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2009/06/28

『鯰 イメージとその素顔』は…楽しからずや

鯰 イメージとその素顔』(川那部浩哉/監修 前畑政善/編 宮本真二/編八坂書房)を読了した。
 読了した本やCDの返却、予約していた本の借り出しのついでに、書架をぶらぶら見て回ったら、カラスについての本と並んで、「鯰(ナマズ)」についての本が。

32027933

→ 『鯰 イメージとその素顔』(琵琶湖博物館ポピュラーサイエンスシリーズ 川那部浩哉/監修 前畑政善/編 宮本真二/編 出版社名 八坂書房 出版年月 2008年2月)

 手にとると、表紙にカラー図版が何枚も載っている(掲げた本の表紙画像を参照)。
 正直、それにちょっと騙された。
 騙されたは、大袈裟だが、中には鯰を写した写真が一杯載っているものと、早とちりした。

 パラパラ捲れば、載っていないことは一目瞭然で、そのことに気づかない小生がドジなだけなのだが、しかし、まさか、本文の中に一枚もカラー写真が載っていないとは、想像もしなかった。
 口絵(写真)さえ、一枚もない。

 大急ぎで付け加えておくが、画像(写真)が載っていないわけでは決してない。
 むしろ、豊富と言っていいほどで、ほとんど毎ページに写真か図表か鯰に関連する絵が載っていて、本文とあわせて眺め読むと実に楽しい。

 それでも、本の表紙(裏表紙)のカラー写真、数枚ってのは、扱う題材からして、ないモノねだりなのだろうが、やはり、寂しい。
 
Namazu

← 如拙「瓢鮎図」(退蔵院所蔵) 「ぬめった皮膚のナマズを滑らかなヒョウタンでいかに押さえるか、という禅問答のテーマを描いた水墨画」 (画像は、「ナマズ - Wikipedia」より)

 いきなり愚痴から書いたので、出版社側の内容紹介を載せておく:

地震といえばナマズ!そのつながりは、いつ、どこから始まった?地震学者なら誰でも知っている太閤秀吉が恐れたナマズとは?江戸大地震直後に突然起こった鯰絵ブームはなにを語る。世界のナマズと日本のナマズ、そのつながりは?アフリカで見つけた子育てするナマズの不思議な生態。幻想的な繁殖・産卵行動、外来移入種とナマズの関係など。ナマズの生態から文化まで、その魅力と不思議のすべてを紹介。

 そもそも、何ゆえの本書かというと、鯰(ナマズ)という魚が、というより、生き物が、ナマズヒゲを象徴とする、その漂わす雰囲気も風格(風袋)や、何処かしらユーモラスな点も含め、好きだからである。
 だからこそ、カラー図版を何枚も、と、ないモノねだりしてしまったのである。
 
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→ ナマズ(歌川国芳) (画像は、「ナマズ - Wikipedia」より)

 さて、本書は「ナマズの研究者として知られる」秋篠宮文仁親王ら、十数人の論文集である(コラムも随所に)。
 ネットのありがたさでナマズについては、「ナマズ - Wikipedia」にて、大よそのことを知ることができるが、本書で、主に日本のナマズ研究の現状が分かるものと思われる。

「日本では、地震の予兆としてナマズが暴れるという俗説が広く知られている」が、江戸時代どころか、豊臣秀吉の時代には既に、「ナマズと地震の関連性」が意識されていたようである。

Namazue

← 「大鯰を懲らしめる民衆を描いた鯰絵」 (画像は、「鯰絵 - Wikipedia」より) 「鯰絵(なまずえ)は江戸時代の日本で出版された、ナマズを題材に描かれた錦絵(多色刷りの浮世絵)の総称である。大鯰が地下で活動することによって地震が発生するという民間信仰に基づいており、1855年(安政2年)10月2日に起きた安政の大地震の後、江戸を中心に大量に出版された」という。本書に多数、興味深い鯰絵などが載っている。

 ナマズが好きといいながら、正直な話、実際にナマズを見たことがない(記憶にはない)。無論、テレビなどでの映像や写真、漫画などは別儀だが。
 しかし、「現在地球上に現生する魚類は二万五〇〇〇種弱といわれ、その一割を占めるナマズ類は数の上から考えるとかなりメジャーなグループ」なのだとか(本書の小早川みどり氏の論考「ナマズの世界」より)。

 日本では関西まではそれなりに、地域によっては珍しくもなく湖沼際などで見られたようだが、関東へは、江戸時代の途中から、恐らくは人的移動に伴って、棲息範囲を東進させたらしい。
 江戸時代、江戸っ子にはナマズは、ユーモラスどころか、不気味な、得体の知れない生き物で、それがために、中世には関連付けられていたナマズと地震との関係という俗信も、一気に関東どころか日本中に広まったようだ。

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→ 「大津絵の代表的画題の一つ、瓢箪鯰は鯰絵にも取り入れられた」 (画像は、「鯰絵 - Wikipedia」より) 「瓢鮎図」を茶化して、瓢箪で鯰を懲らしめる図柄となっている。

 ナマズは、表面がぬるぬるしていて、つかみどころがない感じで、なまじっかな小稿では到底、扱いきれない。その生殖行動や子育てのユニークさ、時に数メートルの巨体になる種がある、何と言っても、地震との関係は本当に迷信に過ぎないのか、などなど触れてみたい事柄も一杯。
 
 手っ取り早く、「地震とナマズの関係」について、最先端の研究状況を知りたいなら、例えば:
東海大学 地震とナマズの関係

                              (09/06/22 作)

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