瓜南直子作『寝目物語』
ここで私は眠っている。ずっと滝の調べを聴いている。
手足をそろえて固く目をつぶった。
ある夜、めりめりという音で眼がさめた。見ればけむりが箱を喰いやぶっている。
夢に虫が棲んでいる。今日は夢のてっぺんで蜜をなめている。
私はといえば、蔵一杯のつぎはぎの夢を抱えて、途方にくれている。
今あなたが目の前でみているのは、私が昔見た夢です。そう言うと、男はくるくると反物のように景色を巻きました。
[備考]
瓜南直子(かなん・なおこ)作『寝目物語(いめものがたり)』のコンセプトなどについては、「瓜南直子のブログ 寝目物語」を参照願います。
「『寝目物語』は、平成11年から12年にかけて『月刊美術』誌上で連載した絵物語」で、「その後、画文集『寝目物語』として、平成13年にギャラリー・ミリュウから発行されました。刊行記念の個展も、同ギャラリーに於いて開催されました」とのこと。
(10/02/27 作)
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 2023年10月の読書メーター(2023.11.01)
- 2023年9月の読書メーター(2023.10.03)
- 2023年8月の読書メーター(2023.09.04)
- 2023年7月の読書メーター(2023.08.01)
- 2023年4月の読書メーター(2023.05.03)
「美術・日本編」カテゴリの記事
- 川合玉堂の「二日月」に一目惚れ(2016.02.25)
- イラストレーター八木美穂子ミニ特集(2014.09.03)
- 異形の画家「小林たかゆき」を知る(2014.09.01)
- 山の版画家・畦地梅太郎の世界(2014.05.23)
- 霧の作家・宮本秋風の周辺(2013.10.15)
コメント