昼行燈

2024/02/20

昼行燈72「四次元の世界旅へ」

Reiiji  「四次元の世界旅へ

 やたらと曲がりくねった路地だった。おや? 天井らしき蓋が覆っている…。
 路地に迷い込んだんじゃなく、何処かの廃墟…ビルの中なのか。階段は上にも下にも続いている。踊り場らしき狭い床に居るようだ。
 時計とは逆方向に螺旋を描く階段。昇るたびに踊り場には半端に締まった扉が目につく。扉を潜って闇の向こう側へ忍び込むべきか。

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2024/02/19

昼行燈71「戻る場所はいつも…」

Kisibe_20240220063401 戻る場所はいつも…

…どこを彷徨っていたのか、気が付けば茫漠たる広がりの真っただ中に居た。風…雨…自然の欠片も感じられない。空虚過ぎて光だけが遥かな時空の地平の一点から伸び広がり、私を圧倒していた。眩さが私を焼き焦がしそうで、何もない空間にたった独り放り出された私を孤独に慰撫される暇さえ与えてくれない。

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2024/02/16

昼行燈70「ハンカチが七枚」

Mezara   「ハンカチが七枚

 どこぞの宿に紛れ込んでいた。それともアパートか。俺の新居なのか。やけに閑散としてる。部屋がいくつもあるのに、荷物が何もないからか。荷物どころか家具がまるでない。
 そりゃそうだ。引っ越してきたばかりなんだもの。
 何故かトイレにいる。尿意だ。切迫してる。戸を何枚も開けて、ようやくそれらしい部屋に。壁も床も真っ白で清潔感が漲ってる。広い。六畳は優にある。落ち着かないぞ。

 

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2024/02/12

昼行燈69「俺は終わっちゃいないんだ!」

Tuta_20240212034001 「俺は終わっちゃいないんだ!

 都会の喧騒の中をまるで自分一人であるかのように歩き過ぎる。誰とも擦れ違わない。目線も合わない。目は泳いでいる。何処を観ているのか自分でも分からない。
 怯えている? 何に? 逃げている? 何から? 何処へ?
 買ったばかりのスニーカー。疲れ知らずが謳い文句だったのに、履いた途端に浮遊感を覚えた。というか何だか路面に吸い込まれるような、融け去っていくような不安感だ。
 この得体の知れないお仕着せの違和感は何なのだ?

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昼行燈68「喧騒のあとで」

Kisibe 「喧騒のあとで

 夜をなんとか遣り過して、気が付くと、紺碧の空にやや透明感のある、何かを予感させるような青みが最初は微かに、やがては紛れもなく輝き始めてくる。

 理屈の上では、太陽が昇ってくるから、陽光が次第に地上の世界に満ちてくる からに過ぎな いのだろうが、でも、天空をじっと眺めていると、夜の底にじんわ りと朧な光が滲み出てくる ような、底知れず深く巨大な湖の底に夜の間は眠り続 けていた無数のダイヤモンドダストたち が目を覚まし踊り始めるような、得も知 れない感覚が襲ってくる。

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2024/02/11

昼行燈67「真冬の月と物質的恍惚と」

Ga 「真冬の月と物質的恍惚と

 真冬の月というのは、何か凄まじいものを感じさせる。空気が澄んでいるせいか、地上の全てが輪郭も鮮やかに浮き彫りにされてしまう。
 未明の頃に、人気もない公園の脇に車を止めて、月の影を求める。月の大きさなど、いつもそれほど変わらないはずなのに、目に痛いほどに輝いていて、大きさの感覚を微妙に狂わせてしまう。

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2024/02/07

昼行燈66「鬼哭啾愀」

Kikotu  「鬼哭啾愀

 暗幕の陰で骸骨が躍っている。
 裸だからか、滑稽で惨めな姿。淋し過ぎる。隠しようがない。せめて浴衣でも羽織って、風流を気取ればいいのに、輝く骨身を自慢したいのか、コツコツ音を鳴らせながら、誰も見ていないことをいいことに、踊り狂っている。
 狂っているだけなのかもしれない。それとも快哉を叫んでるのか。

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2024/01/29

昼行燈65「結ぼれ」

Adolf_wlfli   「結ぼれ

 遠い昔のこと、R.D.レインだったかの『結ぼれ』を読んだ。
 あれを読んだと云えるか怪しいが。『引き裂かれた自己』にまともにハートがショックくらって、その勢いで彼の本を読み漁った。読んで理解は全く及ばなかった。だけど、嵌った。ドツボに嵌ってしまった。『引き裂かれた自己』にだって、これは間違いなく俺のことを描いてるに違いないと、密かに疑ったっけ。そんな初心だった自分が懐かしい。

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2024/01/24

昼行燈64「架空凝視という病」

Ouroboros  「架空凝視という病

 都会に紛れ込んでいると、自分が何も見てはいないことに気付く。都会に住んでいるのだから、ちょっと外に出かけるか、そうでなくても窓の外を眺めるだけで人影を望むことができる。

 なのに、人とは決して出会わない。

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2024/01/23

昼行燈63「線虫」

Senchu_20240123032301  「線 虫」

 夢の中だったろうか、奴がベッドでセンチュウ、センチュウって吐いてる。
 センチュウ? 戦争中ってこと? 

 だけど奴はどう見たって戦中派って歳じゃない。ガキじゃないけどそれなりに大人のはずだ。
 熱に浮かれたようにセンチュウを繰り返して止まない。魘されてる。

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