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2022/01/02

2021年12月の読書メーター

Gold  ← 昨年撮ったベストショット。庭で黄金発見? 

 あけましておめでとうございます。大作は読んでない代わり、ヴァラエティに富んでる。そうはいってもウイルス観連の読書は相変わらず。

 めでたさはあるやなしやと雪眺む

12月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:4733
ナイス数:6940



タイガーと呼ばれた子〔新版〕: 愛に飢えたある少女の物語 (ハヤカワ文庫NF)タイガーと呼ばれた子〔新版〕: 愛に飢えたある少女の物語 (ハヤカワ文庫NF)
読了日:12月31日 著者:トリイ・ヘイデン
フーガはユーガ (実業之日本社文庫)フーガはユーガ (実業之日本社文庫)感想
エッセイは読んだことがあるが、小説は初めて。嘗て仙台に6年住んだことがあり、仙台にゆかりの作家ということで、勝手に親近感を抱いてる。大衆に受け入れられる作風。主人公らはDVの中、育った。ドラマがあって過去を乗り越えて……を暗示した結末。希望を最後には抱かせるから、読後感も悪くなく……。小説の舞台は仙台。だが、仙台の各地の地名は出てきて、それなりに懐かしくはあるけど、仙台の土地柄気質歴史が僅かでも描かれるわけじゃない。背景が仙台ってだけのような。
読了日:12月30日 著者:伊坂 幸太郎


流れといのち──万物の進化を支配するコンストラクタル法則流れといのち──万物の進化を支配するコンストラクタル法則感想
著者は米国版ノーベル賞とも言われているベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞した、なかなかの熱工学者。
 動物が欠伸をする理由について、それは気持ちがいいからだが、ではなぜ気持ちがいいか、そのメカニズムをも彼のコンストラクタル法則で説明している。泳ぎや走ること、投手などでも、背の高いものが有利な理由もこの法則で説明できるという。水泳で伸びる余地があるのは、自由形だろうとも。
読了日:12月29日 著者:エイドリアン・ベジャン


世界でいちばん美しい廃墟 強烈な存在感を見せる世界の廃墟たち世界でいちばん美しい廃墟 強烈な存在感を見せる世界の廃墟たち感想
宮殿や風光明媚な場所のリゾート施設の類いの廃墟は栄華の空しさ感が漂うだけ。それでも廃墟になったことで歳月が何かを生み出す。病院、特に嘗ての精神病院の廃墟は精神の荒廃感が濃縮されて凄まじい。廃墟。更地にし、全く違う施設を建てることで、過去を封印する。それが大概の都会の在り方。総ては夢だった……。が、廃墟は違う。風雨と人の好奇の眼が闇の濃さを思い知らせているようだ。蛮行は忘るべからず。
読了日:12月25日 著者:


問題の女 本荘幽蘭伝問題の女 本荘幽蘭伝感想
読むべき本だったか…。著者によると、「こんな女性がいたというそれだけの本ではある」と後書きで書いておられる。際立った美貌の女性。それだけで男どもは寄ってくる。生涯、体を交わした男は本人も百人以上とか。だが、好き合っての交わりは二人だけ。あとは相手からの無理やりとか。本人にも落ち度があろうが、綺麗でいながら行動的であけっぴろげな女性の宿命なのか。
読了日:12月23日 著者:平山 亜佐子


知覚の扉 (平凡社ライブラリー)知覚の扉 (平凡社ライブラリー)感想
内容案内によると、「幻覚剤メスカリンが、かつての幻視者、芸術家たちの経験を蘇らせる。知覚の可能性の探究を通してハクスリーが芸術を、文明の未来を語り、以後のさまざまなニューエイジ運動の火つけ役ともなった名エッセイ」とか。
 メスカリンという名称は、「名称はメスカレロ・アパッチが儀式の際に使用したことに由来する」し、「1971年の向精神薬に関する条約によって国際的に規制され、日本では法律上の麻薬に指定されている」(Wikipediaより)とか。
読了日:12月23日 著者:オルダス ハクスリー


ウイルスと共生する世界 新型コロナアウトブレイクに隠された生命の事実ウイルスと共生する世界 新型コロナアウトブレイクに隠された生命の事実感想
10年前の「破壊する創造者――ウイルスがヒトを進化させた」も傑作だったが、本書は更に深化している。福岡伸一氏が誉めるのも納得。索引や図版が皆無など、門外漢にはやや不親切な作りなのが惜しい気がする。筆者によるウイルスの定義は首肯できる:「ウイルスは細胞生命体ではなく、カプシド(ウイルスゲノム を取り囲む タンパク質 の殻のこと)をコードする遺伝子の共生体である」
読了日:12月19日 著者:フランク・ライアン


筒美京平 大ヒットメーカーの秘密 (文春新書 1325)筒美京平 大ヒットメーカーの秘密 (文春新書 1325)感想
筒美京平という作曲家の天才ぶりを堪能した……と言いたいが、音楽について(も)門外漢の我輩に何が分かったろう。ただ、口をあんぐり話に聞き入っていた。歌手の声に惚れて作曲したくなるという話には特に興味津々。平山みきは分かるが郷ひろみの声に惚れてたとは。確かにデビュー当時の郷ひろみは良かったな。……余談だが、作曲という営み自体が我輩には神秘……驚異なのだ。
読了日:12月19日 著者:近田 春夫


