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2008/09/10

浅草サンバカーニバルから(8)…照明の下の真珠たち

 幕を開け、劇場(シアター上野)の中に入ると、スポットライト風な照明がステージの上に。
 そこには全裸の女性がまさに踊っている最中。
 6人の出演者の一通りの演技が終わってからの、あるいはせめて一つのショーごとに中の客を入れ替えするわけじゃなく、客は半券を持っている限り、いつでも劇場の中へは出入り自由。幕の外でタバコを燻らす男たちは、一服していたというわけのようだ。
 それどころか、半券に判子か何か印をつけてもらったら、地下の劇場から階段を上り1階の出入り口から外へも出ることができる。
 何も知らない小生は、うっかりショーの真っ最中に、それもストリップショーの一番の見せ場の時に迷い込んでしまったというわけなのだった。
 ステージは広くはない。
 というより、劇場の中自体、せいぜい立ち見も含め40人ほど客が入ったら、もう一杯。
 ある意味、家族的な雰囲気…仲間内の(あるいは会員制的な)雰囲気さえ漂っている。
 三十席ほどの椅子席はどれも塞がっている(か、バッグなどで占有を示している)。

 T字型のステージの「I」の両サイドは壁を背にしての、まさにかぶりつきの席で、常連さんたちが居座っている。
 初めての客にはそこまで前には行けないし、そもそも席が空いてない。
  折り畳みの椅子のような二十席弱の椅子も塞がっているか、一見すると空いているようでも、バッグが置かれていて実は塞がっている。
 小生は後ろで立ち見。立ち見の客も数人、他にいた。
 熟年の女性客も立ち見で一人いる。 その女性客は、ちゃんと椅子席を確保している。椅子の上に荷物を置いて、自分は何故か立ち見している。
 舞台周辺の見張り役?

 ショーは、最初はドレスを着ての踊りから始まる。

 踊りが上手い。
 プロのストリップダンサーは、踊りも上手くないとダメとはモノの本で読んだことがあるが、実際、そうだった。
 のちにはアクロバティックな演技も披露してくれるのだが、蔭での並大抵じゃない努力が伺われる。
 顔見世の意味もあるのだろう。

 一旦、控え室に戻り、次の衣裳に着替えて、音楽や照明も新たに登場。
 今度はストリップショーらしく、といっても、ストリップティーズ風にと思えるほどには焦(じ)らすことなく、あっさりと(?)脱いでいく。
 脱ぎ方もエロさを演出しないといけないはずだが、妙に明るいし、隠微でもない。
 何処か健康的ですらある(この印象は、どのダンサーにも感じた)。
 一旦、全部、脱いでしまうと、まさに全裸でのショー。
 女性の体の美しさを、細部に到るまで見せ尽くす。
 ストリップショーというよりヌードショー。
 ヌードでのダンスショーであり、女性の肉体美を鼓舞するショーである。
 
 そのあと、ポラロイド(あるいはデジカメ)サービスで終わりとなる。
 
 小生が幕を開けて中に入った時、まさに全裸でのショーの真っ最中だったというわけである。
 気のせいか、中に入った瞬間、一瞬だが、踊り子さんと眼が合ったような気がする。
 フルヌードでのパフォーマンスはプロとして覚悟の上でやっているだろうとはいえ、ショーの最中に飛び入りの客が入ると気が散るし、あるいは戸惑うこともあるのではなかろうか。

 でも、ダンサーはすぐに踊ることに集中する。
 美人である。
 並以上ということじゃなく、素に町で見かけても、綺麗な女だと思うだろう。
 どこか寂しげな風情のあるような気もするが、表向きにはストリッパーですと名乗れない仕事をしているがゆえの、ではなく、仕事以外の時は明るいのだろうが、はしゃぐわけではない、大人しいタイプの女性なのだろう。

