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2009/10/30

「之を楽しむ者に如かず」!

 世に音楽が嫌いだという人は少ないのではなかろうか。
 音楽ということで、どんなイメージや人や曲を思い浮かべるか、同床異夢ではあろうが。

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← 吉田秀和/著『之を楽しむ者に如かず』(新潮社 2009/09/30刊)

 小生にしたって好きか嫌いかと言えば、好きである。
 というか、断然、好きである。

 しかしながら、人との比較において、我輩が段違いに好きかと問われると、返答に窮する。
 音楽が好きということに嘘偽りがあるわけではない。

 まあ、そもそも人と音楽を享受する生活の如何を比較することにどれほどの意味があるのか、という反論もありえよう。

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2009/10/22

『旅する遺伝子』で人類の歴史を旅する

 スペンサ-・ウェルズ著の『旅する遺伝子』(上原 直子【訳】 英治出版 (2008/10/27 出版))を読んだ。
 副題は、「ジェノグラフィック・プロジェクトで人類の足跡をたどる」とある。
 著者のスペンサ-・ウェルズは、「ナショナルジオグラフィック協会の協会付き研究者であり、ジェノグラフィック・プロジェクトの指揮を執る」という方。

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← スペンサ-・ウェルズ著『旅する遺伝子』(上原 直子【訳】 英治出版 (2008/10/27 出版))

「「ジェノグラフィック・プロジェクト」とは」、「世界各地の数十万人から採取したDNAサンプルを分析し、いつ、どのように人類がアフリカから地球全体に広がっていったかを解明する国際研究プロジェクト」である。
 本書はその成果の(ほんの)一端ではあるが、「現代に生きる5人のDNAから明かされたのは、5万年をかけた人類の驚くべき移動の秘密」(歴史)を語ってくれている。

 小生、この手の本に目がない!

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2009/10/20

ブルース・シューム著『「標準模型」の宇宙』を読む?

 ブルース・シューム著の『「標準模型」の宇宙』(森 弘之訳 日経BP社)の『「標準模型」の宇宙』(森 弘之訳 日経BP社)を読んだ。
 副題は、「現代物理の金字塔を楽しむ」とある。

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← ブルース・シューム著『「標準模型」の宇宙』(森 弘之訳 日経BP社)

 読了するのにまる二週間を要した。
 しかも、内容をほとんど理解することは叶わなかった。
 とてもじゃないが、「現代物理の金字塔を楽しむ」なんて余裕などない!

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2009/10/15

小笠原洋子著『フリードリヒへの旅』を巡って

 小笠原洋子著『フリードリヒへの旅』(角川学芸出版)を読んだ。
 読んだし、楽しませてもらった。

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← 小笠原洋子著『フリードリヒへの旅』(発売日:2009年 09月 10日 角川学芸出版)

 同時に、ちょっと羨望というか嫉妬めいた気持ちを抱きつつ、本書を手にしていた。

 出版社による内容紹介によると、「風景を素材とした内省的で静謐な崇高の美を謳うドイツ・ロマン主義の画家フリードリヒ。その作品を訪ね歩き、モチーフとなった現場に立ち、重なり合う共感をベースとして、画家の足跡と芸術性を描き出す美術評論」といった本なのだが、特に、「その作品を訪ね歩き、モチーフとなった現場に立ち、重なり合う共感をベースとして、画家の足跡と芸術性を描き出す」といった部分に惹かれたし、羨ましくも思ったのである。

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2009/10/14

「富山市美術展 2009」を観て来た(下)

 会場内をせかせかと見て回った…というより歩き回ったもので、書(書道)や工芸、写真などのコーナーは、今回は立ち入ることもしなかった。
 書(書道)や工芸(造形)作品は苦手という意識も働いて、ついつい敷居が高く感じられるようでもある。

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← 鉾木久雄「雪の山門」(入選)

 さて、絵の鑑賞で下手な感想など書かない。
 以下、旧稿からモノローグを少々、転記して示す。
 特に意味はない…のだが。

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2009/10/13

西牧徹「密室ライブトーク」が開催されます

 10月31日、西牧徹さんによるトークショーが開催されます。

 サロンイベント「デカダンス再発見~我ら、その流れを継ぐもの~」というイベント(2009年10月22日(木)~11月8日(日) 12:00~20:00 ※月曜休館)の中での企画のようです。

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→ 西牧 徹「ブータンの砦へ」(2004) (画像は、「西牧徹-黒戯画世界 Blacken Caricature-Toru Nishimaki」より)

