デューラー『メランコリア I』の周辺
帰省して図書館事情が貧相で、本の借り出しも侭ならず、郷里に辛うじて残っている本をちびりちびりと読む日々である。
その中の一冊に若桑 みどり 著の『イメージを読む』(ちくま学芸文庫)がある。93年の刊行。

← 若桑 みどり 著の『イメージを読む』(ちくま学芸文庫) 但し、小生が所蔵しているのは、「プリマーブックス 69」のもの。
15年ぶりに読むとほとんど初めて読むような、でも読み出してみると、ああそういえばそんなこと書いてあったっけ、なんて思い出されてくる。
中には、おや? こんな記述、あったっけ、という件があったりする。
それは、アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer, 1471年5月21日 - 1528年4月6日)の銅版画『メランコリア(Melencolia)』についてのこと(ちなみに、『メランコリア(Melencolia)』は、日本語では『メレンコリア』とも表記されるようだ)。
デューラーの『メランコリア I』については、例えば「ブレスダン…版画と素描と」にて、ルドンやエレミール・ブルジェらの解釈などを紹介している。
しかし、デューラーの『自画像』や『メランコリア I』はしばしば目にできることもあって、「デューラーの憂鬱なる祝祭空間」にては、デューラーの水彩画の魔的な細密描写に焦点を合わせてみた。
→ アルブレヒト・デューラー『Melencolia I』(メランコリア) (画像は、「Albrecht Dürer – Wikipedia」より)
さて若桑 みどり著の『イメージを読む』にどんな興味深い記述があったのか(そういえば、初めて読んだ時も面白がってはいたような…)。
それは、『Melencolia I』の中の多面体(石)の面にガイコツらしきものが見える、という話(実際には、講義の中で学生に指摘された)。
若桑 みどり氏本人は、言われてみればそのようでもあるけれど…ということで、半信半疑のようであった。
まあ、否定はできない、というところか。
この石(多面体)については、これまでも様々な解釈がされてきたことは紛れもない事実だが、ガイコツらしきものが見えるという指摘は少なくとも当時まではなかったらしい(小生は未確認)。
過去の解釈では、容易に想像の付くように石工(フリーメーソン)と絡めるものが多いようである。
上に掲げた『Melencolia I』の画像を拡大して、石(多面体)を見て、ガイコツか何かが見えてくるのかどうか。
小生などは、この石が、全ての面がピカピカに磨き上げられているのかどうか、まずその辺りから確かめたい気がする。
あるいは、ある面は磨き抜かれているが、磨かれないまま、中途で放置されている面もあるのかどうか。
中途たったとしたら、憂鬱のせい、深い懐疑の念のゆえなのかどうか。
← アルブレヒト・デューラー『犀(木版画)』 (画像は、「アルブレヒト・デューラー - Wikipedia」より) これがホントの犀密描写 ? !
いずれにしても、目立つ大きな面だけは磨かれて光沢があるようである。
だとしたら、その面は鏡とまでは行かなくとも、絵を描く(銅版画を刻む)誰か作家の目には、ツルツルの石の面にあれこれ数々のツールの置かれている部屋(空間)の中の何かをおぼろげにでも映し出している(反映している?)と考えるのが穏当な見方なのではないかと思われる。
なんたって水彩画であっても銅版画であっても、魔的なほどに細密描写せずに居られなかったデューラーなのだ。
描き手の視点(視線の角度)と部屋の中の様子との絡みから、あるいは石の面に(映っているとしての話だが)映っているものも割り出すことも不可能ではないのではなかろうか。
案外と、ロダンではないが、考える人(悩む人?)のポーズで憂鬱の底に沈むその人の顔ってこともありえるやもしれない。
専門家の見解はどうなのだろう。あるいは、『Melencolia I』の画像を拡大してじっくり眺め入っただろう皆さんの見解や如何に?
尤も、いずれにしろ、アルブレヒト・デューラーの『Melencolia I』の本物、と言わないまでも精密なコピーを眼前に掲げて、じっくり鑑賞しないと、始まらないよってのが正直なところだろう。
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