「阿弥陀鉤召図」を見つけた!
やはり、展覧会へは自分で足を運ぶものである。
無論、生の作品を、現物を自分の目で見ることが大切だし貴重な機会だからということもあるが、折悪しく展覧会へは行けず、せめてもの思いで展覧会の案内や、展覧会の感想を日記で綴るサイトを巡っても、大概は有名な、当然ながら扱うに値する有名な作品についての情報が得られるだけなのである。
↑ 「玄證本 阿弥陀鉤召図」 (画像は、「No Plaztik Mach!n Antecedentes del Manga Humor Budista」より。) 「鉤召(こうちょう)」とは?
自分だったら、ちょっとだけ偏屈な性分もあって、ほかの人が注目しない、あるいは敢えて感想までは書かないような作品に関心が湧くやもしれないのだ。
今日、紹介する作品もそうだ。
「過去の展覧会 展覧会 サントリー美術館」によると、「開館記念特別展 「鳥獣戯画がやってきた! ― 国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌」」(2007年11月3日(土・祝)~12月16日(日))にて展示された作品の一つらしい。
小生、この展覧会へは足を運んでいない。
「鳥獣戯画」に関心のある小生、拙稿「『鳥獣人物戯画絵巻』を覗き見る」の中で通り一遍のことは触れている。
しかし、この「阿弥陀鉤召図」のことには言及していない。
展覧会の案内をネットなどで見た際にも、気付かなかったのか。
この作品の存在を知ったのは、ネット散策していて、「No Plaztik Mach!n Antecedentes del Manga Humor Budista」なる頁に掲げてあるこの画像を見て、なのだった。
それも、たった今!
↑ 「鼠草子絵巻」(サントリー美術館蔵) (画像は、「見どころ/開館記念特別展 鳥獣戯画がやってきた!―国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌|サントリー美術館」より。)
同じ展覧会で紹介されていた、「放屁合戦絵巻」や「鼠草子絵巻」などは知っていたし、面白い絵、楽しい絵だと思っていたが、まあ、機会があったら同じ類いの作品をまとめて扱う機会があるだろうと思っていた。
但し、「雀の小藤太絵巻」は初見。
おお、こういう絵巻もあったのか、である。
絵画の世界、芸術の世界というと、どうしても堅苦しくなりがちだし、真面目な題材、あるいは真摯な姿勢が求められるのだが、生真面目な国民性と看做されがちな日本にもこういう世界があったと知るだけで、世界が一挙に広がるようでもある。
実際、20世紀の特に後半から日本は世界に冠たる漫画王国、アニメ王国、オタク文化の総本山的な看做され方をされてきたし、ますますその傾向が強まっている。
なんたって、「日本以外では「anime」といえば日本のアニメーションのことを指す」のであり、「anime」は「数少ない逆輸入語であり、かつ文化用語」なのである(「アニメ - Wikipedia」より)。
どんな日本の大作家(画家)のどんな作品より、日本の漫画(アニメ)の世界での存在感や影響力には敵わないことは歴然としている(と小生は思う)。
↑ 「放屁合戦絵巻」 (1449年 サントリー美術館蔵) (画像は、「yoshimiradikorn's fotolife - 放屁合戦絵巻 1449年 サントリー美術館蔵」より。) この絵、いつ見ても思うのだが、花も実もある屁…のような…。真面目な評は、「板橋区立美術館・楽しい江戸絵画(榊原悟) - 見もの・読みもの日記」にて。
実際、この「阿弥陀鉤召図」などは上掲の展覧会でも人気を博した作品の一つのようで、ネットで調べても下記のようなサイト(ブログ)で絶賛されていた:
「ひとり こころあそび阿弥陀鉤召図」
「エコツミのエゴ 鳥獣戯画がやってきた!」
「東京のアート情報を発信 立川直樹責任編集TOKYO ART PATROL~東京アートパトロール~ キッチュで、ポップで、ロックで、キュート!~鳥獣戯画がやってきた!~」
「ライトオタクなOL奥様の節約入門日記 「鳥獣戯画がやってきた!」、「物語のあるクリスマス」」
「リフレッシュ|SALAのアメブロ」などなど。
うーむ。これだけ多くの人が注目している。
結論として、小生は決して偏屈じゃない。到ってノーマルな奴だと分かった。
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コメント
トラバありがとうございました!
サントリー美術館での鳥獣戯画展、おもしろかったですよ。
ここまでの点数が一度に公開されたのはめずらしいとのことで、
なんとか駆け込みました。
鳥獣戯画をみにいくことはあまりないのですが、
単なるお遊び、茶目っ気たっぷりの側面と、
アイロニーの側面とを併せ持つ、
素晴らしき分野だと感じました。
投稿: エコツミ | 2008/08/22 18:48
エコツミさん
ようこそ!
はじめまして!
トラバだけして失礼しました。
返し、ありがとう!
「鳥獣戯画」は、当時の風刺画らしいのですが、自由奔放な描写は、そんな風刺など関係なく、見る者を楽しくさせてくれる。
昔は封建的だったとか言ったりするけど、日本人だって自由な精神の表現があったんだと感動します。
「阿弥陀鉤召図」は抱腹絶倒。人間の業の深さ、そして弱さを阿弥陀さんは分かってらっしゃる。
この発想法って凄く危険なんだけど(新興宗教の教祖や信奉者は無理やり信者を募る・カネを巻き上げる)、それでも、ちょっと宗教的考察を誘うようです。
投稿: やいっち | 2008/08/22 20:00