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2021/06/02

2021年5月の読書メーター

Yasou ← 庭の野草

 先月もいろんな本に出合えた。本を介して人も含め、世界とより深く広く出会えている。本に接する人の辞書に退屈の文字はない。

5月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4994
ナイス数:7893



家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている感想
人は昔から、家の中に汚いものがあると、掃除する、消毒する、殺菌する。新たな化学物質が出て使われるたびに、「防御行動や科学的防御力をますます進化させた病原菌や害虫が有利になり、一方、人間の役に立つ生物種は圧倒的に不利な状況に追い込まれる。」つまり、清潔を極めるほどに、耐性を持った病原菌や害虫の天国と化していくわけである。
読了日:05月30日 著者:ロブ・ダン


完全な真空 (河出文庫)完全な真空 (河出文庫)感想
レムはアリストテレスじゃないが、真空など認めたくはなかったのだろう。だからこそ、<存在しない書物>をでっちあげてでも文学の時空の穴を埋めようとしたのだろうか。あるいは、古今の文学時空にも穴はある。その穴の存在を示すため、空無を何処までも完璧に埋める営為を示してみたのだろうか。ドン・キホーテ的な、喜劇的な企図と言うしかない。ま、読者たる吾輩は、生真面目に翻弄されるしかないのだろう。
 
読了日:05月28日 著者:スタニスワフ・レム


WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何かWHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か感想
著者はノーベル生理学・医学賞受賞者。初の著作。シュレディンガーの高名な書にちなんだ題名。本書の扉に、父や孫たち、惑星の「生命」を気にかける必要がある若い世代に贈る とある。我輩のようなロートルには用がない? なんて僻みはさておいて、子供たちに語りかける優しく分かりやすい口調。父は便利屋と運転手、母は料理人で、しかもフランス語の試験に五回も落第し大学に入学できず……子供時代はイギリスの片田舎で育ち、長時間の通学の途中、寄り道しつつ生き物に親しんだ……そういった背景がある。
読了日:05月22日 著者:ポール・ナース


土曜日 (新潮クレスト・ブックス)土曜日 (新潮クレスト・ブックス)感想
イギリスのある優れた脳神経外科医の2003年2月15日 土曜日一日の物語。2001年9月11日の同時多発テロの余韻が熱い頃。アメリカのペンタゴンやCIAなどに奇妙なタカ派シフトが誕生していた。アルカイダをラディンをイランをフセインを倒さないとならないという、狂おしい熱の高まり。今日では、多発テロが先かアメリカの狂気の発作が先かの解明は歴史家の仕事に委ねられてしまっている。だが、
読了日:05月21日 著者:イアン マキューアン


狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)感想
ラヴクラフト(1890年 - 1937年)は、アメリカの怪奇小説・幻想小説の先駆者の一人とか。「一連の小説が「クトゥルフ神話」として体系化された。ラヴクラフトの創造した怪神、異次元の神、神話体系は世に広まり、現代のコリン・ウィルソンたちや「SF宇宙冒険物」に大きな影響を与えている」(「ハワード・フィリップス・ラヴクラフト - Wikipedia」より)という。「ゴシック小説やエドガー・アラン・ポーなどの系譜に連なる」とも。
読了日:05月19日 著者:H・P・ラヴクラフト


アフリカ 人類の未来を握る大陸 (集英社新書)アフリカ 人類の未来を握る大陸 (集英社新書)感想
好きで録画で視聴するNHK特集などで見聞きしたような感が強い。本ならではの掘り下げが足りない気がした。昔は恐怖感と偏見の裏返しか、あるいは黒人を揶揄してか、アフリカは暗黒大陸と呼ばれた。人類が誕生した地であるアフリカ。人類が齎した貧富の差と環境破壊。そんな危機の時、逞しいアフリカから希望の光が生まれるのかもしれない。希望の大陸アフリカ。
読了日:05月18日 著者:別府 正一郎


性のトリセツ 「性活力」あふれる生き方のすすめ性のトリセツ 「性活力」あふれる生き方のすすめ感想
獣医繁殖学者の専門的知識が満載。だが、学生への講義で培ったという興味を惹く技術の賜物か、随所にへえーと感じさせ、自慢げにあるいは駄弁の折に呟いてみたくなる豆知識が満載。人と動物の生殖学を一緒に学ぶ機会を提供しているという。この考え方は吾輩には当たり前に思える。ニール・シュービン著の『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト──最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』(垂水雄二訳 早川書房)は、こうした視点を深めてくれる。
読了日:05月16日 著者:津曲茂久


