田中良平…板塀の温みを描く
どういう経緯でだったかは忘れたが、「田中良平」という版画家の存在を知った。
多分、宮本秋風について調べていて出会った「Yoseido Gallery 宮本秋風[冬景色]」なる頁でだったような。
← 田中良平『扉』 (エッチング・アクアチント 2001 36.5×36.5cm) (画像は、「田中良平」より。) 精緻な描写もさることながら、題材の選び方自体に独自性があるような。ひと目見て惹きつけられた。
「田中良平」は、「日本版画協会会員」で、「メトロポリタン美術館など」に作品が収蔵されていること、「1933年高槻市生まれ。1963より銅版画作品発表」といったことなどは分かるが、それ以上の情報がネットではなかなか見つからない。
↑ 田中良平『長屋門(2)』 (エッチング・アクアチント / 2001 /23.5.5×52cm) (画像は、「田中良平」より。) ともすればのっぺらぼうな画面になりかねないのに、品のいい、そこはかとない詩情が漂っているのは何故?
「田中良平」をキーワードにネット検索してみると、プロ野球の選手や、元JRA調教師の方、「版画 絵描き田中良平」、旧軍人…といった方々も浮上してくるが、同姓同名の別人のようだ(後者の「版画 絵描き田中良平」については、いつか調べてみるつもり)。
→ 田中良平『An Entrance No. 1』(1993 etching with aquatint ) (画像は、「The Ren Brown Collection TANAKA Ryohei」より。) 多くの画像を載せたいので、敢えて小さくしている。拡大して鑑賞してほしい。
根気よく探してみたら、「田中良平 画歴」という頁が見つかった:
← 田中良平『Harvest Season No. 3』(1984 copperplate etching with aquatint ) (画像は、「The Ren Brown Collection TANAKA Ryohei」より。) こんな素晴らしい版画家を今まで知らずにいたなんて! 日本にはあまり作品がない?
1933 高槻市に生まれる
1963 古野由男氏に師事(銅版画の手法を学ぶ)
1966 日本版画協会入選
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→ 田中良平『Koshi No. 2』(1972 chine colle with copperplate etching and aquatint) (画像は、「The Ren Brown Collection TANAKA Ryohei」より。) 一つの格子の透き間から覗き見る…なんて絵柄なら小生の常識でも考えられるが、こんなふうな構図なんて、発想自体ユニーク。
1970 芥川龍之介「或る阿呆の一生」の英語版に銅版画を採用、出版される
1986 作品「托鉢no.2」米国大統領ロナルド・レーガンのコレクションとなる
1967-個展
京都、神戸、東京、名古屋、ドイツ、カナダ、ニューヨーク、シアトル、シカゴ
コレクション
メトロポリタン美術館、ホノルル美術館、ボストン美術館 等
(続く)
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