西牧徹「密室ライブトーク」

自らのフェティッシュな感覚と切り離せない作品世界を緻密な鉛筆画で作り上げる特異な画家、西牧徹。彼が自らの作品群=黒戯画にかける想いを、彼が影響を受けた絵画作品、小説、普段愛用する物品などを持ち込んだスペースで語る密室ライブトークショー。西牧作品愛好家にはまたとない貴重な機会です。
時間: 10月31日(土) 15:30 OPEN 16:00 START※前売り1,000円、当日1,200円(エントランス・フィーを含む)

 詳細は、下記にて確認してください:
ヤスダアートリンク【YASUDA ART LINK】


西牧徹関連拙稿:
間もなく西牧 徹 展「月と雷雲1865」
西牧徹…ラブドール幻想
西牧徹の黒戯画的ユートピアとロリータ文化

                             (09/10/13 作)

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2009/10/12

「富山市美術展 2009」を観て来た(上)

 富山県民会館美術館にて開催されていた(会期は、10月6日(火)~12日(月))、「第5回 富山市美術展 2009」を鑑賞に行って来た。
 ネット(のみ)での交流の(少し)ある方の作品が出品されている、しかも、その作品は市展大賞を受賞されているということで、チラッとでも実物を見ておきたかったのだ(例によって、敬愛の念を籠め、勝手ながら敬称は略させていただく)。


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← 古田恵子「Cocoon 混沌の分解」市展大賞

 倒壊した杉の木の片付けやらお見舞い、家事、アルバイトなど慌しい中を縫っての、束の間の静謐の時…。
 のはずだったが、会場が広いこともあり、多数の作品を一通りは見ておきたいという欲求も湧くもので、日常以上に駆け足の、慌しい鑑賞となった。

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2009/10/11

カネッティ『眩暈』に眩暈!

 エリアス・カネッティ著の『眩暈(めまい)』(池内紀訳 法政大学出版局)を読んだ。
 二週間以上を費やして。
 読んだ、なんて言えるのかどうか…。
 目を通しただけ、というのも違う。
 とにかく読了して、今は、偏屈さと狂気とで一杯の脳髄の中を這い回っただけ、という感があるばかりである。

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← エリアス・カネッティ著『眩暈(めまい)』(池内紀訳 法政大学出版局)

 ノーベル賞作家カネッティの長編小説と世上は紹介されるが、当然ながら本書を書いた当時は、無名の書き手に過ぎなかった。
 実際、1905年生れの彼が本書を書き始めたのは、1929年に学位(ウィーン大学で化学)を取得した頃であり、書き上げたのは26歳の頃と言われている。
 発表当時は、ほとんど、無視。あるいは罵倒の対象だった。
 そりゃそうだ、こんな本が公表された当時に理解などされるはずがない。
 およそ、理解が出来るのかどうか自体、小生には分からない。

 

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2009/10/07

『匂いの人類学』の周辺を嗅ぎ回る

 エイヴリー ギルバート著の『匂いの人類学―鼻は知っている』(勅使河原 まゆみ訳 ランダムハウス講談社 (2009/07/23 出版))を読んだ。
 図書館で新入荷本の棚を物色していて発見、即、手に取った。

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← エイヴリー ギルバート著『匂いの人類学―鼻は知っている』(勅使河原 まゆみ訳 ランダムハウス講談社 (2009/07/23 出版))

 嗅覚障害を持つ小生には、「匂い」を扱う本となると、単なる好奇心で読み流せるものではない(嗅覚の鈍さの故に死に損なったことも!)。
 今、ずっと文学系の本(大作)を読んでいるので、自分の中のバランス感覚で、少しでも自然科学系の書籍を浩瀚な文学書の購読の合間に息抜きで(上記と矛盾するようだが)読みたいという思惑もあった。

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2009/10/01

「南桂子と谷川俊太郎展」の周辺

南桂子と谷川俊太郎展」が18日、上市町郷柿沢の西田美術館で始まっていることでもあり、南桂子(の版画)について、ちょっと触れてみたい。
(この展覧会は、「高岡市出身の銅版画家、南桂子さん(明治44~平成16年)による銅版画と、詩人の谷川俊太郎さんの詩集の挿絵として描いたペン画を谷川さんの詩とともに紹介している。10月25日まで。西田美術館、北日本放送、北日本新聞社主催」というもの。詳しくは、「北日本新聞社 富山のニュース 詩の世界を表現 上市・西田美術館「南桂子と谷川俊太郎展」」を参照のこと。)

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← 南桂子「花束を持つ少女」(1980) (画像は、「南桂子 Keiko Minami / ギャルリー宮脇」より)

 南桂子の版画については、名前までは知らなくても、作品を見ると、ああ、どこかで見たことがある、柔らかく、暖かかで、郷愁の念を掻き立てるようでもあり、とても親しみやすい…といったような印象を少なからずの方が持たれたのではなかろうか。
(以下、例によって敬愛の念を籠め、敬称は略させてもらう。)

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