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2008/05/30

『鳥獣人物戯画絵巻』を覗き見る

 ひょんなことで「鳥獣戯画」のことが話題の俎上に上った。
 鳥羽僧正覚猷(とばそうじょう かくゆう)の作、と伝えられる、正しくは『鳥獣人物戯画絵巻』である。

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→ 『鳥獣人物戯画巻断簡』(ちょうじゅうじんぶつぎがかんだんかん 紙本墨画 縦30.6 横83.3 平安時代) (画像は、「東京国立博物館 館蔵品詳細」より)

 せっかくなので、メモしておく。

 「鳥獣戯画」は覚猷の作と伝えられ、『宇治拾遺物語』でもおなじみの覚猷は漫画の祖とも呼称されるが(「鳥獣戯画|日本文化いろは事典」参照)、彼が作者であることを「示す資料はなく、むしろ鳥羽僧正の筆が加わっているかどうかも確かめがたい」という。

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2008/05/28

小山正太郎……書は美術ならず!

 過日、川上冬崖について調べていたら、「宮本三平、近藤正純、服部杏圃、山岡正章、狩野友信、高橋由一、松岡寿、松井昇、中丸精十郎、小山正太郎等はいづれも門下の聞えた人達」だという(「春日元孚 「近世画家略伝(六)」」より)という一文に遭遇した。

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→ 小山正太郎「北条時頼像」(紙、彩色、明治40年、部分) (画像は、「第63話 … 小山正太郎「北条時頼像」  岡山大学文学部助教授・鐸木道剛 (2004年06月27日)」より

 いずれも名のある面々なのだろう(小生は知らない人がほとんど)。
 今日は、小山正太郎(1857-1916)のことを多少なりとも知りたい。

 小山正太郎についても、「金刀比羅宮 美の世界-四国新聞社」の中の「第63話 … 小山正太郎「北条時頼像」  岡山大学文学部助教授・鐸木道剛 (2004年06月27日)」が詳しい:

 小山は生涯、師範学校に勤め、教育者としての自覚が強かった。工部美術学校入学前に陸軍士官学校の図画科に学んだせいもあってか、教育も軍隊式で、日清戦争に際しては画家として従軍し、明治二十八(一八九五)年に平壌の戦いのパノラマを制作するなど、戦争画を好むと記されることも多い。しかし明治十八、九年ごろに水彩画で描いた「本能寺討入」は、近代的な目でみた歴史画で、今の我々にも新鮮にみえる。

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2008/05/26

アフリカの詩に育まれて:ヴィフレド・ラム

 ひょんなことから(ネットで小山正太郎情報を収集しようとしていた!)、「ヴィフレド・ラム」(1902~1982)というシュルレアリズムの作家を知った。

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→ ヴィフレド・ラム『黒い巡洋艦より、plate.1』(1972年作  銅版画  [ Size : 23 x 18 cm, Ed.125 ]) (画像は、「ウィフレド・ラム:黒い巡洋艦より、plate.1 - Salon de J」より)

 でも肝心の絵画(画像)がネットではなかなか見つからない。
 人気がない? 忘れられてしまった?
 ま、小生が世の流れに鈍感なだけか。

ウィフレド・ラム:黒い巡洋艦より、plate.1 - Salon de J」によると、『黒い巡洋艦より、plate.1』という、「マンディアルグ著の同名作品のための挿絵(全6点)」がある画家のようだ。
(奇しくも昨日(25日)からマンディアルグ著の『オートバイ』を再読し始めた!)

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2008/05/24

非業の画家・川上冬崖

 近代洋画の先駆者の一人として知られる高橋由一のことがテレビ(「開運! なんでも鑑定団(再)」)でちょっと話題に上っていた。
 その高橋由一は川上冬崖に油絵の技法を学ぼうとしたことがあったという(挿し絵画家の川上冬崖からは西洋絵画の技術については得られるものが少なく、独学を余儀なくされたが。「Shinwa Art Journal」参照)。

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← 川上冬崖『樹木図』 (画像は、「川上冬崖」より) 実物を見たことはないのだが、時代を鑑みるとなかなかの力量があったのでは、と感じさせる。でもやはり現物を見て細部などを見ないと評価しきれない。

 川上冬崖の名は折々目にするが、まとまった形では扱ったことがない。
川上冬崖 - Wikipedia」では情報が少ない。
「川上冬崖(かわかみ とうがい、文政11年6月11日(1828年7月22日)? - 明治14年(1881年)5月3日)は、幕末から明治前期にかけて活躍した南画家、洋風画家、図画教育者である」くらいのもの(「洋風画家」という呼称が時代を感じさせる)。
 が、「明治14年(1881年)、熱海で自殺。清公使館への地図密売事件の責任を取ったとされるが、詳細は不明」という記述が興味を惹く。

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2008/05/21

ジェラルディン・ジョルジュ?