 そんな女性が何故、ストリップショーを…なんて思うのは、小生の側の勝手な思い、偏見の生み為す感懐に過ぎないのだろう。
 ダンサーは自分の体や容姿を知り尽くしているに違いない。
 その上で、自分の表情や仕草や体の動き、体のラインが一番、美しく見えるポーズを鼓舞するのではなかろうか。
 ダンサーごとに得意技がある。
 ブリッジなどは当たり前にこなしてしまう。
 中には倒立を決めてみせるダンサーもいた。
 大概のダンサーは、立って、片足を上げ始めたと思ったら、つま先が顔にピッタリくっ付くなんてわざは当たり前にこなしていた。
 張りのある乳房。乳首が立っている。
 控え室で着替えたりする間に、乳首を立てるのか、それとも、客に見られることで幾分なりとも興奮するからなのか。多分、前者だろうと思うが。
 プロの気遣いと計算なのだろう、多分。

 ちょっと痩せぎすで、多分、自分は容姿が他のダンサーには劣っていると自覚しているのだろう(でも、並の女性の比じゃないのだが)あるダンサーさんは、踊りの上手さもだが、それ以上に体を鍛え上げて、アクロバティックなポーズを何度も決めてくれるのだ。

 思わず拍手が観客から巻き起こる。
 他のダンサーには真似の出来ないポーズを決めたり、客との駆け引きで自分に惹きつけようとしている。
 
 ブリッジの際、客に、特に常連さんなど最前列の客によく股間が見えるよう、ステージ上でのポーズを取る場所や角度、照明との兼ね合いなどを計算しつくして局部を見せ付けてくれる。
 綺麗だ。
 日頃、どういう性生活を送っているのか分からないが、くすんでいるとか、まして不摂生で使い込んで黒ずんでいるってことはない。
 
 言うまでもなく、ダンサーは局部を含め、晒している。
 陰唇が綺麗だ。

 最前列ではなく、立ち見だったので、しかとは確認できなかったのだが、陰部が客によく見えるようにという配慮からなのか、陰毛はほとんどない。
 パイパンというわけでもないようだ。恥骨の辺りに、申し訳程度に残っている。
 小生の好みとしては、ちっとはあったほうが嬉しい。
 頬ずりしたら気持ち良さそうだし。

 ダンサーの一人は、(客に? 彼氏に?)触られすぎて(舐められすぎて)毛が磨り減っちゃってねー、なんて客との掛け合いの中で言っていたっけ。
 そう、客との掛け合い、駆け引きのテクニックも大事な要素のようだ(チップなどの額に跳ね返る)。

 無駄毛はともかく、陰毛は剃って処理するわけではなさそうだ(未確認)。
 いずれにしても、大陰唇も小陰唇も、その気になれば菊の門も見える。
 繰返すが、綺麗。
 見惚れてしまう。

 体調の維持も含め、日頃の健康管理にはプロとして相当に気を使っているのだろうと察せられた。
 巡業で日本各地を旅して回るだろうし、神経も使うだろうに、肌のケアは大変なのではないか。

 女性の目で見たら、肌にはボディーファンデーションの類いを塗って、どうせ普段はタバコを吸って肌も荒れているはずなのに、うまく艶のある肌に見せかけていると見抜くのだろうが(あるいはそう決め付けるのだろうが)、男たる無骨な小生には、肌が白いし、踊りもだが、体を極度に捩ったり捻ったりして、体力も筋力も使い切るので、肌がピンク色に染まってきたりして、一層、女性の肌の美しさを感じさせるのである。

 それぞれのダンサーのショーは、上記したように、段取り(メニュー)が決まっている(ほぼ、メニューは同じ。同じメニューの中でそれぞれが工夫を凝らす)。
 ドレスを着ての踊り。
 脱ぐための衣装を着けての踊りからストリップ。
 全裸でのショー。
 最後は、ポラロイド(デジカメ)サービスタイムである。
 
