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2008/10/01

ソプラニスタ岡本知高!

 過日、車での営業中、岡本知高(おかもと ともたか)という声楽家の存在を知った。
 ファンならずとも音楽に詳しい人、テレビやラジオなどでクラシックなどの番組を視聴(聴取)されるような方ならとっくに知っている方のようだ。

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← 「岡本知高/ソプラニスタ・ザ・ベスト」 (画像は、「岡本 知高 「ソプラニスタ」ディスコグラフィー」より。) ソプラニスタというより、ソプラノソリストと呼称すべき?

 例えば、「牡丹と薔薇 」というテレビドラマで、「岡本の『涙のアリア』が主題歌に起用された」らしい(あとで調べて分かった。小生は、このドラマは見ていない)。
 さらに、「NHKみんなのうた〈空へ〉」や「フジテレビ系「フィギュアスケート番組オープニング曲〈ボレロ〉」など、ある意味、耳馴染みなっている。
 そのほかのテレビ出演歴やプロフィールなどは、「岡本知高 プロフィール」が詳しい。随分、テレビにも出ている。
 ただ、小生のようなボンヤリは誰か外国の高名な女性声楽家が歌っている程度の認識しかなかっただけのこと。

 …けれど、小生は、全く知らない方。初耳だった(多分。テレビの番組CMなどで知らずに聞いているやもしれない!)。

 車中であれこれ雑談していたのだが(主に禁煙のこと)、そのうち静かに流れている音楽が耳に。
 あまりの美しさに、話の中途で思わず、この曲は、ラジオですかCDですか、なんて、無粋な質問をしてしまった。
 相手の方はCDですよと、ボリュームを上げてくださる。
 耳を欹(そばだ)てさせた箇所(曲)は、「メモリー」(ミュージカル「キャッツ」から)だったか、それとも「神よ、平和を与えたまえ」(ヴェルディ:歌劇《運命の力》から)だったか。

 いずれにしても、クラシックにも疎い小生も耳馴染みのポピュラーな曲だったはず。

 そのうち、お客さんが大好きだという曲を選んで流してくれた。
 それは、「アヴェ・マリア」(カッチーニ)だった。

 二人の会話は止まってしまった。
 お客さんもだが、小生も口が止まる。
 あまりの美しさ、透明な声に黙りこむしかない。
 
 どれほどの間、沈黙が続いただろうか。
 …というより、清流の清々しさよりもっと純度の高い歌声とメロディとに聞き惚れていた…、うっとりしていた。

 素晴らしいですね。
 歌っているのは誰なのでしょう。

 相変わらず頓珍漢な問いをする小生。

 お客さんは、岡本知高(おかもと ともたか)だと教えてくれる。
 
 なるほど…。えっ、さっきの曲も? 男の人が?

 そう、岡本知高さん。素敵でしょ。

 男性が歌っている?

 そう、メゾソプラノで男の人が歌っている。

 あとは聞き惚れつつ、彼の歌に聞き入るばかり。

 男性のソプラノの歌手というと、小生が知っているのはせいぜい「もののけ姫」を歌ってヒットさせた米良美一(めら・よしかず)さんくらいしか知らない。

「千の風になって」の秋川雅史さんと同じ大学の出身者だとか、(メゾ)ソプラノで歌う歌手は少ないけど、そんな中、岡本知高は人気があり、テレビにもしばしば出演しているとか、CDは店頭で直に入手できるとか、あれこれ教えてもらった。

岡本知高 - Wikipedia」によると、「岡本知高(おかもと ともたか、1976年12月3日 - )は、高知県宿毛市生まれのクラシック音楽歌手。ソプラニスタ(男性ソプラノ)」で、「高知県立宿毛高等学校では吹奏楽部所属。もともとサックス奏者志望であったが、師の勧めで入学した国立音楽大学声楽科を1999年に卒業。卒業直後にパリ・プーランク音楽院に入学し、2002年首席で修了、帰国する」などとある。

岡本知高 - Wikipedia」にあるエピソードも興味深い:

この事は、神崎克彦著、「ソプラニスタ奇蹟の歌声 岡本知高とその世界」に詳しい。神崎ははじめて岡本の歌声を聞いたとき、余りの驚愕から「君!ふざけてるの?」と言ったというエピソードがある。彼が世界でも数人しかいないソプラニスタであると知ったのは後年のことであった。

