ハイコ・ミュラー……メビウスの輪の恐怖
ハイコ・ミュラー(Heiko Müller) は、これまた「Heiko Muller-armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム]」なるブログで見つけた人物である。
彼には、「Heiko Müller - Paintings and Drawings」というサイトがある。
→ "Heiko Müller - Stay Awake"(Limited edition monographic book ) 例えば、こんな作品の数々。
平穏な日常の最中のはずなのに、気がつくとそこに得体の知れない世界や生き物が出現する。見慣れたはずの隣人が、ペットが、ヌイグルミが外見はそのままのはずなのだけど、突如、全く意想外な謎の表情や雰囲気を現出させる。
慣れ親しんだ世界の、その実、非日常と背中合わせの世界。
正常と異常とを滑らかにつなぐメビウスの輪の恐怖。
← 画像は、"Heiko Müller - Stay Awake"(Limited edition monographic book )より。
でも、世界が、そして無表情なはずの動物たちが実は決して能面ではないことを、例えば目の表情や描き方一つで示してしまう。
ユーモラスでもあるようだが、そう思いたいのだけど、一旦、気付いてしまったなら、やはり得体の知れない、不気味の感覚は消えない。
思い返してみると、今時の童話や絵本の実状はどうなのか知らないが、(活字嫌いの)小生がつい夢中になった童話の世界ってのは、世界に対して裸で武器も偏見もなしで立ち向かうしかない子供にとっては謎と不気味とに満ちていたような。
→ 画像は、「Heiko Müller - Drawings/Mixed Media」より。以下、拡大画像は当該頁にて。
不気味ってことを強調しすぎたかもしれない。「Heiko Muller-armchair aquarium [アームチェア・アクアリウム]」のサイト主の方が評するように、ラブリーでもある。
おどろおどろしいようだが、ラブリー。
ラブリーなんだけど、ふと振り返ったら全く見知らぬ表情を湛えるビーストがいる。
ハイコ・ミュラーは、その微妙な間(あわい)を絶妙な感覚で描く才能に溢れているアーティストのようだ。
← 画像は、「Heiko Müller - Drawings/Mixed Media」より。
「Heiko Müller - Bio」によると、ハイコ・ミュラー(Heiko Müller)は、1968年にハンブルクで生まれのアーティスト。2000年にハンブルク大学のイラストとデザインの応用科学の学位を得たとか。
(ハイコ・ミュラーというカタカナ表記は正しいかどうか、分からない。但し、Heiko Mueller(ハイコ・ミューラー)という似たような名前の別人がいる。後者は、リーズ&ミューラー社の創業者で現代表の一人であり、独創的な折り畳み機構を持つ自転車BD-1を生み出したデザイナー二人のうちの一人でもある。「リーズ&ミューラー | ABOUT」参照。他にもハイコ・ミュラー (Heiko Muller)という名の、映画で音響効果を担当する人物がネットで見受けられた。多分、別人。)
→ 画像は、「Heiko Müller - Drawings/Mixed Media」より。
ボッシュやブリューゲルの絵画の背景に描かれるB級映画に登場させたくなるような生き物たちの像に興味を持っているとか、ジャンルを越えていろんなアートに関心を持っているとか、田舎の牧歌的な世界の中にフランドル派の大家の作品に描かれるような精神的な恐怖を持ち込んだらどんな世界となるか試しているとか、あれこれ書いてある。
← 画像は、「Heiko Müller - Drawings/Mixed Media」より。
また、ハンブルク(ドイツ)に活動のベースを置いているが、題材については、エストニア、ニューヨーク、パリ、サンクトペテルブルグ、サクラメントおよびサンディエゴといった様々な場所に求めるとか。
ただ、仕事が忙しくない時は、七歳の息子と過ごすとか。
詳しくは当該の頁を見てもらいたい。
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