「富山市美術展 2009」を観て来た(上)
富山県民会館美術館にて開催されていた(会期は、10月6日(火)~12日(月))、「第5回 富山市美術展 2009」を鑑賞に行って来た。
ネット(のみ)での交流の(少し)ある方の作品が出品されている、しかも、その作品は市展大賞を受賞されているということで、チラッとでも実物を見ておきたかったのだ(例によって、敬愛の念を籠め、勝手ながら敬称は略させていただく)。
← 古田恵子「Cocoon 混沌の分解」市展大賞
倒壊した杉の木の片付けやらお見舞い、家事、アルバイトなど慌しい中を縫っての、束の間の静謐の時…。
のはずだったが、会場が広いこともあり、多数の作品を一通りは見ておきたいという欲求も湧くもので、日常以上に駆け足の、慌しい鑑賞となった。
例によって、会場では撮影は禁止。だったら、写真付きの図録を用意してほしい。作者名と題名だけのパンフレットじゃ、あとで振り返ろうにも、誰彼と感想を述べ合おうにも、どうしようもない。
いい作品は他にもあったが、ほとんどが撮影が叶わず。残念。
→ 高澤俊子「アズマダチ民家(散居の里より)」(入選) 構図と題材の妙。
市展大賞を受賞した古田恵子の「Cocoon 混沌の分解」という作品(冒頭の画像参照)。その題名やテーマに籠めた思いや意味合いは、作者によると、「混沌の中から秩序を見いだし、また秩序を分解して新しい混沌を生み出す」といったようなことだとか(「混沌の分解|アートバカmumeのブログ」参照)。
← 中島孝二「水辺に樹勢する」(入選) 広い会場のそれぞれの区画に十数点が展示されているのだが、この作品は、仕切られた区画に入った途端、目を引いた。
固定観念や家族内(など)の諍い、確執、広い宇宙を思いつつも、小さなことに囚われてしまう人間。
作者は混沌と表現されているが、小生は極小と極大(卑近と高邁)、天国(空想・妄想の世界)と地獄(この世のこと)との股裂きとも理解されてならない。
古田作品には、混沌を突き破らんとするエネルギーの迸(ほとばし)りこそが表現されているように感じられる。
→ 山室良作「つくろい」(入選) 雄勁なる抒情。
我が母は、病床で日々寝て過ごしている。意識はハッキリしている、けれど、悲観的な妄想は蠢いても、楽しいことを想像する力がない。
動けない体であっても、夢と楽しみに貪欲であってくれたら…。
← 前口 明「道化」(入選) 絵に迫力を感じた。
絵画など芸術とは懸け離れた話題?
でも、音楽にしろ絵にしろ、仏像や人物像などの造形作品にしろ、生きることの悲しみや諦めを説くより、この世の肯定をこそ創造の焔(ほむら)のエネルギー源にしているはず(と、小生は思う)。
→ 加藤範明「明日への希望」(入選)
アートに救いを求めるってのは、時代錯誤?
アートは、健常なる者たちの慰め?
アートは、額に収められ壁に掛けられた、絵に描いたモチ?
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コメント
芸術の秋ですが、美術館から足が遠退いています。
本のなかに画家の名前を見つけ、ネットで画を見てみたりといった昨今です。
投稿: 滝川 | 2009/10/13 01:05
滝川さん
小生も全く同様です。
ネットが美術鑑賞の大きな窓。
でも、作家たるもの、刻苦精励ばかりじゃ、世界が狭くなる。
好奇心旺盛、行動力も飽くなきものでないと、って、思わないですか?
と言いつつ、自分でも出来ていないのですが。
投稿: やいっち | 2009/10/13 18:08