 ダンサーさんらには、このサービスタイムが大事なようだ。
 客に千円のチップを貰う。
 すると、デジカメ(やダンサーによってはポラロイド)の写真を数枚(三枚?)、客が撮ることができる。
 その際、ダンサーにポーズを要求することができる。
 あるいはツーショットも可能。
 必ず店が用意したカメラで、ってのがミソ。
 持参したカメラでの撮影は許可されない。
 つまり、撮影のデータは、あくまで店(ダンサー)側が持っているというわけである。
 撮影データが流出して、ダンサーの体や顔写真が表に出るのを警戒しているのだろう(推測)。
 店のホームページを見ると、顔写真が出ているが、化粧を施した余所行きの顔だし、ましてプライベート(と誤解おされそう)な全裸(乃至、半ば裸)の写真は公開しない。
 あくまで店乃至ダンサーの了解のある写真のみがネット上に公開されるわけである。

 先ほどの細身のダンサーは、客との駆け引きや会話で一番、チップを貰っていたような。

 小生は千円出して撮影したか。
 しなかった。その場では半券を渡され、後日、プリントされた写真が半券と交換で渡されるというシステム。
 つまり、出来た写真は、また来店の折、ショーの舞台で、ショーが終わったらデジカメタイムに渡されるわけ。

 その夜には東京を離れる小生には、所詮、叶わぬ仕儀。
 
 いいんだ。目に焼き付けたから。
(くっ、ドンドン、残像が薄れていく、素敵な瞬間が漏れ零れていく、ぼやけていく、飛んでいく! 記憶力の減退をこれほど痛感させられるとは!)

 六人のダンサーの演技が終わったら、全員で踊り。そして全員でデジカメショー。
 ここでダンサーそれぞれの人気度が分かる。
 プロのシビアーさ厳しさが出てくるところ。
 やはり、ダンサーの中で一番、綺麗な子、可愛い子にデジカメ撮影の要望が集まる。
 多分、御幸奈々というストリッパーが一番人気か。決して若くはないのだが、ステージが終わった後のお喋りや客との遣り取りも上手い。
 オナニーショーモドキを魅せたり、ビラビラをみせてくれたり、サービス精神に根性が入っている。

 人気がないと、とにかく踊っているだけ。
 アピールが強いか、綺麗な子がチップをより多く貰えるのだ。
 人の前で体を晒して踊り、しかも、人気度がチップの額という形で如実に現れる。
 厳しい世界だ。
 まあ、男たるもの、楽しませてもらえばそれでいいのだが。
 
 印象。あまりにあっけらかんとしていて、隠微さ、エロさが感じきれない。
 ダンサーとして、エロを喚起することを忌避しているのではと邪推した。
 割り切って裸になる、わざを魅せるに徹することで、ある種の裸になる抵抗感を緩和しているような。

 ストリップすると言う本来はエロいはずの営為がプロのパフォーマンスに終始している。
 当たり前だが、時代と刺し違えるような覚悟で、エロを男の眠った(あるいは息も絶え絶えの)野生から目覚めさせるのは、男の燻るがごとき熾火(おきび)をカッカと燃え上がらせるのは至難のわざなのだ。

 まあ、そんなものは、AVなど他の媒体で、あるいは個人的に、ということなのかもしれないが。

 あああ、この浅草・上野ツアーの日記、長くなりすぎた。
 これでも相当にはしょっている事柄もあるのだが(特に個人的に会えたり挨拶できた方たちのことなど)、ま、この辺りでやめておく。
 ストリップやヌードについては思うことはいろいろあるが、またの機会に。

 そうしないと、他の話題が書けなくなる。

 あとは、品川駅港南口でバスに乗って富山へ帰っただけのこと。略す。
 帰りのバスの運転手が無愛想で不愉快だったことは、「浅草サンバカーニバルへ(1)…東京へ」の冒頭付近に書いたので、もうこの一連の稿は終了とする。


参考:
渡辺信一郎著『江戸の女たちの湯浴み』
小谷野敦著『江戸幻想批判』雑感(続)


