メデューサとしてのクラゲ?
一昨日の日記の冒頭で、「ある本を読んでいたら、「メデューサ(メドゥーサ)」という言葉に久々に出合った。ギリシャ神話に出てくる魔物である」と書いている。
せっかくなので(?)、当該の本の関連の記述を本ブログに転記しておきたい。
← ユージン・カプラン著の『奇妙でセクシーな海の生きものたち』.(土屋晶子◎訳 インターシフト)
格別な意図はない。あくまで個人的な興味であり、今後のため(になるとは到底、思えないが)メモしておきたいのである。
今、読んでいる本とは、 ユージン・カプラン著の『奇妙でセクシーな海の生きものたち』.(土屋晶子◎訳 インターシフト)である。
「ハーマン・メルヴィル賞を受賞した博覧強記の海洋生物学者による大人のお伽噺のような、海の生きものたちの真実」と銘打たれており、「広大な海で繰り広げられる、摩訶不思議な愛と性の饗宴」というもの。
著者のユージン・カプランは学者だが、同時に大学での講義の役も担っている。
講義の際、学生達に興味を持ってもらうため、先生達は工夫を凝らす。
本書は、まさに「広大な海で繰り広げられる、摩訶不思議な愛と性の饗宴」を縷縷、解き明かすもので、奇妙奇天烈なる愛の痴態の数々をこれでもかと語っている。
と言いつつ、忙しくて本書の冒頭しか読んでいない(汗)!
でも、初っ端から面白い。
海の生き物たちの生(性)態は、想像を絶するものがあるのだ。
さて、以下、「メデューサ」に関連するくだりを転記する:
(クラゲたちの属する)刺胞動物の基本的なライフサイクルには、それぞれ独立した二つの生殖形態の時期がある。有性生殖の時期(メデューサ)よ無性生殖の時期(ポリプ)である。ただし、サンゴやイソギンチャクなどを含む大きなグループでは、ポリプでありながら有性生殖をおこなう時期もあり、メデューサの形態にはならない。メデューサ――水中に浮遊しながら有性生殖をおこなう段階――は「クラゲ」として広く知られている。科学者たちが「メデューサ」という呼び名をつけたのは、ギリシア神話に出てくる魔物メデューサを連想したからだろう。メデューサの髪はうごめく無数のヘビであり、その姿を見た者はたちどころに石に変わったという。クラゲの有毒な触手はヘビのようにゆらめき、小魚を本当に石のように(完全に麻痺させて)しまうため、死の直前のけいれんさえ封じてしまう。メデューサのオスとメスはそれぞれ精子と卵子を海中に放出する。受精した卵子は無性世代のポリプになる。多くのポリプが無性生殖をくり返し、海底の硬いところにくっついて綿毛のかたまりのようなコロニーをつくる。こうしたコロニーからまたクラゲ世代が生まれ、次々に離れて独立していく。
メデューサ…クラゲと並ぶと、クラゲ好きな小生は素通りできない。
実際、「水母・海月・クラゲ・くらげ…」や「ヴァージニア・ウルフ……クラゲなす意識の海に漂わん」など、記事の内容(展開)を殊更、クラゲにこじつけたりする小生なのである。
予断だが、著者名の「カプラン」を見て、この著者名の方の本を読んだことがある。
でも、本書の著者の過去の訳書には見当たらない。
調べたら、ヤクザと右翼暴力団の実態や日本の企業社会との絡みを抉った本、D.E.カプランとA.デュプロの共著による『ヤクザ』(松井道男訳、第三書館刊)の著者の一人だった。
但しこれは十数年前に読んだ本。
もっと最近、カプランの本を読んだなと調べたら、確かにあった。
ロバート・カプラン著の『ゼロの博物誌』(松浦俊輔 訳 河出書房新社)で、昨春、読んだばかりの本。
数学好きのみならず文学好きにも関心を掻きたてられてしまう、知的昂奮の書だった。
こんなこともあって、カプランの名は印象に鮮明なわけである。
ただし、本ブログで紹介しているユージン・カプランとは共に別人である(何らかの縁戚関係があるかどうかまでは分からない)。
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