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2007/02/11

サンバの季節の始まり!

サンバの季節の始まり!
(04年、牛込パレード見物レポートです。一昨年までホームページに所収していた。画像は、当時、ホームページの容量を超えたため、泣く泣く削除。そのうち、元のデータを発見したら、再度、アップさせたい。本文中の[]内の箇所が画像が挿入されていた場所。文章は、ホームページにアップさせた当時のままです。)

            [この笑顔に会いたくて

 東京は新宿区の牛込で行われたサンバパレード見物に行ってきた。薬王寺商交会が主催する形で、25年前より、7月第1日曜日に七夕祭りが行われてきた。数年前から、サンバチームが呼ばれ、市ヶ谷仲之町交差点から市ヶ谷柳町交差点までの商店街をパレードするようになった。
 実際には、プレスタートが13時過ぎから行われ(今回、小生は見逃した)、サンバパレードが始まったのは、予定通りの14時半からである。

 小生は、タクシードライバーを生業としているが、生憎、土曜日は仕事だった。営業の拘束時間が20時間で、仕事を終えたのは朝の6時半過ぎ。急いで帰宅したが、長時間、車を運転していると、神経が疲れるのか、それとも昂ぶっているのか、睡魔が来ていても、すぐには眠れないことは分かっている。
 なので、通常どおりシャワーを浴び、牛乳やお茶で一服し、ネット巡りをしたり、我がサイトの掲示板に寄せられたメッセージに返事を書いたり、好きな番組である「所さんの目がテン」を見たりして過ごし、9時前に就寝。
 寝る直前には本を手に持つのだが、大概は一頁も読めない。頭の芯が痺れきっていて、読書する気にはなれない。すぐに目を閉じてしまう。そして眠りの彼方へ。

 だったら、最初からすぐに寝床に入って本を持てば、どうよ、ということになるのだが、やはり、経験からして神経の昂ぶりを沈静化させるのに時間が掛かる、ようやく鎮まった頃には、読書どころではない、というわけである。
 さて、疲れきって寝入ったのだから、グッスリ眠れるかというと、さにあらず、小生の体の不調もあり、大概は二時間ほどで目が覚めてしまう。まして、今の暑い時期となると、寝汗を掻きながら起きてしまうのである。今日に関しては、どうやら一旦、起きた以上は、このまま起きていないと、今度、寝てしまうと、起きるのが午後を少々回ってしまい、パレードのスタートに間に合わないという意識が働いているようで、しばらく悶々とした挙げ句、寝不足は重々承知の上で、起き上がることにした。

 軽食。少々テレビ。少々読書。少々ネット巡り。ようやくスタートの時間が迫ってきた。この頃になって、やっと持っていくものをチェック。デジカメにメモ用紙にボールペン。午後の一時半過ぎ、腰を上げる。内心、間に合わないかも、なんて思っている。スクーターの止めてある場所まで歩いて数分掛かることも懸念材料。
 外へ出る。まさに炎天下である。湿気がそれほど高くないから助かっているが、日差しは真夏そのものである。影が濃い。スクーターに跨ったのが1時40 分。現地には、2時20分には着きたい。

 池上方面から牛込方面までは、日曜日だと、30分ほどという計算をしているのだが、さて、実際に走ってみないと分からない。で、走り出して間もなく、国道の工事現場での渋滞に嵌ってしまった。案の定という奴か。
 それでも、あとはスムーズにクルージングでき、現地には2時10分過ぎには着いてしまった。日曜日だからこその芸当だろう。


         [いよいよスタートだ!


           [気付いてくれた!


 さて、説明の順番が違うかもしれないが、小生は実は、今日のパレードに参加するサンバチームのメンバーなのである。但し、数回、練習場に通っただけで、あとはサボっている。田舎の事情があって一時期練習に参加できなかったことも事実だが、なかなか一言では説明できない事情もあるのである。
 まあ、小生など、チームからしたら戦力上、数の内に入っているわけではないが、しかし、八月最後の日曜日に浅草で行われるサンバカーニバルのための準備作業が相当の作業量のようなので、その手伝いくらいはしたいと思っている(のだが)。

 とにかく、いずれにしても、サボり野郎なので、チームの方々には合わせる顔がない。その意味で、なかなか行きづらい。普段、サボっているのに、パレードだけ見物に来るのか、なんだ、パシスタ(ダンサー)たちの踊りが目当てなだけじゃないかと思われても仕方ないわけである。
 実際、その面は大きい。なんといっても、サンバの世界に目を見開かせてくれたのは、パシスタの方の人徳と魅力の御蔭なのだから、少なくとも切っ掛けは、百パーセント、ダンサーの方の導きなのだ。
 昨年は、我がチームのパレードに一つを除いて、全てを見物した。我がチームの追っ駆け状態に小生があったと言っていいだろう。都内の方々をスクーターで走り回り、ギャラリーして回ったのである。


             [ダンサーは四方に愛想を振り撒く


 一番、最初にサンバパレードを見てショックだったのは、商店街をあの羽根と少々の衣装だけで踊りまわるパシスタ(ダンサー)の恰好だった。ま、この点は、昨年、散々、書いたので、ここでは省略する。
 ついで、実際に、チームの練習場に行って、バテリア(打楽器隊)などの楽器の練習に参加(というか、目をぱちくりしていただけだが)してみて、まさにバテリアこそが、サンバチームのダイナモというかエネルギー源なのだということを実感し、さらに、演奏される方たちの妙技も間近で堪能することができた。

