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2010/04/20

オースター『ティンブクトゥ』の周辺

 夏目漱石は、『吾輩は猫である』といった小説を書いた。
 何度か読み返したが、読むたび面白く感じる。

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← ポール・オースター著『ティンブクトゥ』(柴田 元幸【訳】 新潮社) 奇妙な題名の「ティンブクトゥ」。それは、飼い主が信じるところの、来世であり、「人が死んだら行く場所」の名。飼い犬が「理解する限りどこかの砂漠の真ん中にあって、ニューヨークからもボルチモアからも遠い、ポーランドからも、一緒に旅を続けるなかで訪れたどの町からも遠いところにある」。

 さて、「我輩は犬である」といった類いの小説を書いた人がいるのかどうか、小生は知らない(多分、いるだろう)。
 猫の感性や感覚も、恐らくは人間(常人)の想像を超えるものがあるのだろう。
 それでも、身近な愛玩動物として、小説的空想を逞しくしてみたくなるのは分かる。

 一方、犬だって猫に負けず劣らず我々人間に身近な愛玩動物である。

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2010/04/18

ル・クレジオ 空を飛ぶ

 昨日の日記「空を飛ぶ夢を叶えるには」では、飛行機や気球などの機械や大袈裟な道具を使わず空を飛びたいという人類の夢について呟いてみた。
 その際、日記ではアメリカの大統領が昨日発表した、人類を火星にという構想に触発されて書いたかのような形になっている。
 が、実際は違う。

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← J・M・G・ル・クレジオ著『地上の見知らぬ少年』 (鈴木 雅生 訳 河出書房新社)

 それだけだったら、ちょっと興味深いニュースということでスルーしていただろう。
 実は、今読んでいるJ・M・G・ル・クレジオ著の『地上の見知らぬ少年』 (鈴木 雅生 訳 河出書房新社)の中の一節に接して、やや大袈裟な表現を使うと共感・同感し快哉を叫ぶという心境に突き動かされて書いたのである。

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2010/04/11

村上春樹訳チャンドラー『ロング・グッドバイ』を読む

 レイモンド・チャンドラー作『ロング・グッドバイ』(村上春樹訳 早川書房)をとうとう読了した。

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← レイモンド・チャンドラー(Raymond Chandler)作『ロング・グッドバイ(THE LONG GOODBYE)』(村上春樹訳 早川書房 (2007/03/10 出版))

 とうとう、というのは、読書に割く時間がなく、情けなくもちびりちびりと、まるでブランデーでも嗜むようjに読む羽目になったこと、冒頭の一節を読み始めた瞬間からその文章に惹かれ、読み終えるのが惜しくてたまらなくなったこと、(最後は思いっきり情けない個人的事情だが)滅多に本を買えない小生、買った本を読む貴重な機会と時間が過ぎ去ったことなどの理由の故である。

 そして、読み終えるのが実に惜しいと感じさせた本でもあった。

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