2022年2月の読書メーター
2月のメインは、ブライアン・グリーンの「時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙」と折口信夫による「口訳万葉集(上)」、それと長年の懸案だった青木 冨貴子による「731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く」か。ポピュラーサイエンス本や風俗などインタビュー本も欠かせない。紗倉まな、桜木紫乃、草凪 優、花房 観音、スティーヴン・ミルハウザーら、初読の作家も何人か。 一月、三週間に渡って会社を休むことになったギックリ腰もなんとか回復してそれなりの日常を送れていることに感謝。
2月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:5017
ナイス数:7870
コロナと風俗嬢の感想
「新型コロナウイルスが猛威を振るう中、
「感染ルート」として指弾されたのが日本各地の繁華街、そして風俗業界だった。職と当座のお金を求める弱者の最終セーフティネットという側面もある。風俗の世界に生きる人々は、かつてない危機とどう向き合ったのか。吉原、鶯谷、ススキノ、伊香保温泉、梅田、飛田新地、天王新地をめぐり、ソープ嬢やデリヘル嬢、風俗店経営者、スカウトマンたちの「いま」に迫るコロナ禍2年のドキュメント。」介護や医療や風俗でギリギリ頑張る女性たち。筆者の関心なのか、家族などの借金を肩代わりする女性が目立つ。
読了日:02月28日 著者:八木澤 高明
夜の声の感想
本書は「ラプンツェル」や「私たちの町の幽霊」「マーメイド・フィーバー」「夜の声」など8作品の短編集。必ずしも小説読みが得手ではない自分は、ミルハウザーの世界は初めてで最初の「ラプンツェル」からしてこの世界をどう受け止めればいいのか戸惑い続けた。数編を読んで自分の常識に引き寄せるのではなく、素直にありのままに叙述に従えばいいのだと気づいた。
読了日:02月26日 著者:スティーヴン・ミルハウザー
呼吸の科学 いのちを支える驚きのメカニズム (ブルーバックス)の感想
「生命活動の根源ともいえる「呼吸」。人は一生の間に6億~7億回「呼吸」をするといわれています。そもそも「呼吸」とはなにか? (中略)その精密につくられた驚異のメカニズムを「呼吸」の研究の第一人者として知られる著者が徹底解説します。」というもの。仕事の合間に読むには難しかった。
読了日:02月25日 著者:石田浩司
花びらめくり (新潮文庫)の感想
感想は書かない。退屈だった。せめてエロさが感じられたなら……。楽しんだという感想を寄せる方がいらっしゃるのが不思議。波長が合わないってことか。
読了日:02月23日 著者:花房 観音
雨もキノコも鼻クソも大気微生物の世界―気候・健康・発酵とバイオエアロゾルの感想
著者(おわりに)によると多くの人に楽しく読んでもらえるよう三点工夫したとか。①「私が携わってきた研究の経験談を時系列に並べ、一緒に観測や調査に臨んでいる気持ちになるようにエッセイ風に。」②折々の「セクションで、研究に関連しなさそうなエピソードや映画、小説などで始めることで、研究活動そのものになじみのない方でも話に入りこんでいただけ」るように。③本文を読まなくても、図の写真や絵を見れば、バイオエアロゾル研究の雰囲気を味わってもらえるようにし」た。
読了日:02月20日 著者:牧 輝弥
嘘だらけでも、恋は恋。 (幻冬舎アウトロー文庫)の感想
「温泉宿に逗留中の元ヤクザ・崎谷の前に突然下着姿で現れた場末のホステス・カンナ。元カレに攫われて犯されそうになり、逃げてきたという。女嫌いだったはずの崎谷は、彼女の魂をさらけ出すようなセックスに溺れていく…」という出だし。
読了日:02月20日 著者:草凪 優
最低。 (角川文庫)の感想
