木版画家・鈴木敦子展へ
日曜日だった今日、午後、五月の中旬だったか、咲き終えたチューリップの球根を前の庭に植えた。
昨年はここだけではなく、他に二箇所にもチューリップ畑を造成したのだが、来年は、今の所、この一箇所だけ。
ちょっと畑や庭仕事の余裕がありそうにない。
でも、せめてあるだけの球根は活かしたくて、慌しく植えたのである。
→ 初めて足を運んだ「Gallery NOW」のエントランス付近の佇まい。
そのうち、ふと、忙しいと言っているばかりじゃ、悪循環となってしまうだけ。
思い切って外出しようと、車で今日で終了する展覧会へ出かけた。
目当ての画家の作品に、実物に出会えるのだ。
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初めて行くギャラリー。ネットで場所を確認。今にも崩れそうな空模様の中、一路、富山市の外れのほうにあるギャラリーへ。
なかなか瀟洒な佇まいの、いかにもオーナーの心配りの優しさの漂うギャラリーだった。
肝心の画家の展示即売会については、後日、機会をも設けて書いてみたい。
今日は、同じギャラリーでたまたま開催されていた版画の展覧会のことを。
お目当ての画家の作品を見て回って、十数万円という値段を見て、これくらいならポケットマネーで一点くらいは買える…と言いたいものだとつくづく思った。
十数点ある作品のうち、数点にはもう買い手が付いている。
その場で購入を決めることの出来た人が羨ましい、などと思いつつ、後ろ髪を引かれる思いのまま、すぐに帰る気にもなれず、同じギャラリーの中の違う部屋でやっていた版画展会場へ。
十畳ほどの広さの会場の壁一面に、清楚で透明感漂う作品が展示されている。
見た瞬間、小生の好きな清宮質文を連想させた。
帰宅して調べてみたら、版画家の鈴木敦子という方は、清宮質文に憧れていたという。
なるほど、である。
脳裏の中の深い湖の透明な水を透かせてこそ垣間見られるような、静謐さと質のいい叙情性。
夢の中でしか会えない、すぐそこにあるのに、決して手の届かない世界。
思いがけない時に、不意打ちのように沸き出でる思い出…というより熱情の横溢にも似た泉。
→ 以上、小生の手になる撮影。実物の作品の世界は推して(…想像で補って)知るべし。
鈴木敦子という作家を小生は今日、(多分)初めて知った。
「Gallery NOW|EXHIBITION」によると、鈴木敦子(1968-)は、「名古屋芸術大学美術学部絵画科卒」で、2005年 詩画集『午後の光』刊行(詩:垣内磯子/画:鈴木敦子があり、作風から見ても分かるように、「清宮質文展を観て感動を受ける」とか。
← 『散歩の途中』(木版画 22.5×22.5cm E.D.23 2008年) この作品も展示されていた。これが僅か数万円で買える…のに、手が出なかった。
小生の手になる(内緒の)撮影では画風が今ひとつ、分かりづらいだろうから、一つだけ、上掲の作品を今日、足を運んだ「Gallery NOW」の版画展頁から紹介させてもらう。
見られて分かるように、清宮に憧れつつも、鈴木敦子ワールドには、清宮のような孤独の淵に沈みきらない、二人の世界への健康な憧憬の念と表現欲求も垣間見られる。
鈴木敦子ワールドには人間の輪への共感の念という、清宮とは違った意味での暖かみがあると感じられた。
こんな素敵な版画家に出会えるなんて、やはり、無理しても外に出るものである。
(尚、文中、本稿は日記という性格もあるが、例によって敬愛の念を籠めて敬称は略させてもらった。)
鈴木敦子ワールドにもっと触れたい方は:
「SHINOBAZU GALLERY …EDITION鈴木敦子」
「鈴木敦子」(「ようこそTOSHIOのホームページへ」より)
(09/11/29 作)
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