« 2006年2月 | トップページ | 2006年4月 »

2006/03/05

岡本綺堂『江戸の思い出』あれこれ

 先月、車中で読むに相応しい本を物色していたら岡本綺堂の『江戸の思い出』(河出文庫刊)が目に付いた。
 表紙に「東京名所図 駿河町雪」(小林清親)が使われている。文庫本を手にして、まず、その表紙の絵が気に入ったような気がする。

31032405

→ 岡本綺堂の『江戸の思い出 綺堂随筆』(河出文庫 河出書房新社

[小林清親の紹介や作品は以下のサイトを参照のこと:「小林清親墓」]
[拙稿がある:「浮世絵版画に文明開化:小林清親(前篇) 」「浮世絵版画に文明開化:小林清親(後篇)」(07/12/31追記)]

 岡本綺堂というと、何といっても、「半七捕物帳」である。この捕物帳という言葉も綺堂の創案なら探偵物も綺堂の創案になることは、今となっては知る人ぞ知るの部類だろうか:
きどうを読む

 上記の岡本綺堂自身の話でも分かるように、大岡政談など裁判物はあったのだが、探偵物はないということで彼は書き始めたのだが、その際、自身、「江戸時代の風俗、習慣、法令や、町奉行、与力、同心、岡っ引などの生活に就いても、ひと通りの予備知識を持っている」強みを生かして、純日本的な探偵物ということで捕物帳を書いたわけである。

続きを読む "岡本綺堂『江戸の思い出』あれこれ"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

藤沢周平の周辺

[ 本稿は、一ヶ月以上前に書いていたもの。原稿の中では、未読のものがあると記してあるが、さすがに既に全て読了している。機会があったら、本稿の続きを書いた上でメルマガに掲載したかったのだが、未だに果たせていない。情ないことだ。]
( 本稿は04/10/04付けのメルマガにて公表。この補記はメルマガを配信したその日(04/10/04)に付したもの。 (06/03/05 アップ時追記) )


 このところ、藤沢周平三昧である。といっても、終日、というわけではなく、仕事の合間、執筆の合間に手に取る本は、ほとんどが藤沢周平の本だということ。
 しかし、実は、藤沢周平三昧になるにはわけがあって、さる方に周平の本を十冊ほど、戴いたのである。
 である以上は、ひとつのチャンスと心得、ずっと読みつづけているというわけである。
 ちなみに、今回戴き、読了した本を順不同で列挙すると、

『漆黒の闇の中で 彫師伊之助捕物覚え』(新潮文庫)
『消えた女 彫師伊之助捕物覚え』(新潮文庫)
『ささやく河 彫師伊之助捕物覚え』(新潮文庫)
『用心棒日月抄』(新潮文庫)
『凶刃 用心棒日月抄』(新潮文庫)
『孤剣 用心棒日月抄』(新潮文庫)
『時雨のあと』(新潮文庫)

 残すは、『風の果て 上・下』(文春文庫)と『刺客 用心棒日月抄』(新潮文庫)である。

 これだけ読みつづけても飽きさせないのだから、力量たるや、さすがと思うしかない。
 小生如きが彼の作品にコメントを付けるのも生意気だろう。ま、感想くらいは綴ってもいいかなということで、簡単なメモだけ残しておきたい。

続きを読む "藤沢周平の周辺"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年2月 | トップページ | 2006年4月 »