「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌」展!
→ 「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌」(2011年11月1日(火)~2011年12月25日(日)) おお、今、開催中なのだ。この絵だけを見ると、何処となく「いわさきちひろ」風に見えたりするが、いろいろ作品を拝見すると、かなり違った世界を切り拓いた画家のようだ。 (画像は、「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌|名古屋市美術館」より)
ひどく気になる画家を見つけた。
例によって、「中村正義 (日本画家) - Wikipedia」を覗いてみても、年賦(1924年 - 1977年4月16日)などが書いてあるだけ。
ただ、テレビでも特集が組まれてきたし、展覧会も何度となく、催されてきたことは分かる。
← 中村正義 「菩薩」 (画像は、「中村正義 菩薩 | 銀座画廊おいだ美術 絵画販売・絵画買取」より)
好きな美術館で、小生自身、何度となく足を運んだ神奈川県立近代美術館でも、「反骨・奔走の偉材 中村正義」展が開催されていたのだから、チェックしていてもいいはずなのだが。
→ 中村正義 「菩薩」 (画像は、「中村正義 菩薩 | 銀座画廊おいだ美術 絵画販売・絵画買取」より)
「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌|名古屋市美術館」によると、「戦後、「日本画滅亡論」まで登場した日本画壇において、新しい時代の新しい日本画の創造を目指して活躍した中村正義。若くして日展の頂点に登り詰めながら、生来の批判精神と日本画壇の因襲への反発心から日展を脱退して、画題的にも画材的にも、日本画の既成概念を遥かに超越した多様多彩な絵画を描いて、「日本画壇の風雲児」と呼ばれました」などとある。
以下、説明が施されていて、この頁を覗くと、大よそのプロフィールが分かる。
← 中村正義 「樹木」 ビュッフェが風景画を描いたら、こんな風かなとも思わせるタッチ。孤独の輪郭を厳しく刻んでいて、印象的。(画像は、「中村正義 樹木 | 銀座画廊おいだ美術 絵画販売・絵画買取」より)
さあ、中村正義ワールド再見だ。
「丸木美術館-企画-09中村正義」なる頁によると、「丸木位里・丸木俊夫妻とは生前親しく交流し、“反権力”を掲げた人人展や東京展で行動をともにし」たとか。
→ 中村正義《ピエロ》(1975年 神奈川県立近代美術館蔵) ピエロというと、ビュッフェかジョルジュ・ルオーか。日本にも、こんなピエロを描ける画家がいたとは! (画像は、「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌 展示作品紹介|名古屋市美術館」より)
中村正義は、1924年、愛知県豊橋市に生まれ、1946年に中村岳陵に師事し、日展初入選など、順風満帆とも思える経歴を記していた。
が、若くして罹患した肺結核、そして長い療養生活もあって、彼の生き方は大きく変わる。
画風自体、ドンドン変化していった。
← 中村正義《うしろの人》(1972‐77年 豊橋市美術博物館蔵) (画像は、「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌 展示作品紹介|名古屋市美術館」より)
1961年に日展を脱会して以降にこそ、彼の本領が発揮される:
画風を一転させ、絵具に蛍光塗料を混ぜて描いた《男と女》や《舞妓》のシリーズや映画『怪談』のための大作《源平海戦絵巻》などの前衛的な作品を制作して、無所属の日本画家として活動を開始しました。1974年には、社会的な意識の高い前衛画家によるグループ「从会」を結成して、現代社会に生きる人間の《顔》に現われた心の闇を描いた作品群を発表しました。また一方で、鮮やかな静けさを湛えた風景画《太陽と月》シリーズや磨崖仏を思わせる仏画などの伝統的な画題でも独自の画風を探究しました。しかし、1977年には肺癌のために52歳で夭逝しました。
→ 中村正義《花》(1962年 豊田市蔵) (画像は、「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌 展示作品紹介|名古屋市美術館」より)
以下は、中村正義 著『創造は醜なり』(美術出版社)の中の、中村正義自身の言葉だという:
新しい思想のもとに生まれた絵は誰の目にもみにくいもの
創造するということは、善と秩序を形成することを妨害する行為の所産
芸術とは殺人犯になることのような気がする
← 中村正義 著『創造は醜なり』(美術出版社) (画像は、「Japanese Art Space 画家”中村正義”」より)
ネットで中村作品の数々を垣間見ただけだが、かなり毒もあって、見応えのある画家のようだ。
ますます、「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌」(名古屋市美術館 2011年11月1日(火)~2011年12月25日(日))で実物を見たくなる。
→ 中村正義「裸と私」(1974年 中村正義の美術館蔵) (画像は、「丸木美術館-企画-09中村正義」より。この頁では、ルオーか、それともブラックを思わせるような、中村正義の有名な<顔>シリーズの絵の数々が見られる。)
参考サイト:
「中村正義ドキュメンタリー映画『父をめぐる旅 -異才の日本画家・中村正義の生涯-』公式サイト」
「Japanese Art Space 画家”中村正義”」
下記より、本文を抜粋:
「「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌」展!(前編)」(2011/11/28)
「「日本画壇の風雲児 中村正義 新たなる全貌」展!(後編)」
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コメント
神奈川県に中村正義美術館があります。
東京新聞に毎日公告載りますよ。
そこから画像とれないのかな?
読売アンデパンダンで活躍されたのかな?当時の反体制は大体読売アンデパンダンですね、とゆうか、アンデパンダンに2つあり紛らわしい。
投稿: oki | 2011/12/13 20:57
oki さん
中村正義の美術館、東京在住時代に訪れておきたかったです。
読売アンデパンダンで活躍されたってのは、へえーです。
読売は、保守ゴリゴリのプロパガンダ紙です。
でも、美術だと、新鮮味のあるものを、さも理解あるように応援する。
美術や芸術は、見ただけでは、右も左も分からないし、志の向きも分からないから、都合がいい。
投稿: やいっち | 2011/12/14 04:25
これ、練馬区立美術館に巡回するので、行きますよ。
アンデパンダンには2つあり、この人がどちらで活動したか、存じません。
昨日からのドコモスマートフォンでの障害、対応に苦慮しました、かつてすぐのトラブルですから
投稿: oki | 2011/12/21 23:39
oki さん
中村正義の作品、実物を見られるなんて、羨ましいです。
練馬美術館、好きな美術館。
清宮質文の作品と出合ったのも、ここでした。
スマフォ、欲しい!
投稿: やいっち | 2011/12/23 22:28
喜んでください。
この展覧会の練馬の招待券が入りました。
しかし、凄いチラシだ。
正義参上、これが日本画だあ、ときた。
美術評論家、針生一郎という人の、これが日本画だ、という展覧会に参加したんですね。
ここで招待券貰いました。
http://www.art-inn.jp
投稿: oki | 2012/02/14 21:42