なにがゆえの悪夢だった?
自分のトラウマは、物心付いたかどうかの頃の、手術台でのこと。横たわって全身麻酔されて意識を失いそうで消え切らない末期の眺め。それは闇の中の真上の眩しすぎる照明。手術台の上の闇と光の交合。煌めくメスと肉の深き交合。口唇口蓋が深く切り裂かれて、心身の中までが抉られているという感覚。吾輩はただ無力だった。 [「手術台の上の闇と光の交合」より]
自分のトラウマは、物心付いたかどうかの頃の、手術台でのこと。横たわって全身麻酔されて意識を失いそうで消え切らない末期の眺め。それは闇の中の真上の眩しすぎる照明。手術台の上の闇と光の交合。煌めくメスと肉の深き交合。口唇口蓋が深く切り裂かれて、心身の中までが抉られているという感覚。吾輩はただ無力だった。 [「手術台の上の闇と光の交合」より]
「思わぬデート?」
あれは高校三年の秋だったか、思わぬことが続けて起きた。
起きたというのは他人からしたら大袈裟かもしれない。でも、自分には事件だった。
放課後、二年だった自分はさっさと帰るはずだった。そうでなくたって高校時代も一貫して帰宅部だった。授業が終われば学校には用がない。
なのに、なぜかその日は、クラスメイトの女子高生が話しかけてきた。いや、どのように近づいてきたのか、今では全く覚えていない。
覚えているのは、気が付くと、教室の窓際に二人並んで窓の外を眺めていた場面。時折、彼女の顔を覗き見、ほとんどは眼下の校庭や銀杏並木を眺めていた。憎からず思っていた彼女だが、明るく眩く、とてもガールフレンドとはなりえない相手だった。人気者だし、自分のつけ入る余地はありえない…。というより、誰にしろ、個人的に仲良しになるとは思ったことはなかった。
「屈辱の夜」
あれは誰の差し金だったのか。私は会社の同僚だったか上司に勧められるままに、私の会社と関係するデパート会社の女子社員らの集まりに出席した。それは何処かの小さなバーでの飲み会、ささやかなダンスパーティーだった。退社後の気晴らしの宴。
飲めないお酒に付き合い、やがてダンスの時が来た。女性らはデパートの中のブティックの店員のようだった。やや派手目の化粧と、如何にもセンスがあるかのような黒服でまとめていた。細身の体は、いかにも遊び慣れた風だった。
女性らは踊り始め、私も無理強いに誘われ、ダンスフロアーへ。踊ったことなどない。踊りたいとも思わない。踊っている姿を観て楽しむのがせいぜいの私だった。
「夢は嘘をつかない」
何十年にも渡る不毛な闘い。水面下の足掻き。目覚めた瞬間からの覚醒を求めてのスローな、ギザギザの連続モーション。今朝も眠りのない夜が明けた。夜とは眠りを焦がれるシジフォスの咆哮。吠える声が爛れきった悲鳴だとは誰一人気付きはしない。おのれでさえ分かって来なかったのだもの、誰に分かるはずがあろう。愚か者よ それはお前のことだ。何年も何十年もこんなにあからさまな侮蔑を見過ごせたなんて、愚かどころか、無様だ、滑稽だ、哭きたいほどバカバカしい茶番劇だ。
「クリスマスキャロル」を読んでたら(何十年ぶり!)、昔のことが思い出された。何があったわけじゃなく、その当時の自分のやるせない……居たたまれない感情。小学生の頃(中学生になってもだけど)、何が嫌いって、何が嫌だって、遠足ほど恐怖の日はなかった。遠足の日が近付くと胸が苦しくなる。いよいよ明日が遠足の日となると、願うのはただ一つ、一刻も早くその日が過ぎ去ること。ガキの頃 幾度となく受けた苦しい手術さえも比べものにならない苦しみ。
小生の生まれ育った家は(但し病院で産声を上げたらしい)記憶に残る印象では、見渡す限りの田圃の中の寒村の一軒だった。
実際には村ではなく既に町となっていたし、近くにはそれなりの商店も並んでいた。ただ、表通りから一歩とは言わないが数十歩も歩くと水田(田圃)や畑が広がっていて、町とはいいながら、敷地だけは小さからぬ家々が寄り集まっていた。
(中 略)
まだいろんな生き物たちが我が家の庭や畑にもやってきてくれた頃、あるいは今、思えばその最後の頃だっただろうか、小生はコウモリと遭遇した。
マスクをするということ。恐らく我輩には大方の方とは違う意味を持つだろう。生まれもっての障害と度重なる手術でやや歪な鼻や口。マスクで覆ってしまえばどんなに楽になることか。歪な部分を隠してしまいたい。そう願わずにいられようか……願わなかった日があっただろうか。 マスクをして口許を隠す。まともであるかのような幻想が現出する。他人の好奇の目、哀れむ目を気にせずに町中を闊歩できる。何処かの初めての店や場所を死を覚悟するほどの蛮勇を鼓舞してやっと訪れる……なんてことがなくなるのだろうから。
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