「数学を育てた天才たち」で知る数学者の人間像
マイケル・J・ブラッドリー 著『数学を切りひらいた人びと 2 数学を育てた天才たち』(松浦 俊輔 訳 青土社)を読了した。
図書館で予約して借り出したのだが、何故か、「2」や「3」はあっても、「1」がない。
内容が図書館での情報では乏しいので、中味のレベルが分からない。
試しに、「2」を借り出す。
→ マイケル・J・ブラッドリー 著『数学を切りひらいた人びと 2 数学を育てた天才たち』(松浦 俊輔 訳 青土社)
図書館のカウンターで本書を受け取り、パラパラと捲ったら、なんだか、初学者向けの雰囲気。
「はじめに」を読んでみると、実際、中高生向きに書きおろされたとある。
「パスカル、フェルマー、ニュートン、オイラー…はるか古代に誕生した数学の知が、中東やルネサンス・啓蒙の時代のヨーロッパで花開く。独学のアマチュアや新大陸の住人も巻き込んで、天才たちが新発見を競い合う」といった内容で、数学史を人物本位で眺め渡すには楽しい本。
参考に目次を転記しておく:
1 ギヤート・アルディーン・ジャムシード・マスード・アルカーシー―正確な小数近似
2 フランソワ・ヴィエト―近代代数学の父
3 ジョン・ネイピア―対数の考案
4 ピエール・ド・フェルマー―現代数論の父
5 ブレーズ・パスカル―確率論の創始に加わる
6 アイザック・ニュートン―微積分、光学、重力
7 ゴットフリート・ライプニッツ―微積分の考案
8 レオンハルト・オイラー―一八世紀随一の数学者
9 マリア・アニェージ―語学数学者
10 ベンジャミン・バネカー―アフリカ系アメリカ人科学者の草分け
けれど、記述は確かに優しいのだが、折々出てくる数式などは、それぞれに詳しく説明されているわけでなく、本文だけではなく、数式そのほかを徹底して理解しようと思ったら、よほど独力での数学的思考や分析を出来る人でないと、まず、読解も読了も覚束ないはず。
数式などは飛ばして、数学(に貢献した人びと)の流れを全般的に知るには恰好の本かもしれない。
小生の場合、扱われる人物で、未知の方が多く、その意味で興味深く読めたが、並の中高生でしかなかった身としては、記述が一般的で物足りなく、かといって出てくる数式などを理解するには、数学的センスが皆無ということで、空回りの本になってしまった。
敢えて特集はしないが、「ベンジャミン・バネカー(Benjamin Banneker, 1731年11月9日 - 1806年10月9日)は、アメリカで最初の重要なアフリカ系科学者。独学で木製の時計を作る。天文学を学んで暦を作成し、「黒人は劣った存在ではない」ことを身をもって証明し主張した」とか(彼は、ワシントンDCの境界画定にも功績のあった方)、「七か国語が読める能力を生かして、ヨーロッパ各国の(微積分学などの)成果をまとめた」マリア・アニェージ(魔女と呼称される曲線で有名。「裕福な家に生まれ、数学の才を発揮しながらも、私財を投げ打って後半生を貧しい女性の世話に捧げた」)とか、人物像に関心を掻き立てられる人物を知ることができた。
6月13日、読了。
(09/06/13 作)
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