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2021/05/02

2021年4月の読書メーター

Tanpopo_20210502120501  ← 昨日、庭を見て回った際に見付けた生け垣の野草。三重カナメが繁茂し、車道に迫り出していたので、大胆にカットした。


 早くも一か月が過ぎた。先月読んだ本のまとめの日が来た。
 面白い本、念願だった本、話題の本といろいろ読めた。濃厚接触者認定で2週間の自宅籠りを体験した月でもあった。そのお蔭で(?)、庭仕事も進んだし、読書もそこそこ楽しめたのは皮肉だ。


4月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:4884
ナイス数:6795



JR高田馬場駅戸山口 (河出文庫)JR高田馬場駅戸山口 (河出文庫)
読了日:04月30日


著者:柳美里


 



ウイルスはささやく: これからの世界を生きるための新ウイルス論ウイルスはささやく: これからの世界を生きるための新ウイルス論感想
この本で一番興味深かったのは、ヴァイロセル仮説だった。ミミウイルスという巨大ウイルスに感染した(アカント)アメーバは、そのリボゾームの大半をウイルスのタンパク質合成のため奪われ、自分のタンパク質を合成できなくなってしまう。細胞は細胞としての意味を成さず、細胞核も出番を失ってしまう。こうした「ほとんどすべての機能をウイルスに乗っ取られてしまった状態の細胞をヴァイロセルと言う。

読了日:04月28日 著者:武村 政春



重力と力学的世界 下 (ちくま学芸文庫)重力と力学的世界 下 (ちくま学芸文庫)感想
本書は、1981年に刊行(書かれたのは1977ー1988年)されたもの。40年ぶりの再版。(文庫版あとがきでの)筆者によると、読み返してみて、多少は書き足りない、あるいは今なら違う風に書くだろう部分もあるが、若いからこその勢いもあって、読み応えがあると。実際、理系には(も)門外漢の小生だが、数式は素通りしたが、本文はじっくり楽しめた。退屈さは感じさせないのは、著者の言う当時の勢いなのか。
読了日:04月26日 著者:山本 義隆



人のつくった森―明治神宮の森「永遠の杜」造成の記録人のつくった森―明治神宮の森「永遠の杜」造成の記録感想
まだ院生の頃から明治神宮の森作りに携わった。造成して間もなく鎮守の森となる……のではなく、50年後、100年後、150年後にどのような相を呈するかを見通しての作業。やがては人が関わらずとも生き続ける森たらんとする。林業もだが、自然相手の仕事の気の長さ。
読了日:04月24日 著者:東京農業大学地域環境科学部,上原敬二



私のお気に入り -観る・聴く・探す私のお気に入り -観る・聴く・探す感想
古書店で発掘した。内容案内によると、「幼少から音楽や能に親しみ、チェロを生涯の友とし、一方映画や落語に心から興じて育まれてきた精神の自己形成史」を披瀝するもの。後半の映画などは正直、退屈だった。落語談義も興味深くはあるが、こうした回顧談は、村上陽一郎氏のファンなら読めるかも。
読了日:04月22日 著者:村上 陽一郎



重力と力学的世界 上 ――古典としての古典力学 (ちくま学芸文庫)重力と力学的世界 上 ――古典としての古典力学 (ちくま学芸文庫)感想
著者は、「科学史家、自然哲学者、教育者、元学生運動家。駿台予備学校物理科講師。元・東大闘争全学共闘会議代表」という方。吾輩が大学生になった頃には、学生運動は終息しかけていたが、当時は、同氏のことを英雄視していた。在野にあって科学史などの研究に携わってこられた。文系の頭の吾輩には数式は歯が立たないが、本文は分かりやすい。どうやら本書は著者の処女作のようだ。
読了日:04月21日 著者:山本 義隆



性食考性食考感想
著者は、民俗学・日本文化論の専門家で、東北文化研究センターを設立し,『東北学』を創刊された方。民俗学関連の本は少しは読んできたが著者は多分初めて。実は書店で表紙(カバー)に惹かれて手に取った。筆者は自ら絵を選んだとか。鴻池朋子氏の作品。
読了日:04月20日 著者:赤坂 憲雄



イザベラ・バード 旅に生きた英国婦人 (講談社学術文庫)イザベラ・バード 旅に生きた英国婦人 (講談社学術文庫)感想
古書店で遭遇発掘した本。イザベラ・バードの本は、『日本奥地紀行』以来、何冊となく読んできた。旅行紀行作家として秀逸の人物。バードの本に出合った切っ掛けもひょんなことだった。書店でパラッと捲っただけで読むに耐えると直感。
読了日:04月17日 著者:パット・バー



