« 2009年8月 | トップページ | 2009年10月 »

2009/09/28

アナトール・フランス著『赤い百合』を愉しむ

 アナトール・フランス著『赤い百合』(杉本 秀太郎【訳】 (京都)臨川書店 (2001/06/30 出版))を読んだ。
「19世紀末のパリとフィレンツェを舞台に、浮華な社交界を逃れ、真実の愛と自由を求めた貴婦人の、官能的で、はかない恋愛模様。アナトール・フランスの絶妙な筆が描く、人間の感情の機微、流行の最先端をゆく、きらびやかな会話の数々…。杉本秀太郎による完全新訳」ということで、戦後初の訳かと思ったら、そうでもないようだ(以下、敬愛の念を籠め、敬称は略させてもらう)。

4653037388

← アナトール・フランス著『赤い百合』(杉本 秀太郎【訳】 (京都)臨川書店 (2001/06/30 出版))

 これまで、関東大震災直前に春陽堂刊行の石川淳の手になるもの、一九五〇年に白水社版『アナトオル・フランス長篇全集』所収のものがあり、それは小林正の手になるらしい。

続きを読む "アナトール・フランス著『赤い百合』を愉しむ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/24

沈黙の宇宙に響くハープの音色

 読書も音楽に聴き入ることも侭ならない日々が続いている。
 それでも、週に一枚の割で、CDを借りてきて、束の間の時であれ、曲を流しておく。

Left_img_02

← 『花一輪~彩愛玲ハープの世界』(キングレコード)

 空疎で殺風景な部屋を満たすために…ではなく、多くは、こうしてブログ(日記)を綴る際に、流したままにしておく。
 ロッキングチェアーに腰を沈めて、ゆっくり聴き入りたいところだが、まあ、ながらの形で曲を楽しむのも、やむをえないだろう。

 今、借りて聴いているのは、図書館のCDコーナーを物色していて、たまたま目に飛び込んできた彩愛玲さんのCDである。
 かねてより、ハープの曲を聴きたくて、視聴覚コーナーを訪れるたび、物色するのだが、ハープのCDはなかなか見つからない。
 それが、誰か知らない方のCDであれ、ハープという活字が躍っている(ように見えた)ではないか。

続きを読む "沈黙の宇宙に響くハープの音色"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/23

小泉八雲『神々の国の首都』を読む

 小泉八雲著の『神々の国の首都』(編者: 平川祐弘 講談社学術文庫)を読了した。
 小泉八雲は、高校時代からの好きな書き手。
 彼の著作集は、二度も揃えようとしたものだ(途中で息切れしたが)。

2009_0923071003tonai0008

→ あれほどに元気の良かったゴーヤも、最近は少し、疲れ気味。段々、涸れた葉っぱが目立ってきた。実の育ち方も遅々としている。今朝、ほぼ最後となるだろう、ゴーヤの実を収穫。親戚筋のものに強制的に(?)提供。一方、ヘチマの葉っぱは、元気そのもの。いよいよヘチマの天下か。

 出版社側の説明によると、「「人も物もみな、神秘をたたえた、小さな妖精の国」と日本を初めて訪れた八雲は、感嘆の声をあげた。出雲の松江という「神々の国の首都」での彼の見聞記は、人々の日常生活の中に分け入って、深くその心を汲みとろうという姿勢で貫かれ、みずみずしい感動と相まって、見事な文学作品にまで昇華されている。旧(ふる)い日本と新しい日本が交錯する明治20年代の風物や風習、人々の姿を鮮やかに描いた名著」といったもの。


続きを読む "小泉八雲『神々の国の首都』を読む"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009/09/21

バシュラール『水と夢』の周辺

 ガストン・バシュラール/著『水と夢 物質的想像力試論』(及川馥/訳 叢書・ウニベルシタス 898  法政大学出版局)を昨日、読了した。

Sir_john_everett_millaiskjpg

→ ジョン・エヴァレット・ミレー 『オフィーリア』 (1851-52 テート・ギャラリー(ロンドン)蔵) (画像は、「ジョン・エヴァレット・ミレー - Wikipedia」より) 拙稿「ハムレットとスミレとオフィーリアと」参照。水とオフィーリアとの関連付けも本書でされている。

 以前、読んだことがあるはずなのだが、印象が薄れている。
 昨年末、刊行されて間もない本書を図書館の新刊本コーナーで見つけ、慌てて手に取り、借り出したものだった。

 その前には、ずっと昔、三十年ほども過去のこと、学生時代か、卒業して間もないアルバイト生活時代だったか、『水と夢  副題 物質の想像力についての試論』(著者 ガストン・バシュラール  訳者 小浜俊郎、桜木泰行 国文社)版にて、読んだというより、眺めたかすかな記憶がある。
 読んでも、さっぱり理解が及ばなかった、情けない記憶だけは残っている。

続きを読む "バシュラール『水と夢』の周辺"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/12

ポオ 詩と音楽そして無限の快楽

ポオ評論集』(八木 敏雄【編訳】 岩波文庫)を読了した。

2009_0912071003tonai0025

→ 夕食前のひと時、茶の間からちょっと外の様子をうかがったら、なんだか世の中、ピンク色。淡い紫色。小生が昨日の日記で、「我が家の庭に咲く花は、今の時期だけなのか、それとも偶然なのか、ほとんどみんな淡い紫か、紫色気味である。ヤブランにしてもナスの花にしても、「クレオメ(西洋風蝶草)」にしても、夏萩(今や秋萩?)にしても、紫露草にしても」なんてことを書いたから、空の神様ったら、気を利かせてくれて、世の中を淡い紫色に染めてくれたのだろうか。

 ポオに関する本なら手当たり次第に読みたくなる小生、新刊本を図書館で見つけ、即、手に取った。
 ポオの評論や書評なども面白いが、本書では『詩の原理』などの詩論が興味深い。
 といって、小生、人並みはずれて詩的センスの乏しい奴。

続きを読む "ポオ 詩と音楽そして無限の快楽"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/09/07

『ここまでわかってきた日本人の起源』をどう読むか

 大部の本を読んでいるときは、箸休めではないが、やや軽めの本を持ちたくなる。
 無論、中味が薄いとか安直というのではなく、手に持つに簡便という意味で、内容的には小生の関心の壺に嵌まるもの。
 新刊本のコーナーにあったので、別に誰とも競争しているわけじゃないのに、我先にと手を出し、即、借りることに決めた。

4594059554

← 『ここまでわかってきた日本人の起源』(産経新聞生命ビッグバン取材班【著】 産経新聞出版)

 その本とは、『ここまでわかってきた日本人の起源』(産経新聞生命ビッグバン取材班【著】 産経新聞出版)で、この五月に出版されたもの。
DNA分析、日本人が持つ特有の体格や体質、遺跡などから見えてきたことを徹底解説。産経新聞上で好評連載の「試行日本人解剖」を完全収録」といった内容の本で、小生は、つい最近も、崎谷 満【著】の『DNAでたどる日本人10万年の旅―多様なヒト・言語・文化はどこから来たのか?』((京都)昭和堂 (2008/01/20 出版))を読了し(簡単な感想文を書い)たばかり。
 本書でも、この『DNAでたどる日本人10万年の旅』が参照されていた。

続きを読む "『ここまでわかってきた日本人の起源』をどう読むか"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年8月 | トップページ | 2009年10月 »