ピエト・モンドリアン(前篇)
西欧の絵画を主に風景画で、順不同に(多少は歴史を追って)あれこれの画家や作品を見てきた。
今日は、ずっと先になってから扱うつもりでいたピエト・モンドリアン(Piet Mondrian)をちょっとメモっておきたい。
やはり、気になる存在だし、あの有名な作品の不思議な魅力は、たとえ小生如きにその秘密の一端をも解き明かすことは叶わないとしても、遠望か眺望か近視眼風にか、とにかく普通はあまり脚光を浴びせることのない彼の風景画など初期の作品を通じて、想念を膨らませてみたい。
とにかく画風の変遷という意味でも、これほど興味深い画家はいないのでは。
← Piet Mondrian 『Windmill in Sunlight / Molen bij zonlicht.』 (1908. Oil on canvas. 114 x 87 cm. Gemeentemuseum, the Hague, Netherlands.) (画像は、「Piet Mondrian - Olga's Gallery」より) この絵をひと目見てモンドリアンだと気づく人は多くはいないだろう。ゴッホより凄まじい色遣い! 直近の転記文を参照のこと。
「色彩:世界=身体の分節 《モンドリアン展/ハ-グ市立美術館所蔵》 伊東 乾」(ホームページ:「artscape」)から、申し訳なくも前後の脈絡なく、一部、転記させてもらう:
「陽光下の風車 Mill in sunlight 」(1908) は、真昼の太陽が風車の建物の頂の真後ろに隠されながら輝いている、その逆光に逆らって眼を凝らそうとする視覚の幻惑に基づいている。凝視するということ。直ちにゴッホが想起されるが、網膜上にちらちらする黒い点や網状のイリュ-ジョンなど、モンドリアンの視線の強度はゴッホを凌駕しているようだ。
→ Piet Mondrian 『Girl Writing. / Schrijvend meisje.』 (c.1892-95. Black chalk on paper. 57 x 44.5 cm. Gemeentemuseum, the Hague, Netherlands.) (画像は、「Piet Mondrian - Olga's Gallery」より) 以下、画像はもちろんだが、年代もチェック願いたい。それにしてもこの絵、何処か「20世紀前半のドイツで活躍したケーテ・コルヴィッツ(1867~1945)」それともエルンスト・バルラッハを思わせる気味も。そんな路線もありえたのだろうが…。
まずは、「ピエト・モンドリアン - Wikipedia」で、モンドリアンについておさらいをしてみる。
彼ほどの存在なのに、記述は到って簡潔だ。
冒頭に、「ピエト・モンドリアン(Piet Mondrian, 1872年3月7日 - 1944年2月1日)は19世紀末~20世紀のオランダ出身の画家。ワシリー・カンディンスキーと並び、本格的な抽象絵画を描いた最初期の画家とされる」とある。
抽象絵画は、もう現代にあっては古典となってからでさえも久しい。端緒からだと既に百年以上の歴史となる。
← Piet Mondrian 『Pieter Panis on the Gallows in Mechelen. / Pieter Panis te Mechelen aan de galg.』 (1896/97. Illustration from D.P.Rossouw, Mede-erfgenamen van Christus, Amsterdam.) (画像は、「Piet Mondrian - Olga's Gallery」より)
下記の記述が続く:
モンドリアンは、初期には風景、樹木などを描いていたが、やがて完全な抽象へ移行する。有名な「リンゴの樹」の連作を見ると、樹木の形態が単純化され、完全な抽象へと向かう過程が読み取れる。作風は、表現主義の流れをくむカンディンスキーの「熱い抽象」とはまったく対照的で、「冷たい抽象」と呼ばれる。水平と垂直の直線のみによって分割された画面に、赤・青・黄の三原色のみを用いるというストイックな原則を貫いた一連の作品群がもっともよく知られる。
→ Piet Mondrian 『View of Winterswijk. / Gesicht op Winterswijk..』 (1898/99. Watercolor. 52 x 63.5 cm. Private collection.) (画像は、「Piet Mondrian - Olga's Gallery」より)
モンドリアンが「冷たい抽象」と呼ばれるなんて、初めて知った。小生には彼の絵を見て、一度たりとも<冷たい>に類似・近似する印象を覚えたことがない。
たとえ、カンディンスキーの「熱い抽象」(という呼称が的確なのかどうかはさておくが)と比較しても、である。
「水平と垂直の直線のみによって分割された画面に、赤・青・黄の三原色のみを用いるというストイックな原則を貫いた」のだとしても、画面からは時にリズミカルな感じ、いい意味で尖がった感じを受ける。
← Piet Mondrian 『Woods / Boslandschap.』 (1898/1900. Gouache. 45.5 x 57 cm. Gemeentemuseum, the Hague, Netherlands.) (画像は、「Piet Mondrian - Olga's Gallery」より)
変な表現かもしれないが、切れのいい賑やかさ。イヴ・サンローランらの手によりモンドリアン・スタイル(ルック)が幾度となく流行るのも分かるような気がする。
冷たいだなんて、感じる暇などない。
→ Piet Mondrian 『Summer Night / Somernacht..』 (1906/07. Oil on canvas. 71 x 110.5 cm. Gemeentemuseum, the Hague, Netherlands.) (画像は、「Piet Mondrian - Olga's Gallery」より) ムンク風? …ゴッホ風かな?
以下、短いので、「ピエト・モンドリアン - Wikipedia」から転記する:
モンドリアンは1872年、オランダのアーメルスフォールトに生まれた。1892年から1897年までアムステルダム国立美術アカデミーにおいて、伝統的な美術教育を受けている。1911年、アムステルダムにおける美術展でキュビスムの作品に接したことがきっかけで、パリへ行く決心をする。1912年から1914年までのパリ滞在期間に抽象への志向を強めた。(「ピエト・モンドリアン(承前)」へ続く。)
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