妄想的エッセイ

2023/12/08

昼行燈46「土の精」

Kanan_20231208021601  「土の精

 

大地を寝床に夢を紡ぎ、
大地が私を褥(しとね)に愛を営む。

続きを読む "昼行燈46「土の精」"

| | コメント (0)

2023/12/03

昼行燈43「お地蔵さんは黙っている」

Jizo 「お地蔵さんは黙っている

 

 なんだかもう、全てがグジャグジャになった気がする。
 泥濘(ぬかるみ)の続く道を何処までも歩いている。
 ずぼっと深みに嵌まってはよろめく。
 いつからこんな道なき道に迷い込んだのか、さっぱり分からない。

 こんなはずじゃなかった。
 でも、どんなふうであったのか、あったなら少しは満足するか分からない。

続きを読む "昼行燈43「お地蔵さんは黙っている」"

| | コメント (0)

2023/11/29

昼行燈(番外2「音という奇跡」)

Takemitu   「音という奇跡

 森の奥の人跡未踏の地にも雨が降る。誰も見たことのない雨。流されなかった涙のような雨滴。誰の肩にも触れることのない雨の雫。雨滴の一粒一粒に宇宙が見える。誰も見ていなくても、透明な雫には宇宙が映っている。数千年の時を超えて生き延びてきた木々の森。その木の肌に、いつか耳を押し当ててみたい。

続きを読む "昼行燈(番外2「音という奇跡」)"

| | コメント (0)

2023/11/27

昼行燈41「 ダストシュート」

Husen  「ダストシュート


 奴は蛇の目をしていた。間違いなく、奴は爬虫類だ。冷血動物だ。いや、動物に熱い血が流れるというイメージがあるなら、興味ある対象に向かっていくのが動物というのなら、そもそも、外界に興味あるものがあるというのなら、奴は、動物ですらない。
 といって、奴が植物というわけでもない。

 奴は、大地とは何のつながりもない。根無し草ですらないのだ。

続きを読む "昼行燈41「 ダストシュート」"

| | コメント (0)

2023/11/22

昼行燈39「 廃墟」

City_20231123034601  「廃墟

 

 寝苦しい夜だった。長い長い夜の果ての、遠い幽冥の境にいた。まるで、中東の戦闘の地を潜り抜けてきたような気分だった。
 しかも、オレは、加害者だ。空襲する側に立っている。絶対、安全な場所にいて、ボタン一つを軽く押すだけ。
 すると、目の前の液晶モニターに、綺麗な軌跡が緩やかな曲線を描いていき、ターゲットに当たると、一瞬、青白い閃光が煌くと、すぐに真っ暗闇の画面に戻る。
 それだけのことだ。ここにいるオレは、鼓動が早まることもない。

続きを読む "昼行燈39「 廃墟」"

| | コメント (0)

2023/11/14

昼行燈34「オワンクラゲ」

Aequorea 「オワンクラゲ

 

 闇の宇宙を漂うものがある。フワフワプカプカ浮き漂っている。
 浮いている。漂っている。上も下も横も何も座標となる軸がない以上は、落ちていようと昇っていようと同じ事。
 もしかしたら、ただひたすらに迷い続けているだけなのかもしれない。
 絶対零度に常に最接近している光なき空間。前も後ろも分からない以上は、時間があるともないとも言いようがない。

続きを読む "昼行燈34「オワンクラゲ」"

| | コメント (0)

2023/11/13

昼行燈33「沈黙の宇宙に鳴る音楽」

Blacksmoker_20231114063001沈黙の宇宙に鳴る音楽

 

(略)途切れ途切れの音の連なり。でも、一旦、曲を聴き始めたなら、たとえ中途からであっても、一気に音の宇宙の深みに誘い込んでくれる。
 たとえば、何処かの人里離れた地を彷徨っていて、歩き疲れ、へとへとになって、喉が渇いたとき、不意に森の奥から清流の清々しい音が聞こえてくる。決して砂漠ではないはずの地に自分がいるのは分かっている。木々の緑や土の色に命の元である水の面影を嗅ぎ取らないわけにいかないのだから。
 でも、やはり、水そのものの流れを見たい。体に浴びたい。奔流を体の中に感じたい時がある。

続きを読む "昼行燈33「沈黙の宇宙に鳴る音楽」"

| | コメント (0)

2023/11/09

昼行燈31「誕生日に寄せて」

Rosoku誕生日に寄せて

 

 私は今、何を書く当てもなく、こうして画面に向かっている。
 が、画面に向かっていると言いつつ、私の気持ちとしては今日、生まれた人のことを思って心を整えようとしている。
 その人の気持ちになって、生きることを考えてみたいと思っている。

 人が生まれるというのは、どういうことなのだろう。それこそ、動物などが生まれるというのとは、明らかに違うような気がする。別に人間様が動物より上だとか、優れているということではなく、暦の中に自分の生まれた日を見出す時、誰しも一入の感慨を抱くということ、ただ、そのことを思うのである。

続きを読む "昼行燈31「誕生日に寄せて」"

| | コメント (0)

2023/11/06

昼行燈30「瑠璃色の光」

Ruri 昼行燈30「瑠璃色の光」

 窓は締め切っている。なのに、風が唸るように鳴っている。
 窓外の葉っぱの散り果てんとしている木々が悲鳴をあげてるのか。木立の間を駆け抜ける風が快哉をあげてるのか。
 木々や荒れ地の草を行方を阻む邪魔者とばかりに薙ぎ倒さんとしているのか。舞い上がる枯れ葉は衣擦れの音符となって踊り狂っている。

続きを読む "昼行燈30「瑠璃色の光」"

| | コメント (0)

2023/11/05

昼行燈29「沈黙の宇宙に鳴る音」

Tumagoii 沈黙の宇宙に鳴る音

 

 途切れ途切れの音の連なり。でも、一旦、曲を聴き始めたなら、たとえ中途からであっても、一気に音の宇宙の深みに誘い込んでくれる。

 たとえば、何処かの人里離れた地を彷徨っていて、歩き疲れ、へとへとになって、喉が渇いたとき、不意に森の奥から清流の清々しい音が聞こえてくる。決して砂漠ではないはずの地に自分がいるのは分かっている。木々の緑や土の色に命の元である水の面影を嗅ぎ取らないわけにいかないのだから。

続きを読む "昼行燈29「沈黙の宇宙に鳴る音」"

| | コメント (0)

より以前の記事一覧