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2005/01/17

山田吉郎著『前田夕暮の文学』

 山田吉郎著『前田夕暮の文学』(夢工房)を読了した。
前田夕暮年譜」(「前田夕暮研究室」の中の頁)を見ると、彼は短歌の作風上、実にいろいろな変遷を遂げたのが分かる。常に前向きであり、模索しつづけた歌人だったのだろう。
 それは、人生の初めからだったようで、学業は窮めて優秀だったにも関わらず、厳しい父のプレッシャーもあり、神経衰弱となり、自殺を図ったりもした。中途退学した彼には、結局、中学から先の学歴はない。父の医者になってほしいという願いにも関わらず、放浪して回り、やがて文学に目覚めるわけである。
 前田夕暮の本名は、前田洋造である。筆名の「夕暮」は、定家、寂連と並ぶ三夕の歌である西行の「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」から採ったと言われるが、決めたのは実に二十歳の頃なのである。
 筆名を決めたのは、鴫立庵の西行歌碑を見てのことだったようだ。
 この大磯には、前田夕暮とも親交のあった、島崎藤村の旧居跡もある。
 前田夕暮の歌を幾つか、ネット上のサイトなどにて詠むのもいいのではないか。
 著者である山田吉郎氏には、本書に続き、『前田夕暮研究 受容と創造』(風間書房刊)という大部の研究書があるようだ。
 尚、 小生には、前田夕暮について触れたエッセイがある。前田夕暮のこと(03/04/06 作)である。一昨年に書いたものだが、評伝などを読んでいなかったので、ちょっとあっさりし過ぎているのが情ないような。
 けれど、まあ、小生らしい前田夕暮との出会い方や、出会った頃の思い出なども記してあるので、恥ずかしいながらも覗いて欲しいのである。

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