昼行燈43「お地蔵さんは黙っている」
なんだかもう、全てがグジャグジャになった気がする。
泥濘(ぬかるみ)の続く道を何処までも歩いている。
ずぼっと深みに嵌まってはよろめく。
いつからこんな道なき道に迷い込んだのか、さっぱり分からない。
こんなはずじゃなかった。
でも、どんなふうであったのか、あったなら少しは満足するか分からない。
なんだかもう、全てがグジャグジャになった気がする。
泥濘(ぬかるみ)の続く道を何処までも歩いている。
ずぼっと深みに嵌まってはよろめく。
いつからこんな道なき道に迷い込んだのか、さっぱり分からない。
こんなはずじゃなかった。
でも、どんなふうであったのか、あったなら少しは満足するか分からない。
「廃墟」
寝苦しい夜だった。長い長い夜の果ての、遠い幽冥の境にいた。まるで、中東の戦闘の地を潜り抜けてきたような気分だった。
しかも、オレは、加害者だ。空襲する側に立っている。絶対、安全な場所にいて、ボタン一つを軽く押すだけ。
すると、目の前の液晶モニターに、綺麗な軌跡が緩やかな曲線を描いていき、ターゲットに当たると、一瞬、青白い閃光が煌くと、すぐに真っ暗闇の画面に戻る。
それだけのことだ。ここにいるオレは、鼓動が早まることもない。
オレは、街中をやたらと歩き回った。何かを求めて? それとも、何かから逃げるために?
そのどちらでもあり、どちらでもない。
オレは、壁の落書きを見て歩いた。他に見るものなど、何もなかったからだ。空の青? 公園の緑? 今更、都会で風景など眺めたって、何の新味があるものか。所詮は、作り物の自然、刈り込まれた、自然とは名ばかりの、冷たく乙に澄ました他人行儀な植木じゃないか。
小奇麗で洒落たショーウインドー? 聳え建つ高層ビル群? 高速道路とモノレールと地下鉄と運河の立体交差する湾岸の眺望? 瀟洒な豪邸の居並ぶ高級住宅街? 昔ながらの佇まいを残す古びた住宅街?
「オワンクラゲ」
闇の宇宙を漂うものがある。フワフワプカプカ浮き漂っている。
浮いている。漂っている。上も下も横も何も座標となる軸がない以上は、落ちていようと昇っていようと同じ事。
もしかしたら、ただひたすらに迷い続けているだけなのかもしれない。
絶対零度に常に最接近している光なき空間。前も後ろも分からない以上は、時間があるともないとも言いようがない。
(略)途切れ途切れの音の連なり。でも、一旦、曲を聴き始めたなら、たとえ中途からであっても、一気に音の宇宙の深みに誘い込んでくれる。
たとえば、何処かの人里離れた地を彷徨っていて、歩き疲れ、へとへとになって、喉が渇いたとき、不意に森の奥から清流の清々しい音が聞こえてくる。決して砂漠ではないはずの地に自分がいるのは分かっている。木々の緑や土の色に命の元である水の面影を嗅ぎ取らないわけにいかないのだから。
でも、やはり、水そのものの流れを見たい。体に浴びたい。奔流を体の中に感じたい時がある。
「誕生日に寄せて」
私は今、何を書く当てもなく、こうして画面に向かっている。
が、画面に向かっていると言いつつ、私の気持ちとしては今日、生まれた人のことを思って心を整えようとしている。
その人の気持ちになって、生きることを考えてみたいと思っている。
人が生まれるというのは、どういうことなのだろう。それこそ、動物などが生まれるというのとは、明らかに違うような気がする。別に人間様が動物より上だとか、優れているということではなく、暦の中に自分の生まれた日を見出す時、誰しも一入の感慨を抱くということ、ただ、そのことを思うのである。
途切れ途切れの音の連なり。でも、一旦、曲を聴き始めたなら、たとえ中途からであっても、一気に音の宇宙の深みに誘い込んでくれる。
たとえば、何処かの人里離れた地を彷徨っていて、歩き疲れ、へとへとになって、喉が渇いたとき、不意に森の奥から清流の清々しい音が聞こえてくる。決して砂漠ではないはずの地に自分がいるのは分かっている。木々の緑や土の色に命の元である水の面影を嗅ぎ取らないわけにいかないのだから。
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