「海の民」の日本神話 古代ヤポネシア表通りをゆく (新潮選書)「海の民」の日本神話 古代ヤポネシア表通りをゆく (新潮選書)感想
ヤマト政権が成立するまでは、日本海側こそが表日本であり、筑紫、出雲、若狭、能登がそれぞれに主に船を使っての交流が盛んだったこと、その際、特定の地域が権力の中心(国家)たることを志向しなかったのではないか、という視点に特に面白みを感じた。『古事記』や『万葉集』『風土記』などの文献はもちろん、各地の神社の言い伝え、嘗ては各地にあった船の停泊の場たりえた潟、最新の考古学の成果などを考慮に入れての古代像の見直しを迫る。黒曜石や翡翠の古代においての重要度は今更ながらに再認識させられる。三浦版「新・海上の道」誕生。
読了日:12月15日 著者:三浦 佑之


図説 ヒエロニムス・ボス: 世紀末の奇想の画家 (ふくろうの本)図説 ヒエロニムス・ボス: 世紀末の奇想の画家 (ふくろうの本)感想
冊子風な本だが、画像が豊富だし、部分の拡大図もあって、解説共々楽しめる。敢えて十日ほどを費やした。
 ボス は、ブリューゲルや ダ・ヴィンチ あるいは、デューラーらと同時代か、相前後して活躍している。名前だけでも壮観だ。世紀末の切迫感がいかに深甚なものかを感じさせられる。やはりいつか本物を鑑賞したい。
読了日:12月13日 著者:岡部 紘三


クモのイトクモのイト感想
クモは食物連鎖で巨大な役割りを果たしてる。セアカゴケグモは大人しい(ちょっかいを出さなければいい)。クモが食べるエサ(虫)の量は、全人類の体重に匹敵する。家の中にいる節足動物で、ハエやカに次いでクモが多い。家の中のクモは、ゴキブリやダニなどを食べる。クモの糸は、細菌の繁殖を抑える効果がある。掃除しにくい場所もクモの糸のお陰で細菌が増えない。クモにも個性がある。ほとんどのクモは一人暮らし。映画などに登場するクモは生態が誤解されてるものが多い。クモの眼は弱視。クモの糸の振動などでエサや敵を感知する。
読了日:12月13日 著者:中田兼介


まっくら: 女坑夫からの聞き書き (岩波文庫 緑 226-1)まっくら: 女坑夫からの聞き書き (岩波文庫 緑 226-1)感想
本書は、女性の坑内労働をめぐる記憶を最初に解放した書。ルポもの、聞き書きものとして嚆矢といっていいのか。1961年に初めて刊行。その後、幾つかの出版社を経て1977年に三一書房から再刊。
 本書は三一書房版を底本にしている。水溜真由美の解説を付しての新刊である。炭坑画と云えば、言わずと知れた山本作兵衛。その炭坑記録画が各章の扉に載っている。小生は嘗てブログにて山本作兵衛を特集したことがある:「山本作兵衛の筑豊炭鉱画と五木『青春の門』と」森崎は谷川雁に連れられて初めて炭鉱町を訪れたとか。
読了日:12月09日 著者:森崎 和江


神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡感想
なかなか理解が及ばない。神々の…という題名のあやうさ。古代ギリシャどころか、バビロニアなどの素養も要る。さらに旧約聖書の世界を知悉していないと、話しについていけない。さらに脳科学の知識も必要となると、(著者の知見自体古い)専門的な話に素直についていくのも憚られる。それでも真に受けさえしなければ、大枠の議論については、読むに値する本だと感じた。
読了日:12月08日 著者:ジュリアン ジェインズ


黒部奇譚ー伝説の地を紐解くー黒部奇譚ー伝説の地を紐解くー感想
「黒部奇譚」展にて入手したパンフレット。「黒部市内において古くから語り継がれている伝説や昔話を紹介し、その中心となったゆかりの地を偲び、畏れや祈り、心の拠り処となったものを現代人と一緒に訪ねる機会とします」というもの。こんなに充実したパンフレットが只なんて! 黒部には伝説が豊富。訪ねたくなった場所が数知れず。砂丘や潟も、古寺古社古城(跡)伝説の古木。
読了日:12月06日 著者:黒部市歴史民俗資料館


エロティック・ジャポンエロティック・ジャポン感想
著者は、「1969年、フランスのジャーナリスト。パリ第三大学で現代文学を学んだ後、高等情報通信科学校で日本漫画とメディア論を専攻」というが、日本語文献は読めないとか。直に日本文化を研究した風が乏しい。本書の日本での刊行は、2010年。原書は2006年。つまり著者が三十代後半の頃に書いた本。この手の本は風俗の変遷が激しいので、情報が新しくないともどかしい思いが募るのみ。あくまでフランス人ジャーナリストの目には嘗て(今も?)このように映っていたという理解が必要だろう。
読了日:12月03日 著者:アニエス・ジアール


三つの物語 (光文社古典新訳文庫)三つの物語 (光文社古典新訳文庫)感想
「無学な召使いの人生を、寄り添うように描いた「素朴なひと」」は、傑作。推敲を重ね、過度の思い入れを排した叙述……なのにフェリシテの人間像がじんわり。「城主の息子で、血に飢えた狩りの名手ジュリアンの数奇な運命を綴った「聖ジュリアン伝」」は、ありきたりに感じられた。聖人になってからの事蹟を描いてないからか。「サロメの伝説を下敷きに、ユダヤの王宮で繰り広げられる騒動を描く「ヘロディアス」」は、旧約聖書の錯綜する部族や国の歴史が我輩には把握できず退屈だった。訳者による詳しい解説を読んでからも。
読了日:12月03日 著者:ギュスターヴ フローベール

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