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2008/06/12

西牧徹…ラブドール幻想

 西牧徹(の世界)は、例によって(?)「vanilla-gallery 西牧徹展 黒戯画源展」で知った。
 一度でも見てしまうと、言葉に成らないものの彼の絵は脳裏にハッキリ刻み込まれてしまう。

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← 「西牧徹-黒戯画世界」の表紙画像。

(「タナトス6通信 b◆2007.9.2◆-b西牧徹 超舌トークショウ」参照。)

西牧徹-黒戯画世界 Blacken Caricature-Toru Nishimaki」の中の「西牧 徹 プロフィール」によると:

1964年東京生まれ。少年・少女と玩具・食物などをモチーフに鉛筆画を制作。2003年に自らの作品を「黒戯画」と名づける。この「黒戯画」は“艶画”と“福画”に大別され、性幻想に基づくもの、キエムクーとその仲間たちの日常と冒険を描いたもので、ユートピア絵画という点で同一線上の世界となっている。

 最初は、少女幻想というか性幻想の画に惹き付けられ、覗いていくと、そこには「キエムクーとその仲間たちの日常と冒険を描いたもの」も一つの世界として描かれていて、二つの世界にやや戸惑う。
 でも、というか、しかも、「ユートピア絵画という点で同一線上の世界となっている」!

 二つの世界が、表と裏の世界とか、陽と陰の関係にあるわけじゃなく、素直に滑らかに、メビウスの輪のように、一つの世界に入っていって、その光景をなぞっていくと自然と違う世界に導かれていく。

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→ 西牧徹「北極のオペラドーム」(2004) (画像は、「西牧徹-黒戯画世界」より)

「ユートピア絵画という点で同一線上の世界となっている」というが、小生はむしろラブドール幻想で "艶画 "と "福画 "とが繋がっているように思える。

traveling with the ghost 西牧徹 (Toru Nishimaki)」によると、「西牧徹が技法的に到達したい画家として、アーリング・ヴァルティルソン、エリック・デマジエール、尾崎眞吾など挙げている」とか。
 小生、不勉強で、「アーリング・ヴァルティルソン、エリック・デマジエール、尾崎眞吾」のいずれも知らない。
 まあ、西牧徹のことも、絵は見て、ああ、これは見たことがあるって思い出したけど、名前と作品が一致したのはつい先日のことなのである。

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← 「トーキングヘッズ叢書(TH Series) No.32 「幻想少女~わ・た・しの国のアリス」」 (画像は、「アトリエサード publication 既刊bTH No.32「幻想少女~わ・た・しの国のアリス」-b」より。)

エルエル 西牧徹さんの黒戯画世界
vanilla-gallery 6月2日(月)~6月14日(土) 西牧徹展 「黒戯画源展」」には、下記の記述など興味深い記事である:

高校の頃からラブドール(当時の呼称はダッチワイフ)を買って性欲をぶつけていたという西牧さんの最大のこだわりは膝上まであるブーツ、このたびも黒ずくめのピンヒールのブーツ姿で登場。さらにこだわっているフェティシズムが“クッションいじめ”なる行為で、ソファーや大きなクッションを鋭いヒールのブーツを履いて思い切り踏みつけることによって性的に興奮するというもの、その模様を自らビデオカメラをセットして撮影し、それを見ながらオナニーもするという。

 なんと充実したオナニーライフなんだろう!

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→ 西牧徹「海辺のヴィオラ」(2006) (画像は、「西牧徹-黒戯画世界」より)

蝙蝠と蛞蝓の宴 西牧徹の黒戯画世界」によると、「鉛筆で描かれたモノクロな世界ながらも、少女たちの無邪気な性の戯れはどこまでも明るい。身に着けているブーツからは、そのフェティッシュな魅力が遺憾なく発揮され、反り立つペニスは、快楽を喜びと共に貪る少女にとてもよく似合っている」だって。
 無邪気。けれど、あるいはだからこそとことん深みに(高みに)揺蕩(たゆた)う。
 そういった夢想に女の子たちは物心付くか付かない頃から耽ってしまうんだろうね。

イベント『幻想少女night第二夜~邪悪な夜~西牧徹、黒戯画に込めた欲望を語る!』 - マガジンひとり」の記事も面白いし、「Hugo Strikes Back! 西牧徹 - Toru Nishimaki」も参考になるけど、先に進む。

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← 西牧徹「伽藍の椅子と柔らかい家具」(2006) (画像は、「西牧徹-黒戯画世界」より)

 幼い女の子に知り合いなどいないが、ちょっとした光景が脳裏の中に残っている。

 仙台での学生生活三年目から小生は下宿を引き払って郊外の地のアパート暮らしを始めた。
 森か林を切り拓いて作られた、山間(やまあい)の新興住宅地の一角にあり、アパートも新築同然。
 講義がないか、サボったのか覚えていないが、アパートの二階にある小生の部屋の窓から外をぼんやり眺めていたら、眼下の更地を越えた向うの緩やかな坂道を女の子が降りていくのが見えた。

 近所の女の子なのだが、その格好が奇妙。
 上は白っぽい半袖のシャツで、短い吊りスカート。

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→ 西牧徹「シチューの出る雪の日」(2002) (画像は、「西牧徹-黒戯画世界」より) 題名も意味不明だし、画像を見ても訳が分からないのだが、一番、気になる作品だ。

 その何処が奇妙かって?
 実はその子、股の間に竹箒を挟んでいる。しかも、股間の辺り。
 箒を股座に宛がったまま坂道をゆっくりと駆け下りるのである。
 しかも、さっき、下っていって姿が見えなくなったはずが、しばらくすると(あるいは違う日の同じ時間帯だったかもしれない)女の子がまた、同じように箒を股に挟み、坂道をトントンと駆け下りていく。
 いかにも、その感触を確かめつつ。

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← 西牧徹「友と月下」(2003) (画像は、「西牧徹-黒戯画世界」より)

 初心な(?)小生は最初、魔法使いの魔女が箒に乗って空を飛ぶという童話か何かを真似しているのかと思った。
 しかし、明らかに違う!

 女の子の表情は間違いなく、奇妙な、しかし彼女にとって初めてのえもいえぬ感触を楽しんでいる。
 これは何だって、戸惑っているような、驚いてもいるような。
 そう、マンディアルグのオートバイに跨るレベッカ、つまり「うっとりさせる者、魅惑する者、束縛する者」の末裔だったのだ。

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→ 「[PHOTO] Holger Pooten」 (画像は、「感想図書館 [PHOTO] Holger Pooten」で発見。) 格好はこんな感じ。でも、表情がまるで違うけど。

 ある日、とうとう女の子と小生の目が合ってしまった。
 女の子は自分の行為が恥ずかしいことだと本能的に察知したのだろう、その日以来、彼女のそんな姿を見ることはなくなった。
 彼女、その後、立派に成長してくれただろうか。
 
               (08/05/25作 08/06/11加筆)

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@高田馬場タナトス6(新宿区高田馬場2-8-3丸石ビル6F) 異端もここに極めり!黒戯画(少年少女たちの戯れる“艶画”と熊のキャラクター“キエムクー”の活躍する“福画”に大別される)を提唱し、フェティッシュな欲望を前面に押し出した鉛筆画で知られる西牧徹のディープでキケンな世界! ラブドールやブーツフェチなどまでその性癖のすべてが明かされる! トークのお相手は、無二の肉々しい絵で知られる青木典子。 貸しビルに設けられた謎の応接間のようなスペースでホームパーティーに招かれた気分でゆったりくつろぎながら... [続きを読む]

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