔、中西版万葉集を読んで以来。当時は若さに任せ勢いで読んだような。何処まで味読できたか危うい。それでも、全巻を読み通したという自信めいたものは胸の奥に潜めることが出来た。自分は富山市の人間だが、万葉集の編纂に関わったとされる大伴家持は、高岡市に国守として赴任し、5年滞在した。だから富山県人としては少しは歌集に触れておきたかった。
今回は、もう再々の再読はあり得ないだろうと、ゆっくりじっくり詠んできた。それでも、味読とはいかないが、まあ、触れることが先決だろう。
読了日:03月15日 著者:折口 信夫ヨーロッパ・コーリング・リターンズ: 社会・政治時評クロニクル 2014-2021 (岩波現代文庫 社会 330)の感想
「人か資本か。優先順位を間違えた政治は、希望を奪い、貧困と分断を拡大させる。(中略)激動の時代に、子どもや若者、女性、移民、労働者たちが暮らす地べたから、鋭く温かく英国の世相を読み解き、日本の課題を照らし出す」というもの。実際、読んでいてまさに数年遅れで日本で起きる事態を予告するような感があった。
読了日:03月12日 著者:ブレイディ みかこ
天才 富永仲基 独創の町人学者 (新潮新書)の感想
内容案内によると、「主著『出定後語』では、世界に先駆けて仏教経典を実証的に解読。その成立過程や思想構造を論じ、結果導いた「大乗非仏説論」は、それまでの仏教体系を根底から揺さぶり、本居宣長らが絶賛するなど、日本思想史に大きな爪痕を残した」とある。表題には、「天才 富永仲基」とあるが、彼を知る人は皆異口同音に天才と感じるそうな。
読了日:03月10日 著者:釈 徹宗
意識と自己 (講談社学術文庫)の感想
中身が濃くて、かなりの日数を費やした。課題は、「何かを見る、聞く、触るなどによって身体的変化が生じ、情動を誘発する。この身体状態は脳内で神経的に表象され、感情の基層となる。では、感情はどのようにして「私」のものと認識されるのか。意識はそのときどのように立ち上がり、どう働くのか」であり、まさに意識と自己、感情そして身体全般を視野に置いた探求の書。
読了日:03月08日 著者:アントニオ・ダマシオ
口訳万葉集(中) (岩波現代文庫)の感想
読むほどに短期間で口述で訳しとおした折口の凄さを感じる。歌にもその解釈にも若い折口の勢いや自負がにじみ出ている。同時に、万葉仮名で原文を読んでみたくなる(万葉仮名とは、「楷書ないし行書で表現された漢字の一字一字を、その字義にかかわらずに日本語の一音節の表記のために用いる」もの)。
読了日:03月05日 著者:折口 信夫
ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)の感想
「17歳の平凡な少女キャサリンは、リゾート地バースで恋に落ち、由緒あるお屋敷に招待されて有頂天。古めかしいお屋敷で、愛読中のゴシック小説に出てくるようなホラー体験ができる、と大喜びでノーサンガー・アビーに出かける。ところが……」といった内容で、オースティンの初期作品。
読了日:03月05日 著者:ジェイン オースティン
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