キアズマ
ここ数年のことだと思うのだが(小生が気づいてから数年なのかもしれないが)、「キアズマ」という言葉をたまに見聞きする(哲学では浅田彰あたりが異種交配的意味合いで使っている)。
と思ったら、「ステファニー・バレンティン:顕微鏡下の美」なる記事をつづる際にも、この言葉に際会。
せっかくなので、ちょっと気になるこの専門用語と思われる言葉「キアズマ」を巡って若干のメモを試みる。
→ 山下洋輔トリオ『キアズマ』 (アーティスト), 山下洋輔 (演奏), 坂田明 (演奏), 森山威男 (演奏) 「坂田明,森山威男を擁する伝説の山下トリオの,75年のドイツでのライヴ・レコーディング」! 75年だって。さすがにミュージシャンの感性は鋭い。文末参照。
その名も「キアズマ」(ホームページ:「横浜国立大学大学院 環境遺伝子工学研究分野」)という頁がネット検索で上位に浮上した。
そこには、「相同染色体にとって大切な”絆”」とした上で、以下のように説明されている:
新しい遺伝的組合せを作るためには、相同染色体同士が一部交叉することが必要です。交叉によって生じた”結び目”が、キアズマです。交叉は、ほとんどの生物において、2個の相同染色体を別々の娘細胞の核へと正しく別れさせます。キアズマは両親それぞれから1本ずつの相同染色体を減数第1分裂後期までまとめておく役割を果たしています。
← Stephanie Valentin 「chiasma # 1, 1998」 from Chiasma Gelatin silver photogram 150 x 101cm, unique print) (画像は、「Stills Gallery - Stephanie Valentin」より) 「chiasma, (2000), featured large-scale black and white photograms of plants and glass vessels which magnifed unexpected detail and intricate textures, highlighting the beauty of the natural world.」
「減数分裂 - Wikipedia」によると:
二価染色体では相同染色体同士で一部の配列を取り替える、乗換え(相同組換え)が起きる。減数分裂によって異なった組み合わせの染色体を持つ配偶子が形成され、また、乗換えによっても様々な遺伝子の組み合わせが生じるため、減数分裂は遺伝的多様性に貢献していると考えられる。ヒトの研究では乗り換えが染色体分離を正常に行わせるのに必須のイベントであることも明らかになってきている。乗換えでは相同染色体が交叉した部位でキアズマと呼ばれる構造が形成される。

→ Stephanie Valentin 「chiasma # 7, 1998」 from Chiasma Gelatin silver photogram 150 x 101cm, unique print) (画像は、「Stills Gallery - Stephanie Valentin」より) 作品のサイズに注意!
ここでは転記はしないが、興味の湧いた方、もっと知りたい方は下記へ:
「多様性の生物学的基盤|「子ども学」事始め」(ホームページ:「Child Research Net」)
まあ、正確な理解は覚束ないが、異質な文化や伝統、民族、思想、血筋などなどに由来する人々が交差し出会い交流し、組み換えしあるいは乗り換えしあうことで既存の世界とは違う何かの創出を期待しているということなのだろう。
← 「ヘルシンキ現代美術館」 (画像は、「ヘルシンキ現代美術館 - Wikipedia」より) 「(Kiasma、キアズマ)」は通称(愛称)のようだ。
「♪PIERRE♪CEOのBREEな生活 フィンランド KIASMA(キアズマ)美術館」なるブログ記事によると、フィンランドの首都であるヘルシンキに「KIASMA(キアズマ)国立現代美術館」があり、その「KIASMA(キアズマ)」とは、ギリシャ語で「交差(地点)」の意味だそうだ:
「国立現代美術館キアズマ」(アメリカ人建築家Steven Hollの設計) (…「ヘルシンキ現代美術館」のほうが正しい呼び名?)
→ Stephanie Valentin 「chiasma # 12, 1998」 from Chiasma Gelatin silver photogram 150 x 101cm, unique print) (画像は、「Stills Gallery - Stephanie Valentin」より)
「キアズマ」(「交叉関係」と訳しているケースも多い)という言葉、語感的に日本人には変わっていると感じる。
似たような語感の言葉はないかと思っていたら「プラズマ」という言葉が脳裏に浮んできた。
調べてみたら、この「プラズマ(plasma)」もギリシャ語だった。「ギリシア語で「形作る」を意味するπλασμα を語源とする」という。
「プラズマ(plasma)」というと、「塑像や塑性の意味」を持つ「plastic」の語源のようだが、この辺りの詮索は止めておく。
← Stephanie Valentin 「chiasma # 16, 1998」 from Chiasma Gelatin silver photogram 150 x 101cm, unique print) (画像は、「Stills Gallery - Stephanie Valentin」より)
さすがに、「ほぼ日刊イトイ新聞 - まっ白いカミ。71枚目: 「猫を探して月に行く話。」」(1999-09-15-WED)には「キアズム」という言葉の織り込まれた謎めいた話が(ホームページ:「ほぼ日刊イトイ新聞」)。
山下洋輔トリオには「キアズマ」という名の名盤(名曲)があるようだ。
ネットで見る限り、絶賛されている。
調べてみたら、さすがというべきか、「ほぼ日刊イトイ新聞」の中に山下洋輔トリオの「キアズマ」の話題が見出される!
「ほぼ日刊イトイ新聞 - はじめてのJAZZ。」
タモリと山下洋輔と糸井重里との鼎談である。
最後にこの鼎談に出会ったってことは、小難しい理屈より、まずは山下洋輔トリオの「キアズマ」を聴けという天の声なのだろうということで、今日のブログはお開きにする。お粗末。
(08/02/01作)
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