« 小泉八雲『神々の国の首都』を読む | トップページ | アナトール・フランス著『赤い百合』を愉しむ »

2009/09/24

沈黙の宇宙に響くハープの音色

 読書も音楽に聴き入ることも侭ならない日々が続いている。
 それでも、週に一枚の割で、CDを借りてきて、束の間の時であれ、曲を流しておく。

Left_img_02

← 『花一輪~彩愛玲ハープの世界』(キングレコード)

 空疎で殺風景な部屋を満たすために…ではなく、多くは、こうしてブログ(日記)を綴る際に、流したままにしておく。
 ロッキングチェアーに腰を沈めて、ゆっくり聴き入りたいところだが、まあ、ながらの形で曲を楽しむのも、やむをえないだろう。

 今、借りて聴いているのは、図書館のCDコーナーを物色していて、たまたま目に飛び込んできた彩愛玲さんのCDである。
 かねてより、ハープの曲を聴きたくて、視聴覚コーナーを訪れるたび、物色するのだが、ハープのCDはなかなか見つからない。
 それが、誰か知らない方のCDであれ、ハープという活字が躍っている(ように見えた)ではないか。

 生憎、CDが古いからか、ちょっと音の出に難があり、ややボリュームを高めにしないと曲がよく聴き取れない!

 最初、普段通りのボリュームのまま架けていたものだから、ほとんど音が聞こえてこず、なんて迫力のない、演奏なんだろう、なんてガッカリしていた。
 何度か音量を調整して、やっと演奏を楽しめるようになった。
(その代わり、途中、音(演奏)が曲の途中で飛ぶのに気づかされた。ガッカリである!)

 ちょっと手間取ったりしたけれど、やっと久しぶりに念願のハープの音色に身を浸している。

 小生には、彩愛玲さんという名前は初耳である。
 何も知らない小生が紹介するのも、恐縮だし、おこがましいので、オフィシャルサイトを示すのみに止める:
彩愛玲 オフィシャルサイト Sai Ailing Official Site
 
 念のため(?)、プロフィールの頁も示しておこう:
彩愛玲 オフィシャルサイト Sai Ailing Official Site Profile プロフィール

「東京出身。国立音楽大学卒業。篠崎史子氏に師事」で、「2003年、第4回大阪国際音楽コンクール弦楽器一般の部3位を受賞」、「2007年キングレコードよりCD「花一輪」をリリース。ハープソロによる西洋・東洋の名曲、民謡を収録」というから、知名度が高くないのも無理はないのか。

 今の所、リリースしたCDも『花一輪~彩愛玲ハープの世界』の一枚のみのようだ(多分)。
(こんなに新しい…はずのCDなのに、音が飛ぶってのは、それだけ頻繁に貸し出しされ聴かれているってこと?)

 ハープという楽器が何故か好きで、東京在住時代の最後の数年は、図書館でCDを借りる際は、数枚の借り出しのうち、可能な限り一枚は、誰かしらのハープのCDを選んでいたものだった。

 実際、ブログ(日記)でも、幾度となく、ハープ(演奏者)を題材にあれこれ綴ったものだ。
 以下、過去のハープ関連の記事から(直接はハープに関係ないけれど、触発されたものとして)若干の記述を転記しておく。


音楽を「人間が楽しむことのできる音」の連なりと理解するなら、風に木の葉の鳴る音も、川の瀬音も、衣擦れの音も、愛しい人の息衝く音も、心臓の鼓動も、その全てが音楽であっていい。
(中略)
 目を閉じても、音源に背を向けていても、音が鳴っている。音楽が奏でられている。真っ暗闇の宇宙の中で音が鳴っている。音という素粒子があるのだろうか。
 音という波長があるのだろうか。波が波動となって我々の肉体と同調するのだろうか。
 音という言葉では示すことのできない、何かもっと根源的な何かが、たまたま人間には音という仮の形象で受けとめられているに過ぎなくて、実際には、宇宙の溜め息か囁きか呼びかけか、それこそ宇宙の鼓動のようなものが鳴動しているということなのだろうか。
(「弦の音共鳴するは宇宙かも」より)

Breath3

→ 姜小青(ジャン・シャオチン)悠 Breathing Spaces ジャン・シャオチン」(パシフィック・ムーン・レコード) ハープの演奏家ではないのだが、彼女のこのCDが、小生がハープの世界に魅入られる大きな切っ掛けとなった。悲しいかな、富山県内の図書館には彼女のCDは一枚も所蔵されていない!

 

 けれど、冬の空は、何処までも青い闇が深い。星の瞬きが闇の凄さのゆえに目どころか心の中をも射抜くほど強烈に感じられる。淋しい! だけど、まるで我が故郷を捨て去ったかのように、我が家を背にして遠くへ遠くへと滑っていく。
 音のない世界。音が生まれようとしても、雪の中に吸い込まれていく。耳が痛いほどの沈黙の世界。そんな中、スキー板が凍て付く雪面を削る音だけが、響いている。生きる証しは、そのガリガリという音だけのようにさえ、錯覚されてしまったり。
(「真冬の明け初めの小さな旅」より。こんな沈黙と釣り合えるほどの音楽が理想なのだが…。)

 

 音の雫がおちこちの軒先の庇に一滴また一滴と落ちている。掻き削られたダイヤモンドの欠片たちが闇に自光する。瞬時の輝きを発する。
 あと、自分ができることといえば、瞬時の煌きを決して見逃さないことだ。沈黙する宇宙の音楽を聞き逃さないことだけだ…。
(「沈黙の宇宙に鳴る音楽」より)

ハープのことギリシャからエジプトへ
内田奈織…森口博子…原田悠里
姜小青を聴き心地いい…今はただそれだけ
夢路にて古筝(こそう)から胡弓へと川下り

世界は音に満ちている…沈黙という恐怖
沈黙の宇宙に響く音

                              (09/09/24 作)

|

« 小泉八雲『神々の国の首都』を読む | トップページ | アナトール・フランス著『赤い百合』を愉しむ »

音楽」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

旧稿を温めます」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 沈黙の宇宙に響くハープの音色:

« 小泉八雲『神々の国の首都』を読む | トップページ | アナトール・フランス著『赤い百合』を愉しむ »