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2008/05/20

富山の海洋深層水のヒミツ?

 コメントで「テレビ朝日|素敵な宇宙船地球号」にて来週の日曜日25日([第527回] 5月25日 23:00~23:30放送)に下記の内容で富山に関する話題が放送されるといった情報を戴いた:
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→ 魚津や氷見に程近い滑川の海辺。水が透明!

「海洋深層水のヒミツ」
  ~富山湾から地球が見える!~

日本海に面する「富山湾」。標高3000mの立山連峰から続く急斜面が、海底1000mまで一気に到達するという世界的に希な地形。その独特の地形は、湾内を豊かにしてきました。海底には、今もなお太古の森の痕跡が残り、深海には奇妙な生物が群生しています。
 番組では、豊富な魚、海洋深層水をはじめとする海水の利用価値、人間に恵みをくれる富山湾の秘密に迫ります。
ナレーター:室井 滋  ナビゲーター:山本 太郎

 富山湾の海というと、例えば魚津の蜃気楼や埋没林が有名だろう:
特別天然記念物 魚津埋没林博物館~埋没林と蜃気楼の博物館

 富山では天気情報をテレビなどで伝える際には、蜃気楼の明日(翌日)の発生確率も情報として提供している(「蜃気楼」については、拙稿「蜃気楼・陽炎・泡」にて大よそのことを纏めた。「蜃気楼の欠けら」なんて掌編もある)。

 埋没林と蜃気楼というと、何かのエッセイで「小学校の遠足で魚津にある水族館へ行き埋没林を見たこと、さらに魚津の岸壁だったか浜辺で運良く蜃気楼を見たこと、そのとき、浜辺に蜃気楼の欠けらを見たこと、その欠けらとは実際には発泡スチロールに過ぎないと後で(後年になって)分かったこと、など」を綴った記憶があるのだが、題名を失念してしまった(あるいは、書いたってのは勘違いか)。

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← やはり滑川の海辺にて。詳しくは、「あの世の沙汰もカネ次第?」を参照。

 その魚津埋没林とは、「魚津埋没林|豆知識~埋没林」によると、「約2,000年前、片貝川の氾濫によって流れ出た土砂がスギの原生林を埋め、その後海面が上昇して現在の海面より下になったと考えられてい」て、「埋没林は、その森林が生育していた場所全体が地下に密閉され、木の株だけでなく種子や花粉、昆虫などが残っているため、過去の環境を推定する大きな手がかりとな」るのだという。
 小学校の遠足で魚津にある水族館で初めて埋没林を見た時はただただショックだった。
 カルチャーショックを受けたといっても過言ではない気がする。

 その時、見たのは海中に沈んで林立する木々だった。枝はあっても葉っぱなどなかったが、地上の林しかしらない世間知らずのガキには何か空恐ろしい光景に映った。
 地にあって磐石な姿で聳え立っているべきものが、太古の森がよりによって海にそっくりそのまま沈んでしまうなんて。
 これじゃ、この世の何処に居ても安全無事なんてありえないじゃないか…。
 まあ、出来の悪いガキの頓珍漢な、それでもマジな恐怖感を覚えたわけだった。

 その前段として、富山の浜の特徴も小生の恐怖感の増幅に預かっていた。
 それは、「富山湾は、海岸から沖に向かって急に深くなり、水深約1100mの平坦な海底にな」ることに関係する(「地球ダイナミクス講座 「深海底を探る? 富山湾と日本海東縁」」など参照)。
 海水浴でも、富山の海辺には遠浅と云える場所がない。浜辺(砂浜)から数メートルも離れると子供の頭は水没してしまう。海にはテトラポットが数知れず沈められていて、その先へ泳いでいくのは、ガキの小生には到底ありえないことだった。
 この「海岸から沖に向かって急に深くな」ることと、埋没林の光景とが合わさって、小生のウブで無知な心に凄みを持つ海という観念が植え付けられたのだった。