余談 (08/09/11 追記)]:
 出演者の名前を書いていない。
 それにはわけがある。
 名前を覚えていないから…ってこともあるが、出演したダンサーと名前が一致しないからってこともある。
 ステージの脇の壁には、ちゃんと出演者の名前は書いてある。
 出演者もステージに登場する際には名前を名乗る(こともある)。
 でも、音楽の音で声が掻き消されてしまう。
 まあ、常連さんなら、踊り子さんの名前は知悉しているのだろうが。
 でも、プロのダンサーなので、記憶に間違いがないことを祈りつつ、名前を書いておく。
 奈々子、宝生恋、御幸奈々、坂口もか、アキラ、朱里の計6人の面々だったはず。
 但し、出演順ではない。
 ちなみに小生は全員の踊りを見ていない。小生にとっての三人目の出演者である御幸奈々を目に焼き付けておきたかったから。
(なぜ、彼女の名前が御幸奈々と分かったか。実は相席になった近くの客に名前を教えてもらったのである。彼は、ええー、彼女の名前を知らないの ? ! もぐりじゃん! って訝しそうな顔をしていた!)
 小生が小屋(劇場)の中に入った瞬間、フルヌード前回で踊っていたのは、誰なのか分からない。
 やはり記事の中にも書いたけど、もうストリッパーとしては若いとは言えないのだろうが、人気度や認知度からも、御幸奈々がスター性もあり輝いていた。
 ちょっと馴れのようなものを感じたけれど(最初のドレスを着ての踊りの際、目線は完全にステージの真向かい、つまり我々観客の後ろ壁に向っていた。照明がよく瞳に映るようにという計算があったのかもしれないが、見ているほうとしては、観客と目を合わせないようにしているのではと勘ぐりたくなる。無論、その後ではサービス精神溢れる客との対応ぶりだったのだが)。

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コメント

愉しく、また興味深く拝読しました(特に後半)。
上野はかつて何度も徘徊しましたが、シアター上野の存在は知りませんでした。

それはともかく、良い旅でしたね。
読みながら、我が二十代の頃の、あえて計画を立てずに迷走することそれ自体を楽しんだかのような一人旅を、懐かしく想いだしましたよ。
また一人で旅をしてみたいものですが、状況的に困難。
今はせいぜい自転車で在所の近辺を逍遥するのみですかね。。

投稿: ゲイリー | 2008/09/10 13:19

ゲイリーさん

愉しく読んでもらえたってのは嬉しい。
特に後半のどんな部分に、なんて野暮は聞きませんが。

「シアター上野」は、「1995年9月に上野スターミュージックから改称・移転して開館」なので、ゲイリーさんがいつ頃、散策されたのか分かりませんが、知らない人も多いのでは。
小生も、あの通りに入っていきなり遭遇して、びっくりした次第です。

一人旅…。そんなことが許されるのも若いうちか、年取って恍惚になってから、なのかも。
一番の贅沢な営為ですね。

投稿: やいっち | 2008/09/10 16:01

お疲れ様でした。私は日帰りで名古屋に
戻りましたが死んでましたね。結構濡れて
ましたし。リベルダージの分はできあがり
ましたので、昨年のようなページを作る
場合はご自由に。

投稿: bato | 2008/09/11 00:47

bato さん

名古屋、日帰り!
上には上がいますね。
小生も当日はずぶ濡れでした。
解体作業を一時間ほどやって夕方七時過ぎ、控え室で着替えたのはいいんだけど、そのあと、浅草界隈を一時間半ほどうろうろしていて、汗と雨でまた濡れてしまった。

膨大というか壮大な画像群で、壮観です。リベルダージの分を逸早くアップ作業を終えてくれていたことは知ってました。

お言葉に甘え、近いうちに、batoさんの浅草サンバカーニバル画像を使って、番外編の記事を仕立てたいと思います。

投稿: やいっち | 2008/09/11 03:07

追記を書いた!

投稿: やいっち | 2008/09/11 13:53

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