崎谷 満著『DNAでたどる日本人10万年の旅』!
「武澤秀一著『マンダラの謎を解く』から日本を想う」で既に触れていた、崎谷 満【著】の『DNAでたどる日本人10万年の旅―多様なヒト・言語・文化はどこから来たのか?』((京都)昭和堂 (2008/01/20 出版))を読了した。
← 崎谷 満【著】『DNAでたどる日本人10万年の旅―多様なヒト・言語・文化はどこから来たのか?』((京都)昭和堂 (2008/01/20 出版))
日本列島におけるDNA多様性さを縷々説いてくれている本で、なかなか刺激的な内容だった。
数々の(自分の中の)常識を心地よく打ち破ってくれた。
遺伝子でたどる現生人類や日本人の(10万年)の旅については、個人的にとても関心があって、「海部陽介著『人類がたどってきた道』」や「海部陽介著『人類がたどってきた道』(続)」、「堤隆 著『黒曜石 3万年の旅』」、「「日本人になった祖先たち」の周辺」などの書評エッセイを書いてきた。
また、スティーブン・オッペンハイマー著『人類の足跡 10万年全史』(仲村明子 草思社)を読んでいた最中に書いた、「縄文サンバにカエルコールに(後篇)」も関連の拙稿である。
→ スティーブン・オッペンハイマー著『人類の足跡 10万年全史』(仲村明子 草思社)
「人類ははるか一万年前、ベーリング陸橋を越え、アジアから北米へ渡った。イロコイ族の血をひく女性が未来の世代へ贈る、一万年間語り継がれたモンゴロイドの大いなる旅路」といった内容の、ポーラ アンダーウッド(Paula Underwood)著『一万年の旅路―ネイティヴ・アメリカンの口承史』(星川 淳訳、翔泳社刊)なども、若干、眉に唾しつつ読んでいたのが、決して絵空事ではないことがDNA研究その他を通じて、学問的にも示されつつある。
そんな中、本書崎谷 満【著】『DNAでたどる日本人10万年の旅―多様なヒト・言語・文化はどこから来たのか?』は、スティーブン・オッペンハイマー著『人類の足跡 10万年全史』(仲村明子 草思社)を読んで以来、同じテーマ、但し、日本に焦点を絞った本を探していて、ようやく、図書館で借りることが出来た。
本書を手にとると、手垢や頁の捲りの痕が歴然と残っていて、何度も(何人にも)借りられたことが、分かる。
かなり関心の的になっている内容だし、待望の書ということなのだろう。
← 篠田謙一著『日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造』(NHKブックス)
冒頭付近で、「数々の(自分の中の)常識を心地よく打ち破ってくれた」と書いた。
日本は有史以前や古代は別にしても、戦国時代も経験しているし、江戸時代も含め、国替えを幾度も経験してきた。藩主など武士の上層部だけの異動なのかもしれないが、そうした移動を通じて、それまでの多様な背景や出自を持つヒトグループが、相当にシャッフルされてしまって、単一民族(化)幻想に説得力が持たれるかのような状況に至っているのではと思っていた。
辛うじて、アイヌや沖縄などに縄文時代以来の文化や血筋を残しているに留まるのでは…。本土はほとんどシャッフルが尽されてしまっているのでは…。
→ 堤隆 著『黒曜石 3万年の旅』(NHKブックス No.1015)
それが、ものの見事に覆された。
言語についても、有史以来の混淆は別にしても、明治維新政府による中央集権政治で、東京弁の標準語化が徹底され、やはりアイヌや琉球語などの若干の例外を別にして、とてもじゃないが、縄文時代や、まして石器時代の文化や言語の痕跡が残っているはずがない、痕跡は見つかっても、現に使われていることなどありえない、そんな短絡的な印象(思い込み)を持っていた。
これでも、古代史や考古学の本を少しは読んできた人間の端くれなのだが、牢固たる常識(思い込み)には、長年の刷り込みが相当に効いているものらしいのである。
← 海部陽介著『人類がたどってきた道 “文化の多様化”の起源を探る』(NHKブックス No.1028)
詳しくは(面白いから)本書を読んでもらいたい。
ここでは、大雑把なことだけメモしておく。
上掲の感想文では、以下のように書いている:
「日本列島における多様なヒト集団の共存」「出アフリカ三大グループが日本列島へ移動」し、そのどれもが時に日本的に特殊化しつつも、現存・共存していること、「日本列島における言語の多様な姿」「日本列島における多様な民族・文化の共存」などなど、Y染色体DNAの分析を通じての最新の研究成果の報告がなされている。
単一民族など、とんでもないわけである。日本は、地理的な環境や、温暖な気候、海山ともに食料の確保が比較的容易だったこともあり(左記については、著者の推論もあるが)、上記したように、多様なヒト集団が共存し、多様な言語さえ共存・現存しているという。
有史以前からのヒト集団の住む列島に大陸の政変などがあって、北から半島から南の海から、次々にヒト集団がやってきても、既存の集団を圧倒し去るのではなく、多少は玉突き的に先行集団が僻地へ追いやられることはあっても、なんとか共存を果たしてきたという事実が読み取れるという。
(09/06/20 作)
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