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→ 「乾燥展示館に展示されている埋没林)」(画像は、「魚津埋没林博物館 - Wikipedia」より) 小生がガキの頃に見たのは、海中の埋没林だった。

 さて本題である。
 富山の海洋深層水のこと。
 ズバリ、「富山の深層水」というサイトがある。
 その中の「富山の深層水辞典〈深層水とは?〉」が分かりやすく参考になる。「海洋深層水には、「低温安定性」、「富栄養性」、「清浄性」という三つの大きな特長があ」るというが、その:

 海洋深層水とは、大陸棚より沖合で太陽光が届かない水深にある海水のことで、現時点で確立された定義はなく、一般的に「水深200m以深の海水」という意味で使用されています。

 「富山の深層水」を育んでいる富山湾は、広さが約2,120平方キロメートル、最深部が1,000m以上あり、駿河湾や相模湾と並んで我が国で最も深い湾の一つです。

 富山湾は、大きく分けて三つの層で構成されており、海岸に近いところには河川などの影響を受けた塩分濃度の低い「沿岸表層水」、その下層から200~300メートル付近には「対馬暖流系水」、そして300メートル以深には低温の「日本海固有水」が無尽蔵に存在し、この日本海固有水が「海洋深層水」と呼ばれ、富山湾の容積の約6割を占めています。


 富山の深層水の研究に付いても、「富山の深層水辞典〈深層水研究のあゆみ〉」が参考になる。

 テレビ番組の「素敵な宇宙船地球号 「海洋深層水のヒミツ」 ~富山湾から地球が見える!~  ここが見どころ!!」では(富山の)海洋深層水のどんなヒミツが解き明かされるのか。

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← 富山の浜辺。海水浴場でもある。立山連峰が背後に。数年前の正月二日の光景。

 いずれにしても、「海洋深層水 - Wikipedia」にあるように、下記の特色に深く関わるものであろう;

この日本海固有水=深層水は、太平洋側の深層水と異なる特質を持っている。太平洋側の深層水は年間を通じて10℃前後だが、日本海固有水は2℃前後と低温である。また、太平洋側の深層水は水深が深くなるに従って海水中の溶存酸素量が減少するが、日本海固有水は水深が深くなっても溶存酸素量は表層水とほとんど変わらず豊富である。

 なお、富山県滑川市には、「深層水体験施設タラソピア」がある! 深層水体験施設としては、世界初である。
 また、「冷熱源としての利用については、富山県入善町が設置した海洋深層水企業団地において、食品製造企業が製造した食品の冷却、工場内の空調に深層水を利用するため2008年12月の操業開始に向けて準備を進めている」ことも特記しておく。

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コメント

蜃気楼の欠片が発泡スチロールだった話、確かに読みましたよ。あるいは何かのコメント欄だったかも。
富山湾も立山もいいですね。そういえば先日ホタルイカを食べました。

投稿: ゲイリー散人 | 2008/05/20 21:30

ゲイリー散人さん

書いた本人が覚えてなくて、人様に教えてもらうなんて、情けない。

「蜃気楼・陽炎・泡」の中で、「悲しいかな、その時は、蜃気楼を眺めてそれほど感動した覚えがない。 というより、岸壁だったか浜辺だったか覚えていないのだが、波打ち際に打ち寄せられる発泡スチロールの塊を見て、ああ、これってあの白い何かから千切れて流れ着いたんだなと思っていたことだけが印象に残った次第である」と書いていた:
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2005/03/post_7.html

で、埋没林を見たときの恐怖感と蜃気楼の欠けら(発泡スチロールの塊)を組み合わせて、「蜃気楼の欠けら」という短編を書いたのでした:
http://atky.cocolog-nifty.com/houjo/2007/04/post_e98e.html

思い出させていただき、ありがとうございます!


>そういえば先日ホタルイカを食べました。

あっ、ホタルイカ、先月だったか、二度ほど食べたっけ。
思い出したら、また食べたくなった!

投稿: やいっち | 2008/05/21 03:12

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