現代語訳 古事記 (河出文庫)現代語訳 古事記 (河出文庫)感想
福永版古事記。明解を旨としている。「今昔物語」は面白く読めた。が、古事記については、やや疑問符。試みはそれなりに達成していたか。古代朝鮮語で詠み解こうとする試みさえある中で、そもそも古事記は我々が理解しきれるものなのか。現代語訳 古事記は、これまで各種 読んできた。日本人なら原文でと思うが、これは無謀というもの。せめて、本居宣長訳で……と思うが、これもハードルが高い、高過ぎる。それでもこれからもどんな形であろうと触れていく。
読了日:05月13日 著者:福永武彦


【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】ザリガニの鳴くところ【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】ザリガニの鳴くところ感想
ベストセラーも頷ける素晴らしい作品だった。最初はノースカロライナ州の湿地の描写が印象的で、そこに人間模様が織り込まれる、静かな物語かなと感じさせる。次第にサスペンス調になり、裁判の弁護側と検察側の遣り取りも緊迫してくる。その展開も見事だ。が、本書の眼目は、「人々にさげすまれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイア」を描くことで、自然の摂理を描くことにある。カイアの孤独の深さは、自然の人間の思惑や思い入れなど超えた深すぎる懐を象徴している。自然は善悪の彼岸に昔も今もとどまり続けるのだ。
読了日:05月11日 著者:ディーリア・オーエンズ


三体問題 天才たちを悩ませた400年の未解決問題 (ブルーバックス)三体問題 天才たちを悩ませた400年の未解決問題 (ブルーバックス)感想
噛んで含めるように説明してくれているが、難しい。それでも、話題の面白さに引きずられて読み通した。ハイテクの天文衛星が次々と飛ばされている。その都度、より高性能化したアストロメトリ専用の宇宙望遠鏡が搭載された衛星での観測が行われる。宇宙をより深くより遠く観る。SF小説「三体」で俄かに脚光を浴びている(?)三体…多体問題。「古くからさまざまな数学者、天文学者、物理学者が取り組んできた問題であるとともに、現在もまた研究が発展し続けている。」
読了日:05月09日 著者:浅田秀樹


石の文学館 ――鉱物の眠り、砂の思考 (ちくま文庫)石の文学館 ――鉱物の眠り、砂の思考 (ちくま文庫)感想
今朝未明読了。後書きを除き、仕事の合間の楽しみに読んできた。
 小説や随筆、紀行文などの短文集。まさに気分転換に拾い読みも楽しめる。吾輩は鉱物に限らず、石好き。ツーリングの際は、わざわざ当地に近い河原に寄り、拳より大きめの石を一つ拾ってくる。代わり映えなどしてなくていい。石が好きなんだ。
読了日:05月07日 著者:


江戸の天才数学者―世界を驚かせた和算家たち (新潮選書)江戸の天才数学者―世界を驚かせた和算家たち (新潮選書)感想
数年前に話題になった映画『天地明察』に絡めての出版か。以前から江戸時代の数学者らの活躍を知りたかった。和算の世界で、知っているのはほんの数人か。生粋の数学者ではやはり関孝和が傑出している。何かの本で読んだことがあるが、「江戸時代後期には日本全国津々浦々に数学の愛好者がたくさん出現し、難しい問題が解けたときには絵馬(算額)を作って神社仏閣に奉納した」という風習が興味深い。公共の全国的な発表の機会がなかったろうし、そんな中、自分の成果を天下に示したい気持ち、いじらしいというか切ない。
読了日:05月05日 著者:鳴海 風


見えない宇宙の正体 ダークマターの謎に迫る (ブルーバックス)見えない宇宙の正体 ダークマターの謎に迫る (ブルーバックス)感想
ダークマターやダークエネルギーの存在の認識の経緯などは類書でも読める。本書の特色は、「ダークマターは、光で直接見ることができないため、なかなか正体がわかりません。研究者たちはその「見えない」ものをさまざまな手段で検出しようとしています。あることはわかっているのにつかめない、あらゆるアイディアを出しながらつかもうとする、そんな研究者たちのこれまでの研究から最先端の研究まで徹底解説します」という後半にある。
読了日:05月03日 著者:鈴木 洋一郎


ピンク映画水滸伝 その誕生と興亡 (人間社文庫 昭和の性文化)ピンク映画水滸伝 その誕生と興亡 (人間社文庫 昭和の性文化)感想
仕事の合間の楽しみに読んできた。お世話になったピンク映画を少しは知りたいと…好奇心で手にした本。

 

 

「1961年の新東宝倒産が一つの転機となる。新東宝の経営を追われた大蔵貢が大蔵映画を設立する。1962年に協立映画製作、大蔵映画配給の『肉体の市場』が公開された。「成人指定」「独立プロ製作」「劇映画」という3つの要素を満たした最初の作品として、この『肉体の市場』がピンク映画第1号とされている」
読了日:05月03日 著者:鈴木 義昭

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