 今朝、病院に行くからと親に起こされた。丑三つ時まで仕事で、帰宅して寝入ったのが四時過ぎだった小生は、まさに寝耳に水の状態。
 び、病院! 何故? どうして?

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← 過日、草むしりしていたら、二匹の蝶が乱舞。オスがメスを追いかけている? 逆? メスがオスを追い掛け回してる? オス(メス)同士の喧嘩? まさかオス(メス)同士の戯れってことも? 飛んでいる蝶たちなので、デジカメに二匹の姿を収めるのがやっと。人生、蝶よ花よといきたいけれど、ちょうもいかないね。

 訊くと、今日は最初から病院へ行く日だった、でもすっかり忘れていたのだとか。
 急いで食事、後片付け。マイカーで病院へ。
 父母を病院へ送って、一旦帰宅。
 支払いのトラブルや、昨日からの「@nifty」中の「常時安全セキュリティ24」不具合の解決のため、「@nifty」の窓口担当者との電話での遣り取りなど、トラブルの対処に時間が費えていった。

 あれこれ慌しく、今日は書きかけの記事を載せちゃう。

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2008/05/20

富山の海洋深層水のヒミツ?

 コメントで「テレビ朝日|素敵な宇宙船地球号」にて来週の日曜日25日([第527回] 5月25日 23:00~23:30放送)に下記の内容で富山に関する話題が放送されるといった情報を戴いた:
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→ 魚津や氷見に程近い滑川の海辺。水が透明!

「海洋深層水のヒミツ」
  ~富山湾から地球が見える!~

日本海に面する「富山湾」。標高3000mの立山連峰から続く急斜面が、海底1000mまで一気に到達するという世界的に希な地形。その独特の地形は、湾内を豊かにしてきました。海底には、今もなお太古の森の痕跡が残り、深海には奇妙な生物が群生しています。
 番組では、豊富な魚、海洋深層水をはじめとする海水の利用価値、人間に恵みをくれる富山湾の秘密に迫ります。
ナレーター:室井 滋  ナビゲーター:山本 太郎

 富山湾の海というと、例えば魚津の蜃気楼や埋没林が有名だろう:
特別天然記念物 魚津埋没林博物館~埋没林と蜃気楼の博物館

 富山では天気情報をテレビなどで伝える際には、蜃気楼の明日(翌日)の発生確率も情報として提供している(「蜃気楼」については、拙稿「蜃気楼・陽炎・泡」にて大よそのことを纏めた。「蜃気楼の欠けら」なんて掌編もある)。

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2008/05/17

山口啓介の『原植物』

 四月末から始まった連休もすでに終わって日常の日々が始まっているようだが、小生は連休に関係なく(夜は断続的にバイトで)家の畑や庭の草むしりに勤しんでいた。
 畑の周辺は何とか格好が付いたが、家の周囲の草むしり・草刈・駆れ落ちた松葉などの清掃は緒に着いたばかり。

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← 山口啓介 「-地球図素描-」 (画像は、「keitaiで写真修行 山口啓介 -地球図素描-」より)

 そんな草木との苦闘(?)の日々にあるだけに、草花関連の話題には関心が湧く。
山口啓介さん、ありがとう! magnoria」を覗いてみたら、版画家の山口啓介のことが話題に上っていた。
 山口啓介は植物を題材にしたアートを(も)制作されているようで、小生にとっては山口啓介の世界の発見はタイムリーということになるやもしれない。

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2008/05/15

ハンス・ベルメール…球体関節人形

 ハンス・ベルメール(Hans Bellmer, 1902年3月13日 - 1975年2月23日)の存在を知ったのはいつのことだったか、今ではもう定かではない。

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← ハンス・ベルメール『哀れなアン』(1968年、1948年制作のデカルコマニーのフォトグラビュール、ed.200、35.5x27.5cm) (画像は、「アート・遊 ハンス・ベルメール」より)

 何かの美術書(澁澤龍彦だったかな)の中でその名を目にしたような、それともジョルジュ・バタイユの『マダム・エドワルダ』の挿画(小生が初めて作家の全集を入手したのは古書店で見つけたバタイユ全集で、これは今も古い書棚に温存されている)で既に脳裏に彼の世界が焼き付けられていたような気もする。

 が、小生の肉髄に強く印象を刻まれたのは、何処かの古書店でハンス・ベルメールの画集…というより写真集を手に取ったときだったのは間違いない。

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2008/05/11

異端の画家か 絵金!

血みどろ?芳年」こと月岡芳年を扱ったとなると、絵金(えきん)が続かないと恰好がつかない ? !

