山を愛した風景画家―吉田博
吉田博という名の版画家の存在を知ったのはいつだったか覚えていない。
ネット上でのこととはいえ、彼について調べたり彼の作品をじっくり見たのは昨年末だったか、明治や大正、昭和初期の版画家をいろいろ物色していてのこと。
渡邊庄三郎の周辺を渉猟していると(そうでなくとも)必ずや出会うはずの人物である。
← 日本アルプス十二題より 「黒部川」 37.5×25.1cm (画像は、「版画家 吉田博」より)
作品をネット上でだがチラッと見ただけで引きこまれてしまった。
これだけの魅力を持っているのに、知名度がそれほど高くないような。
あるいは小生が勉強不足なだけなのだろうか。
もう少し感度のいいアンテナを張っていたら、とっくの昔に出会えていたはずなのだが。
「吉田 博 木版画展 雄大な自然を描いた国際版画家 1994年5月1日〔日〕-5月22日〔日〕」によると、下記のような解説が:
吉田博は、明治9年久留米の上田家に生まれ、幼少より絵を好み、福岡へ出て吉田嘉三郎に油絵を学んだ。望まれて吉田姓を称することになり、やがて上京し小山正太郎の不同舎に入り、画家の道に専念した。
昭和25年永眠するまで各地を遊歴し、風景画を描き続けた。
以下、当該の頁を覗いてみてほしい。
ここではあと、「油絵作家である彼の迫力ある風景画は、創作に対する情熱をもって自ら主宰して描き、彫師・摺師とともに制作した結果、いきいきと表現されている」という説明にだけ注目しておく。
→ 日本アルプス十二題より 「五色原(ごしきばら)」 24.6×37.4cm (画像は、「版画家 吉田博」より)
更に詳しくは、「版画家 吉田博」なる頁がいい。画像も豊富である。
ホームページは、「額装工房 アートランド」のようだ。
今になって吉田博という名の版画家を採り上げようと思ったのは、この三月から富山で暮らすことになった小生、富山関連情報を探している最中、またまた版画家・吉田博の名と行き逢ったからである。
なんと「http://museums.toyamaken.jp/j_kenpaku/j_kenpa/10.html">黒部市美術館」にて昨年の秋口から冬に掛けて(9/22~12/2)、「山を愛した風景画家―吉田博展」が開かれていたという情報を見つけてしまったのだ。
「版画家としても知られる吉田博(1817-1950)の画業を紹介。緻密で色彩豊かな作品群を通して、吉田博の神髄に迫る」という企画。
ぶっちゃけ、黒部川や立山など富山の風景も描いてくれていて、嬉しかったのだ。
これは、しっかりメモしておかないと、というわけである。
← 日本アルプス十二題より 「立山別山」 24.9×37.2cm (画像は、「版画家 吉田博」より)
ここで「静岡県立美術館【主な収蔵品の作家名:吉田 博】」(ホームページ:「静岡県立美術館」)
この頁から、下記の説明を転記させてもらう:
明治後期から大正期を代表する風景画家であり、水彩画においても大下藤次郎等と共に先駆的な役割を果した。木版画家としても知られ、長男遠志、次男穂高も版画家として活躍する。
(大下藤次郎については、拙稿「命と引き換えの自然描写:大下藤次郎(前篇)」など参照願いたい。)
→ 日本アルプス十二題より 「雷鳥とこま草」 37.8×24.6cm (画像は、「版画家 吉田博」より)
昭和47年か48年だったかはハッキリしないが、夏休みの或る日、小生は友人ら四人で立山に登った。
その際、幸運にも雷鳥を足下に見ることができた。
友人が先に気づき、指差しだったか、それとも「そこに雷鳥!」と教えられたのかは覚えていないが、指摘されないと気付かなかっただろう程に、足元の岩場に紛れて分からない羽根の色だった。

← 「上高地の春」 1927(昭和2)年 油彩、キャンヴァス 80.5×116.8cm (画像は、「静岡県立美術館【主な収蔵品の作家名:吉田 博】」より。大下藤次郎の作品と見比べてみるのもいいだろう)
(08/03/11作)
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