小泉八雲『神々の国の首都』を読む
小泉八雲著の『神々の国の首都』(編者: 平川祐弘 講談社学術文庫)を読了した。
小泉八雲は、高校時代からの好きな書き手。
彼の著作集は、二度も揃えようとしたものだ(途中で息切れしたが)。
→ あれほどに元気の良かったゴーヤも、最近は少し、疲れ気味。段々、涸れた葉っぱが目立ってきた。実の育ち方も遅々としている。今朝、ほぼ最後となるだろう、ゴーヤの実を収穫。親戚筋のものに強制的に(?)提供。一方、ヘチマの葉っぱは、元気そのもの。いよいよヘチマの天下か。
出版社側の説明によると、「「人も物もみな、神秘をたたえた、小さな妖精の国」と日本を初めて訪れた八雲は、感嘆の声をあげた。出雲の松江という「神々の国の首都」での彼の見聞記は、人々の日常生活の中に分け入って、深くその心を汲みとろうという姿勢で貫かれ、みずみずしい感動と相まって、見事な文学作品にまで昇華されている。旧(ふる)い日本と新しい日本が交錯する明治20年代の風物や風習、人々の姿を鮮やかに描いた名著」といったもの。
← 裏庭に植えた記憶のない植物が大きく育ち、こんな花(?)も咲かせている。雑草なのか、何かの花が間違ってここに咲いたのか、分からない。
彼の文章は飽きない。叙述が、その前に観察がきめ細かい。
彼の生れや資質と題材(古き良き伝統や風習のまだ濃厚に残っていた明治の、それも松江という町)との相性がこの上なくマッチングして、彼の表現する意欲が結晶となった本と言える。
翻訳された本ではあるが、違和感なく読めた。
→ 今朝(23日)の「クレオメ(西洋風蝶草)」。大して丈夫そうには見えないのだが、この花の命は長い。まだしばらくは楽しませてくれそう。
読書する時間が取れず、大概、寝入る前の睡眠導入剤代わりに読み齧る日々。
本書も好きな作家の、嘗ての良き日本を描いた、好きな題材の本なのに、読了するのに二週間も要してしまった。
まあ、それだけ、ゆっくりじっくり付き合えたし、楽しめたとも言えるのだろうが。
← 三日前の日記で、やや悲観的な観測を書いてしまったが、母は、昨日からベッドではなく、敢えて車椅子に移って食事したり、そのまま散歩したりしている。無論、介護士さんか看護師さん、大概は親戚筋のものが付き添ってだが。今日は、小生が付き添い。最初は病棟の廊下や談話室などをウロウロするだけだったが、日差しが強くなく、かといって寒い風が吹くわけでなく、散歩に良さそうだったので、車椅子の母を病院の庭に連れ出した。目のほうも弱っているので、どれほど外の風景を愛でられたか知れないけれど、気分転換にはなったものと思いたい。この写真は、談話室(休憩室)から下界を俯瞰した光景。
時間があれば、随所に見受けられる名文を転記して示したいが、そうもいかない。
毎日、汗を掻く仕事をしているので、仕事から帰ったら、シャワーくらいは浴びたいが、それも二日に一度がやっとの日々なのだ。
不思議なのは、彼の文章そのものかもしれない。
淡々と叙述するような場面でも、決して飽きない。単調な、単なる風俗や光景の説明だけのはずなのに、読ませる。
→ 病院の庭(ロータリー回り)を母と散歩していて、この見事な葉っぱの絨毯に遭遇。母は、これってどういう名前なのって聞く。小生も知らない…わけじゃないが、過日、御なじみのかぐら川さんにせっかく教えてもらった名前がちゃんと出てこない。「手間要らずのグランドカバー」植物である、「ヘデラ カナリエンシス」なんて名前、そうすんなりは出てこないよね!
彼の対象(出雲の松江や人々)への愛情の成せる業(わざ)と言えば、それまでだが、凡庸な文章しか書けない小生には、不思議としか思えない。
まあ、楽しませてもらえれば、それでいいのだけれど。
(09/09/23 作)
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コメント
花穂の部分だけで特定できないのですが、特徴のある花からするとアメリカヤマゴボウに間違いないと思います。
ハーンについてはあらためて。
投稿: かぐら川 | 2009/09/24 21:03
かぐら川さん
いつもながら、ありがとうございます。
アメリカヤマゴボウ(亜米利加山牛蒡)なのですね:
http://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/hana-america-yamagobo_large.html
花の形などは納得ですが、色合いがちょっと違う。
これから、段々と赤っぽくなっていくのでしょうか。
投稿: やいっち | 2009/09/26 19:20