(執筆当時も今も)現役AV女優・紗倉まなの小説デビュー作だとか。AV映画の当事者ならではの体験や知見を踏まえた短編集。小学生の頃、作文が嫌いで、国語の授業が嫌だったとか。「さて著者はなにを感じていたでしょう?」なんて漠然とした質問に、求められるような紋切り型の答えを書くことに抵抗があったとか。
読了日:02月18日 著者:紗倉 まな
口訳万葉集(上) (岩波現代文庫)の感想
かの折口信夫が若き日にふるさと大阪の中学を辞職し、あてもなく上京。実家の送金も尽き、蔵書やきものを売り、友人に借金し……。友人にあの武田祐吉がいる。折口の万葉集愛(すべての歌を中学生にして諳じ、万葉集に出る山や川を知り尽くしていた)を知る武田は、折口に万葉集の現代語訳を勧める。
読了日:02月17日 著者:折口 信夫
731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)の感想
力作。「太平洋戦争中に生体解剖やペスト菌による非人道的な実験を行った細菌戦部隊。残虐な行為に手を染めながら、なぜ彼らは戦犯とならずに済んだのか。そこには隊長・石井四郎とGHQの驚くべき駆け引きがあった。戦後50余年を経て発見された石井の直筆ノート2冊から隠された真実を読み解く。」
読了日:02月15日 著者:青木 冨貴子
寄生生物の果てしなき進化の感想
「北欧(フィンランド)の気鋭の生物学者が、進化生物学の観点に人類史を交えて、ウイルス学、細菌学、寄生虫学の垣根を軽々と越え、寄生生物の壮大な進化の旅について語りつくす」というもの。学ぶべき点が多く、既に折々呟いたりメモしてきた。
読了日:02月13日 著者:トゥオマス・アイヴェロ
光まで5分 (光文社文庫)の感想
初めての作家だが、読ませる。吾輩は女性作家の小説を読むのが好き。女性の心情の機微もだが、セックス…特に風俗など男性の勝手な欲望に晒される女性らの真情に少しでも迫った記述が欲しい。作家は北海道育ちで北海道を舞台の作品が多いらしいが、初の沖縄作品。
読了日:02月11日 著者:桜木紫乃
抵抗の新聞人 桐生悠々 (岩波現代文庫 社会 327)の感想
書店の岩波文庫コーナーに平積み。岩波新書から1980年に刊行。当時目にしたはずだが、吾輩は食指が動かなかった。不明を恥ず。それに五男による回想「私にとっての〈親子関係〉と青木理による解説を加えたもの。どうやら作者の井出も桐生も青木も長野繋がり。
読了日:02月08日 著者:井出 孫六
時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙の感想
本書は訳者である青木氏によれば、「自然科学の領域に留まらず、人間経験のすべてにわたり、人類がこれまで積み上げてきた知識のすべてを包括するような、統一的な理解があるとしたら、それはどんなものになるだろうかという壮大なテーマ」に挑んでいる。かといって、訳者も書いているように、一部の功成り名遂げた老科学者のようには、スピリチュアルな、あるいはトンデモ本では決してない。
読了日:02月07日 著者:ブライアン・グリーン
ドガ ダンス デッサン (岩波文庫 赤 560-6)の感想
「ドガの作品にはバレエを扱った主題、ことに楽屋や練習風景、舞台袖といった一般人では出入りできない場所での場面を描いたものが多い。」それは、「オペラ座の定期会員になってい」て、「座席を年単位で購入する定期会員は、オペラ座の楽屋や稽古場に自由に立ち入ることが許されていた」からである。稽古はもちろん、『浴盤』なる作品があるように、丸裸での様々な姿も存分に描けたようだ。
読了日:02月05日 著者:ポール・ヴァレリー
私が進化生物学者になった理由 (岩波現代文庫 学術 440)の感想
(前略)「生き物図鑑とドリトル先生の大好きな少女が、いかにして進化生物学者になったのか。(中略)進化生物学者として成長していく著者の人生の歩みと、人間の進化と適応に関する興味深い話が語られる」という本。
読了日:02月02日 著者:長谷川 眞理子
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