 小生などが「アヴェ・マリア」を歌う岡本知高さんの歌声を男性と言われて驚くのも無理はないのだ。

「ソプラニスタとは女声ソプラノの音域を持つ男性歌手で、岡本は裏声ではなく地声でソプラノの音域を歌いこなす。(ちなみに米良美一で一躍有名になったカウンターテナーという声種の一種だが、その多くはアルト・メゾソプラノの音域を歌う。)」という。

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→ 神崎 克彦【著】『ソプラニスタ 奇蹟の歌声―岡本知高とその世界』(日本文芸社) 「詳細」によると、「世界に三人しか存在しない「奇蹟の声」をもつ若者と、その声に導かれるようにして生まれた運命的な出会い。「声」を発見した恩師が描き出す、感動のノンフィクション」とか。著者の神崎克彦さんは、岡本知高の恩師でもある方。「岡本知高リサイタルの音楽案内人」を務めたりしている(今もかどうか、分からない)。

メゾソプラノ - Wikipedia」なる頁も参考になるが、本稿では「岡本知高 - Wikipedia」から「ソプラニスタ」について(下記転記文中、「太字」は小生の手になる):

裏声、あるいは地声で女声の最高音域であるソプラノ声部を歌いこなすことができる成人男性。 変声期の少年であるボーイソプラノ歌手が体力的な問題から長時間の歌唱をこなせないのに対して、体格自体は成人男性のものであるソプラニスタは声量・体力ともに女声ソプラノや少年歌手を凌駕する。

かつてイタリアでは、ボーイソプラノの美声と声量を兼ね備えた存在としてカストラートと言われる去勢した男性歌手が存在したが、現在は人道的な問題から廃止されている。 しかし、カストラートのために作曲された楽曲は現存し、デジタル技術を駆使してその歌声の再現が試みられたこともある。 ソプラニスタはそのカストラートの歌声に最も近い存在とされていて、本人の資質が大きくかかわるため非常に希少な存在である。

ソプラニスタを名乗る歌手のうち、多くのソプラニスタが高音を出すための訓練を積み裏声で歌うものであるが、声は確かにソプラノであっても歌唱力に疑問が残ることが多い。 地声で軽々とソプラノを歌いこなし、歌唱力・表現力を兼ね備えた岡本知高のような天性のソプラニスタは、世界中に数人しか存在しない。


岡本知高 オフィシャルサイト
インフォメーション|財団法人浜松市文化振興財団」(岡本知高へのイ ンタビュー記事。自分に打ち勝つこととリラックスすることとのバランス。)
YouTube - Hayley Westenra-岡本知高 -Ave Maria

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コメント

岡本さんのコンサートに今春行ったのです。みなとみらいホールで。ゆびとまのサイトで l i u r i n g さんが詳しい記事を書いていらっしゃったはずです。

投稿: ナナ | 2008/12/21 20:54

ナナさん

コンサートで実際に聴かれているのですね。

小生は未だCD(とネット)だけ。

初めて車中で彼の歌声を聴いた感激は今も記憶に新たです。

投稿: やいっち | 2008/12/22 01:01

私のログにコメントありがとうございました。
少し前ですがフィリップ・ジャルスキーという人のコンサートに行ってきました。ボーイ・ソプラノ..カウンター・テナーで、カストラートの歌も歌っています。CDでおすすめなのはログにもあげているデュエット曲集です。コンサートの様子もログにUPしています。

これからも、よろしくね〜。

投稿: ナナ | 2008/12/22 05:39

ナナさん

小生、出不精なので、なかなかコンサートへは(映画でさえも)足を運ばない。

サンバなどストリートのパフォーマンスが好きってこともあるけど。

フィリップ・ジャルスキーなんて、小生、初耳です。
いろんな世界をご存知ですね。

ところで、富山は今日は氷雨。昨日までの季節はずれの暖かさが嘘のよう!
冬は太平洋側で過ごしたい!

>これからも、よろしくね〜。

こちらこそ、よろしく!
お互い刺激しあって、楽しく、ネット交流しましょう!

投稿: やいっち | 2008/12/22 12:54

ありがとうございます。小説を書かれていらっしゃるのですね。他にも読み応えのありそうな記事が満載ですね。
これから、楽しませていただきます。
 気づくのが遅かったです。すみません。わくわくします。外部の方のブログで、興味を惹いたのはココがはじめてです。
 

投稿: ナナ | 2008/12/23 17:45

ナナさん

壺中方丈庵(創作の館)に関心を向けてくれたこと、嬉しく思います。
ある意味、こここそが本願のサイトなのです。
創作のペースは落ちてますが、続けていくつもりでいます。
よろしくね!

投稿: やいっち | 2008/12/23 19:46

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