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→ 『浮世柄比翼稲妻(うきよがらひよくのいなづま)』 (画像は、「絵金 アートギャラリー」より。画像に付いての説明は、当該頁にて) 

絵金 - Wikipedia」では、得られる情報が少ない。
「絵金(えきん、文化9年10月11日(1812年11月14日) - 明治9年(1876年)3月8日)は、幕末・明治期の浮世絵師」で、「土佐高知の生まれ。姓は弘瀬、名は柳栄、美高、通称は金蔵。文政12年(1829年)、江戸に出て狩野洞白に入門す。帰国後、土佐藩の御用絵師となるが、偽絵を描いて失職する。その後、町絵師として台提灯絵、絵馬、凧絵などを描き、絵師の金蔵を略して絵金と呼ばれた。猥雑、土俗的で血みどろの芝居絵に人気がある」とあるだけ。

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2008/05/08

デューラー『メランコリア I』の周辺

 帰省して図書館事情が貧相で、本の借り出しも侭ならず、郷里に辛うじて残っている本をちびりちびりと読む日々である。
 その中の一冊に若桑 みどり 著の『イメージを読む』(ちくま学芸文庫)がある。93年の刊行。

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← 若桑 みどり 著の『イメージを読む』(ちくま学芸文庫) 但し、小生が所蔵しているのは、「プリマーブックス 69」のもの。

 15年ぶりに読むとほとんど初めて読むような、でも読み出してみると、ああそういえばそんなこと書いてあったっけ、なんて思い出されてくる。
 中には、おや? こんな記述、あったっけ、という件があったりする。

 それは、アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer, 1471年5月21日 - 1528年4月6日)の銅版画『メランコリア(Melencolia)』についてのこと(ちなみに、『メランコリア(Melencolia)』は、日本語では『メレンコリア』とも表記されるようだ)。

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2008/05/06

クリス・クゥクシ(Kris Kuksi)

 ひょんなことから「クリス・クゥクシ(Kris Kuksi)」という存在を知った。
 何処かで見たことがあるような気がするのは、ギーガーを思わせる雰囲気があるからか、芸術新潮か美術手帖の特集を垣間見たことがあったからか。

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→ 『Church Tank Type 5A』 (画像は、「kuksi.com」(Official Website of Kris Kuksi)より)

 既にネットの世界でも注目を浴び始めているようだ。
A. Kris Kuksi」(2007.03.10)では、「バロック建築を思わせる超過剰装飾」とか「ギーガーを思わせる陰鬱な雰囲気」、そして「ヒロエニムス・ボシュを尊敬しているらしい」などと書いてある。

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2008/05/04

久隅守景から遥か

 今日は久隅守景の世界に触れてみたい。
 久隅守景(くすみもりかげ)については、「小林忠著『江戸の画家たち』」のなかで、木下長嘯子の「夕顔のさける軒ばの下涼みをとこはててれ女(め)はふたのもの」という歌に絡めて「夕顔棚納涼図屏風」という作品に言及したことがあるだけである。

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→ 久隅守景筆『納涼図屏風(のうりょうずびょうぶ)』 (画像は、「東京国立博物館 館蔵品詳細」より)

『夕顔棚納涼図屏風』については、人気番組の「美の巨人たち」で採り上げられていて、久隅守景という人物像も含めこれまた興味深い番組内容だった。

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2008/05/02

リベルダージ、今年は海中探検!

 今年は海中探検って云っても、小生が探検するわけじゃない。
 サンバ・エスコーラ(チーム)であるリベルダージ(G.R.E.S.LIBERDADE)の「2008年浅草サンバカーニバル」に向けてのパレードテーマ(Enredo)が既に公表されているのだ:
海中探検(仮題)

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→ 『海の宇宙ステーション シーオービター(Sea Orbiter)』(Illustration: Jacques Rougerie) (画像は、「Gemini - Research news from NTNU and SINTEF」より) 「海の宇宙ステーション:シーオービター」を参照のこと。

G.R.E.S. LIBERDADE---浅草サンバカーニバル:2008年 パレードテーマ---」なる頁を覗くと、リベルダージのパレードテーマ(Enredo)である『海中探検(仮題)』について以下のように謳われている:

今回の主役は、潜水艦リベルダージ号! 波打ち際から出発し、やがて深海の幻想世界へと、探検していきます。 潜水艦は勇敢に進み、様々な海中の生物たちに出合うのですが、 幾度となく、行く手を阻むアクシデントも?? さあ!沿道の観客も一緒に海の冒険へと連れていってあげましょう!

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2008/05/01

血まみれ?芳年(3)

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← 雑草に埋もれている我が家の畑!

 このところ、草むしりが日課。とにかく、生える量より多くを毟るのがノルマだ。

 さて、徳田良仁著の『芸術を創造する力―イメージのダイナミックス』(紀伊国屋書店)から、「狂画家」「血まみれ芳年」の側面に照明を当てている一文を抜粋・転記している。
 今日もその続きである。

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