菅原教夫著『現代アートとは何か』
菅原教夫著『現代アートとは何か』(丸善ライブラリー)を読んだ。
この手の本としては、服部正著の『アウトサイダー・アート』(光文社新書刊)を読んで以来だろうか。
(「アウトサイダー・アートのその先に(付:続編)」参照のこと。)
但し、『アウトサイダー・アート』のほうは、比較的新しい本だが、『現代…』のほうは、95年の刊行である(執筆は93年か)。たまたま貰ったので読めたのだ。ネット検索しても在庫切れになっているから、入手は難しいのかもしれない。
以下、本書からは離れて行く懸念があるので、最初に、本書の謳い文句を掲げておきたい:
「現代アートとはどういうものか。本書はこの問題にさまざまな角度からアプローチを試みる。最近の有力な制作のスタイルとなっているインスタレーションの分析、戦後を代表するアメリカの批評家グリーンバーグの評論を軸に据えた絵画論、海外における最新の研究成果をもとに描き出したアートと現代思想とのスリリングな関係。ジャーナリストとしての取材体験を文献資料で裏付けた内容は、クリアな語り口のうちに、現代美術に対する一段と深い理解をもたらす。」
95年というと、小生が現在の職に就いた年度である。小生が、美術館巡りに週末は明け暮れたのは94年までなので、ある意味、本書は、小生が展覧会へ頻りに足を運んでいた頃の美術状況を反映しているのかもしれない。ポストモダンとか、懐かしい術語も散見される。今から10年前の当時の日本では比較的目新しかったインスタレーションアートへの言及も欠けていない。
ロマン主義から神秘主義的なもの、表現主義、抽象表現主義、生の芸術(アール・ブリュット)と鑑賞して楽しめる絵画芸術の巾を広めてきた小生だが、彫刻や、ましてインスタレーション(大掛かりな舞台や装置を使っての芸術表現)には、なかなか馴染めなかった。
たまに真新しい建物の広場などに、これ見よがしというのか、奇妙な構築物が広場の脈絡に関係なく、散見されることがある。最新の芸術にも理解がありますよ、というアピールのためなのか、それとも、建築家の好みなのか、いずれにしても、小生、眺めて感服した作品は、今まで一つもない。
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