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2010/03/03

ベクシンスキー:滅亡の美学(前篇)

「furiae」の周辺」なる稿を書くため、関連情報をネットで渉猟していて、「ファンタジーアートの世界~美麗系&CG系アーティスト」なるサイトに遭遇。
 どのアーティストも興味深いが、小生の嗜好もあってか、ベクシンスキー(Zdzislaw Beksinski)という名の世界に特に惹かれた。
ベクシンスキーのHP:「Zdzislaw Beksinski 」(Official web site presented by Belvedere Gallery)

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→ ズジスワフ・ベクシンスキー(Zdzislaw Beksinski)著 『ベクシンスキー』(永瀬唯・解説 エディシオン・トレヴィル・発行 河出書房新社) 「死、腐敗、損壊。言い知れぬ寂寥感と恐怖に支配され永遠の廃墟と化した時空。それでも画幅にはエロスの魂だけが虚ろに木霊している。先頃刺殺体で発見されたポーランド孤高の画狂ベクシンスキーの日本唯一の作品集、追悼復刻版!」とか。

ズジスワフ・ベクシンスキー - Wikipedia」によると、「ズジスワフ・ベクシンスキー(Zdzislaw Beksinski、男性、1929年2月24日 - 2005年2月22日)は、ポーランドの画家、写真家、芸術家」として、さらに以下の説明を見出す:

作品では、死、絶望、破損、廃退、終焉などが描かれ、それは不気味さや残酷さと同時に荘厳な美しさを感じさせる。独特の世界観から多くの支持を得た画家である。
[来歴]
ポーランド南東サノク出身。少年時代にナチスのポーランド侵攻を経験している。
祖父や父が建築関係者ということで、クラクフ工業大学建築設計学部に入学、卒業後は建築業務で現場監督をするも不満を抱き、芸術の道へ進む。

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← ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より)

「1964年、初の展示会では作品の全てに買い手がつき、すぐさまポーランドの代表的な近代芸術家として認知される」というから、その筋にはかなり人気のある画家だったようだ。

 さすがにネットの世界は広い。彼に付いて調べたり日記に採り上げたりするサイトがすぐに見つかる:
ULTRA GEWALT sampeikinba's painting blog ベクシンスキーについて
 これは、どうやら、2005年2月22日のベクシンスキーの訃報情報(殺害した犯人逮捕)に接しての記事のようだった。

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→ ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より) 死屍累々。墓碑銘などありえない墓そして骨。

ちょっと小ネタ」ということで、以下の話が:

ベクシンスキーが学ぶことになる古都クラクフには第二次大戦中ナチスが作ったユダヤ人・ゲットーがあったそう。
そのクラクフ・ゲットーにベクシンスキーより四つ年下、パリ生まれのユダヤ系ポーランド人の少年がいた。
収容所送りとなった母親とは死に別れる。ゲットーを脱して戦火を生き延びのちに映画監督となった。
ロマン・ポランスキーだ。

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← ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より)

ULTRA GEWALT sampeikinba's painting blog ベクシンスキーについて」には、ベクシンスキーの履歴など、詳しい記述が得られる。
 末尾の一節を転記させてもらうが、是非、当該のブログで一読願いたい:

母国語以外は話さず、母国を離れた事は一度もなかった。
地位を確立した後も、マスコミ嫌い、政治不信、集団を嫌って孤独を好んだ。

" 私の絵に定義づけ、意味を問う行為は無意味だ。私自身意味は分からないしね。
そのうえ、理屈にはサッパリ興味が無いんだ。"

" 描き始めた当初からひたすら専念してきたのは、うつくしい絵を描こうという、ただそれだけ。"


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→ ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』(画像は、「Zdzislaw Beksinski」より) フリードリッヒからロマンチックなものへの憧憬の念が欠落した世界のような。

「描き始めた当初からひたすら専念してきたのは、うつくしい絵を描こうという、ただそれだけ。」…。
 なんと、鮮烈な!

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← ズジスワフ・ベクシンスキー Zdzislaw Beksinski 『??』 (画像は、「★究極映像研究所★ ■ポーランド現代絵画孤高の巨人」より。「Zdzislaw Beksinski」にも載っている) 「描き始めた当初からひたすら専念してきたのは、うつくしい絵を描こうという、ただそれだけ」というけれど、こういう絵を美しい絵と呼んでいいのか。でも、確かに美しい!

滅びの画家 「Beksinski」 (ベクシンスキー) - 関心空間」には、以下のように紹介されている:

ポーランドの画家。身体の損壊、崩壊する巨大遺跡などを中心とした、美しくも昏い世界を描き続ける。
彼の描く世界はどれも終末的な痛々しさと共に強い死臭を漂わせるが、それは決して醜怪ではない。寧ろ、静謐で荘厳な美しさを湛えている。
物と一体化した人体や死者の集会など、人の死をベースとした作品も多いが、私は巨大構造物を扱った作品を好んで眺める。特に画集の表紙にもなった方舟は、青の美しさと共に強く影響を受けた。

ベクシンスキー:破滅の美学(後篇)」に続く。

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