思い出話

2024/08/27

昼行燈116「遠足」

Hotaru_20240827030401   「遠足

 何が嫌いって、何が嫌だって、遠足ほど恐怖の日はなかった。遠足の日が近付くと胸が苦しくなる。いよいよ明日が遠足の日となると、願うのはただ一つ、一刻も早くその日が過ぎ去ること。ガキの頃 幾度となく受けた苦しい手術さえも比べものにならない苦しみ。

 それは自分には友達が居ないことが露になること。何てつまらない苦しみ? そうかもしれない。だけどバスで現地に着いて、途端に途方に暮れてしまうのだ。ボクは何処へ行けばいい?

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2024/08/16

白百合の謎

Aotonbo

 過日、裏庭で思いがけず遭遇した。発見して既に2週間は経つが、あれから二度と出会ってない。思えば見付けたのは昼間だった気がする。昼に裏庭を歩くことはあまりない。表の庭は、玄関先ということもあってか歩くことは毎日。セミの鳴き声や揚羽蝶などは毎日のように。 (08/16 02:34)
 調べたら先月の25日、時間はやはり午後1時頃だ。生ゴミをコンポストに放り込みに行ったついでに、前日の夕方近く庭木の枝葉落としの現場を眺めたりしたか。

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2024/08/13

昼行燈113「里帰り」

Photo_20240813033901  「里帰り


 星空だった。大好きなお月さんも今日はお休みみたい。
 お袋の田舎に里帰り。乗り物が苦手なお袋は、乗り物を乗り継ぐ旅は前夜から緊張してる。顔が引き攣ってる。大丈夫だよ。間違ったっていつかは何処かへ着くんだかねって、云ってあげたいけど、かく云うボクも不安でたまらなかったから、情けない。

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2024/07/29

昼行燈106「仕返し」

Taimo   「仕返し

 遠い昔のこと。保育所時代の頃から好きだった彼女。小学生時代も中学生になっても。全く相手にされてないのに、性懲りもなくずっと好きだった。中学校の卒業式の日、とうとう最後の時が訪れた。あの子は、俺の目の前であのやたらとカッコいいアイツに真っすぐ近付いていって、ラブレターらしきものを手渡したのだった。
 ああ、あの子の好きな男の子って、ああいうタイプなのね。
 分かっちゃいたけどさ。

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2024/07/16

昼行燈99「迷子」

Kawabe   「迷子

 あれは冒険だったのか、ただ道を誤って、迷っただけだったのか。
 小学2年だったろうか。夏の終わりのとある昼下り、学校から帰り、カバンかバッグを置いて、散歩にでた。遊び仲間は、居なかった。一人きりで出歩くのは初めてじゃなかったけど、ちょっとだけ、違う角で曲がってみた。

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2024/07/10

昼行燈97「私はゴムに 私はコンクリートに」

Yukei   「私はゴムに 私はコンクリートに

 さて、肝心の全身麻酔をされての体験のこと。

 ゼンマをされるのは初めてじゃないのに、麻酔が効いてくる感じがまるで予想と反していた。
 予想といっても、子供の頃の麻酔体験しかないから、その時の状態とは麻酔の効き方が違う! と感じていたのである。

 徐々に意識が遠退いていくとか、そんな感じではなかった。

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2024/07/02

昼行燈94「ヴィスキオ」

Yadorigi   「ヴィスキオ

 飲み会だった。会社の同僚にむりやり誘われてのこと。その強引さに何かたくらみがあると予感していた。
 場所は新宿のビル街の一角にあるお洒落なカフェバー。3階のヴィスキオという看板を確認した。自分じゃ思いもよらない粋な店だ。時間は7時頃。

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2024/03/14

昼行燈80「ダダ ダダ ダダ」

Megane   「ダダ ダダ ダダ」

 訳の分からない理屈が頭の中をグルグルしている。先生が何か言ってる。みんなも納得しているようだ。分からないのは自分だけのようだ。
 分かるとか分からないか、その辺りがモヤモヤして考えているうちに頭の中どころか体中がカッカしてきた。恥ずかしさも極まっている。
 どうしたらいいのか分からない。事態がどうなってるのか見えない。

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2024/01/05

昼行燈57「ドキュメント 脱糞だ!」

Bebchi   ドキュメント 脱糞だ!
(旧タイトル:痔物語、あるいは、我が生涯最悪の日)

 あれからもう何年経ったことだろう。十五年は過ぎたかもしれない。
 あの日、小生はいつも通り会社へ行った。朝は特段、異変を感じてはいなかった。
 普段どおりの生活が始まっただけだった。

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2023/12/27

昼行燈50「刀葉林の夢」

Toyorin刀葉林の夢

 

  ガキの頃とて、誰かに見せられた絵図の印象は鮮明であり、強烈だったようである。どんな昔話や童話よりも。曼荼羅画の説明などは右の耳から左へ抜け去ってしまっていたはずだが。
 小学校に上がる前の一時期、夜毎、地獄の世界を彷徨っていた。曼荼羅画に垣間見た世界は自分がまさに今、日々体験している世界そのものじゃないか…。

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