 とにかく圧倒されることの連続だった。この辺のことも、何度か書いたので、やはり省略させてもらう。
  もっと、深刻な意味で自分にはショックだったのは、特にパシスタ(ダンサー)たちの人間性だった。最初は、その凄さや心意気など知らないから、気安く声をかけ、あるいは逆に声をかけてくれ、少々は語り合う機会もあったのだが、段々、勘の鈍い小生でも分かってきたことは、彼女等の気風とか人間的な素晴らしさだった。


 [ポルタ・バンデイラ & メストレ・サラ 豪華な衣装と旗を持ってチームをアピールする


          [子供やお母さんたちも自由に参加できる


 それぞれに家庭があり、家族があり、仕事があり、子どもがあり、当然、保育所や小学校などとの関わりもある。地域社会との交流も当然、ある。
 彼女等の日常をほんの少しだけ、垣間見て分かったことは、サンバ(のダンス)をしっかり楽しむが、その分、そうした地域での交流も怠ることなくやっているという事実である。何かの集まりの幹事役を敢えて引き受ける。自分自身のプライベートでも忙しいし、子供の急の発熱など、あれこれ駆け回ったり頭を痛める日常があるのに、その上、何かしら責任ある役目を引き受ける…、そういう人たちなのである。

 小生、段々、自分に引け目を感じてきた。翻って自分を見てみると、何事も引き受けないどころか、逃げ回って生きてきた人間である。とてもじゃないが、対等に口を利けるはずもないのである。
 人間性が違う。人間の出来が違うのである。彼女等が小生に口を利いてくれたのは、苦労してきただけに優しさに人情味があるからなのである。それを最初のうちは、小生、勘違いしていた、気さくな人たちなのだ、くらいに軽く思っていたのだった。

 あれこれ肉体的にも精神的にも抱えながらも、サンバを、ダンスを楽器を音楽をやりたいという熱意。そのための雑事を敢えて引き受ける心意気。気風という古臭い言葉を、素直に使いたくなる。
 同時に、やりたいことをやる。そのためには苦労も手間も責任を負うことも厭わない。努力する。周囲の人々(子供や特に夫の説得、家庭のことをもっと顧みろよ、という声など。あるいは、そもそもサンバというジャンルへの周囲の人々の偏見や嫉妬)への理解を求める努力。
 ここまで来ると、小生は、恥ずかしながら、同じチームのメンバーだとは到底、言えない。
 鈍感な小生が思い浮かぶ苦労を列挙するだけでも、眩暈が起きそうである。それでも、やりたいことをやる彼女達の情熱と執念。

 サンバというストリートでこそ輝く、その世界を探究すれば奥が際限なく深いが、同時に、ストリートで、つまり大概は商店街で気軽に見物できる、その意味で入りやすい(かのような)世界。この世界について語るべきことは、小生が垣間見た乏しい経験の中だけでも、豊か過ぎて、うっかり気軽には踏み込めない。
 そうした渦中にあるメンバーを見ていると、改めて我が身を振り返ってみざるをえない。では、一体、自分は何物なのか、と問われてくるのだ。
 そこで、昨年、サンバがストリートでの輝きを追い求める芸術なのだとしたら、自分は、文章という地味かもしれないが、書くという作業での可能性を追い求める、そのことに専心すべきだと、殊勝にも思ったわけである。

 さて、肝腎のパレードのことを書いていない。とにかくパレードのスタートに間に合った。メンバーがスタート地点に揃っている。今となっては、小生がファンになっていると言うしかない、敬愛するパシスタ(ダンサー)の方々も、今や遅しとスタートを待っている。
(小生、弓矢の弦を目一杯張られたような、足踏みしつつスタートを待つ、緊張と期待と情熱の発散直前の、嵐の前の静けさのような瞬間が好きである)
 その彼女等に挨拶するのは、ただでさえ気の小さい小生のこと、気後れする。でも、彼女等の頑張りに励ましをもらいたいという一心で、恥をも顧みず、声を掛けた。
 こんなサボり野郎の小生に、彼女等はちゃんと笑みを返してくれた!


             [この笑顔に会いたくて…


             [この笑顔に会いたくて…


 それこそ、肝腎のバテリア(打楽器隊)や、チームの旗を持って踊られる方のこと、多くのアマニャン(子供の踊り手)たち、その子供等を見守りつつ指導するお母さんたち、また、踊りや楽器(の演奏をする方たち)そのものについても触れたいが、これは追々、パレードを追っ駆けする中で触れる機会が来るものと思う。


             [バテリアの勇姿!

 それにしても、パシスタ(ダンサー)の方たちの踊りは、昨年は、その格好に呆気に取られて、その奥の深さの一端にも触れられなかったが、今年はもう少し、踊りの違いも見てみたいと思っている。
 踊り手の方の体型も身長も習熟度も違うので、踊りはそれこそ千差万別であり多彩である。それこそ、衣装以上に多彩かもしれない。

 優雅な踊り、軽快なステップワークが素晴らしい踊り手、激しい情熱を感じさせる踊り方、観客を興奮と歓喜の輪に巻き込もうとする意欲に満ち溢れた踊り、何処か自己陶酔的な踊り、まだ慣れないのか何処か恥ずかしげで視線も泳ぎ気味の踊り方、本場仕込みの本格的な踊り…。
 もうひたすらファンとなっている小生は、今年も勝手ながらエネルギーをもらうつもりでいるのである。
 さあ、今年もサンバの季節が始まったぞ!

 
                          (04/07/05 記)

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