« マットペインティング "どこにもない" 世界を描く | トップページ | エルンスト・フックス:意外と古風な宗教画?(後篇) »

2008/01/15

エルンスト・フックス:意外と古風な宗教画?(前篇)

 今日は、拙稿「ベクシンスキー:廃墟の美学(後篇)」の中で名前だけは挙げたが素通りしてしまったエルンスト・フックスをミニ特集する。
 この小文の中で、ズジスワフ・ベクシンスキー著の『ベクシンスキー』(エディシオン・トレヴィル;河出書房新社〔発売〕)なる本の紹介文を載せている。

A1_2

→ 『CRUCIFICATION AND SELF-PORTRAIT, WITH INGE BESIDE THE CROSS,1945』(Oil on wood, 155x195cm) (画像は、「Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs」より)

 その中でベクシンスキーが、「エルンスト・フックス、H.R.ギーガーと並び称されるファンタスティック・リアリズムの画家、写真家、彫刻家」云々とされている。
 ベクシンスキーH.R.ギーガーと並び称される人物とあっては、エルンスト・フックスの世界に触れないわけにいかない。

A3_2

← 『THE TEMPTATION OF THE VICTOR, 1949,』(Watercolor) (画像は、「Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs」より)

 フックスというと安田 徳太郎が執念で翻訳したという『風俗の歴史』(角川文庫)の著者のフックスなのだろうか。学生時代、文章もだが挿絵が楽しみでせっせと読んだ(眺めた)思い出がある。
 違うか?
(この安田 徳太郎という人物に付いてもいつかは一つの記事に仕立てたいと思っている。)

A5

→ 『SATAN'S HEAVEN, 1954』(Brush drawing, 50x85cm) (画像は、「Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs」より)

 エルンスト・フックスには下記のような立派なサイトがある:
Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs
(「エルンスト・フックス個人博物館」がある。)

A8

← 『THE ANGEL OF DEATH OVER THE GATE TO PURGATORY, 1951-56.』(Mixed media on wood, ca.70x90cm) (画像は、「Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs」より)

 エルンスト・フックス(とルドルフ・ハウズナー)に師事した高橋常政氏を知る人もいるのでは。
 かのホルスト・ヤンセンもエルンスト・フックスの影響を受けている
 また、ミヒャエル・クーデンホーフ=カレルギーは、「エルンスト・フックスらの創始したウィーン幻想派を代表する画家」だという。

B2gr

→ 『THE PSALM 69, 1949-60』(Mixed media on wood panel, 53x75cm) (画像は、「Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs」より)

punkt展」によると、「「幻想レアリスム」はウイーン幻想派に由来している。青木画廊がエルンスト・フックスを世界に先駆けて紹介した功績は、既に36年を閲し歴史化していよう」という。

B8gr

← 『JOB AND THE JUDGEMENT OF PARIS, 1965-66.』(Crayon, pencil and gouache, 130x150cm) (画像は、「Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs」より)

 日本語で彼のプロフィールを紹介しているのは:
茜画廊/フックス・エルンスト」(ホームページ:「茜画廊」)
シモンの『我楽多日乗』 神秘的秘儀と甘美なエロス・・エルンスト・フックス
(ここでは参照しないが、「L'art fantastique-幻想芸術」なるサイトはエルンスト・フックスについてのみならず、幻想芸術関連の宝物情報がいっぱい!)

Ikarusgr

→ 『ICARUS ON COTHURNI (from the Lohengrin Cycle), 1978』(Watercolor, gouache, 69x83cm) (画像は、「Official Webpage of Prof. Ernst Fuchs」より)

 以下、上掲のサイトの助けを得てエルンスト・フックスのプロフィールを少々示す。

 エルンスト・フックス(Ernst Fuchs):富裕なユダヤ系古物商を父に1930年2月ウィーンに生まれるが、「5才のときから山や城を描き」、8歳の時ナチスが侵攻、親族.縁者の多くが監禁・虐殺される体験をもつ。
 1942年。「Fuchs is baptised, an event of the utmost significance for him that determines his future life and work

(「エルンスト・フックス:意外と古風な宗教画?(後篇)」へ続く)

|

« マットペインティング "どこにもない" 世界を描く | トップページ | エルンスト・フックス:意外と古風な宗教画?(後篇) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

美術エッセイ・レポート」カテゴリの記事

コメント

ミクシィでこんな動画を見つけた:
http://www.youtube.com/watch?v=7m5MQMCDOWE

投稿: やいっち | 2008/01/15 23:10

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: エルンスト・フックス:意外と古風な宗教画?(前篇):

« マットペインティング "どこにもない" 世界を描く | トップページ | エルンスト・フックス:意外と古風な宗教画?(後篇) »