ある日
フッと気がついた。無限に毒々しく広がる暗闇の中空を一匹の無様な虫が蠢く。ヒルだという直感。目を開けた、つもりなのだが闇は退いてはくれない。もしや盲目になったのでは……胸を突く恐怖……違う、目が見えないのではない、光がないと表現した方がいい、目の一寸先を真っ黒な物体が覆っているとも思える。彼の体。彼には横たわっているように感ぜられた。起きようとする。
(あれ!どうしたんだ、体がやけに重い、体全体が重くくるまれ圧されている風じゃないか!)と彼は思った。
彼はもがいた、むやみにジタバタさせていた。と、一条の光がまぶしく彼の目を捉えた。日光が差し込んだのだ。朝、フトンの中のあがき……。
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