レンブラントの身震い (新潮クレスト・ブックス)レンブラントの身震い (新潮クレスト・ブックス)感想
内容案内によると、「人工知能は、アートや音楽、文学、そして数学などの分野で「創造性」を発揮しつつある。何世紀も前の巨匠たちの作品を学習したAIが「新作」をつくり、数学の証明を代行するようになったいま、機械は私たちを感動させることができるのか?」という本。著者は世界的な数学者。その彼が近年のAIに脅威を覚えているという。数学者としての存在をも脅かされているとか。数年前、チェスに続き囲碁もそのチャンピオンがコンピュータ(アルゴリズム)に負けた。今や、音楽でも評論家も舌を巻く作曲が現実のものとなってきた。
読了日:04月16日 著者:マーカス デュ・ソートイ



戦争が巨木を伐った: 太平洋戦争と供木運動・木造船 (236) (平凡社選書 236)戦争が巨木を伐った: 太平洋戦争と供木運動・木造船 (236) (平凡社選書 236)感想
戦争中の資料がかなり散逸消失した中で、懸命に博捜された労作である。資料も豊富。巨木に限らず日本の森林や木々に関心があり、巨木などに纏わるちょっとした戦争秘話を楽しむつもりが、その内容の充実ぶりにじっくり読み浸ることになった。寺社の貴重な古木や屋敷林の巨樹などが(大政翼賛会などを通じての)実質国の命令でどんどん伐採される中、日光の杉並木や箱根の杉並木が残った秘話は面白かった。ある意味、奇蹟かもしれない。
読了日:04月15日 著者:瀬田 勝哉



富山地方鉄道殺人事件 (新潮文庫)富山地方鉄道殺人事件 (新潮文庫)感想
西村京太郎作品は初めて。富山地方鉄道なる題名なので富山県人としては文庫版が出たのを機に読んだ。一連の十津川警部シリーズ作品は読んだことはない。他の作品はいざ知らず、本作品はつまらなかった。宇奈月温泉や立山黒部アルペンルートなど富山の観光案内書として読めるかも微妙。富山へは調査に来たんだろうけど。ローカル線には無人駅が非常に多いことに驚いた。
読了日:04月14日 著者:西村 京太郎



くもの巣の小道―パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話 (福武文庫)くもの巣の小道―パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話 (福武文庫)感想
古書店で発掘(?)した。レジスタンスに生き闘い倒れた群像を少年の目線で描くが、そこはイタロ カルヴィーノだ、ひと味もふた味も違う。レジスタンスについては映画でも英雄として描かれる。が、現実の戦争は今生きている我々と同じ社会に生きるような、いろんな人々が巻き込まれる。大人や子供、男と女、健常者に障碍者、真っ正直な奴にずるい奴、日常が戦闘状態になる。地を這うような視点で高邁と低劣とを描いていく。長編ではないはずなのに、読み応えたっぷりの小説だった。
読了日:04月11日 著者:イタロ カルヴィーノ



ラテンアメリカ五〇〇年――歴史のトルソー (岩波現代文庫)ラテンアメリカ五〇〇年――歴史のトルソー (岩波現代文庫)感想
南北アメリカの 特に先住民の歴史は、我輩の読書のテーマの一つ。欧米の植民地政策の
エグさ! キリスト教の宣教は露骨に植民地政策に加担してる。苦悩と悲惨に満ちた歴史。ラテンアメリカは今 変貌を遂げつつあり、体制の液状化の様相を呈しているとか。当たり前だが、今も受難の歴史が築かれ津々あるのだ。
読了日:04月07日 著者:清水 透



老人と海 (新潮文庫)老人と海 (新潮文庫)感想
自らのフィッシング体験を駆使しての巨大なカジキや鮫たちとの格闘場面は迫力がある。老人の呟きはパートナーたる少年へであり自らへの叱咤なのか。叙述の歯切れの良さに、時にジョイス風な意識の流れ的手法の試みなのかと思える表現が加味され、大海の中での人間ドラマが一層 効果的。ライバルたるフォークナーや親交あったジョイスもだが、メルヴィルの「白鯨」を一瞬 想起しそうになったが、ちょっと野暮な臆測かな。傑作。
読了日:04月06日 著者:ヘミングウェイ



人新世の「資本論」 (集英社新書)人新世の「資本論」 (集英社新書)感想
冒頭で著者は、「SDGsは大衆のアヘン」と指弾する。まず、門外漢の吾輩が気になったのは、「人新世」なるワードである。著者によると、「人類の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため、(この一月に惜しくも亡くなった)ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツェンは、地質学的に見て、地球は新たな年代に突入したと言い、それを「人新世」」と名付けた。人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代という意味である」という。
読了日:04月06日 著者:斎藤 幸平

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