あの日から始まっていた

2024/05/29

昼行燈88「眠れない」

Hibiya  「眠れない

 電車の中でふと耳に入ってきた中学生の会話。まあ、中学生にしてはレベルが高い…のか。蒙昧と曖昧の意味の違いって分かる? というか、そもそも違う? 相手のほうはモゴモゴ答えていたが、よく聞き取れなかった。
 そいつらの雑談に聞き入る間もなく、俺は次の駅で降りてしまった。話もそのまま忘れてしまった。

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2024/05/20

昼行燈86「神の目を憶する」

Wols_20240520020901  神の目を憶する

 昨夜の仕事は曇天の中で。雨にはならない。下弦の朧月が見え隠れ。一時は天頂かと錯覚するほど高い空に。今さら天蓋なんて表現は野暮か。でも敢えてそう見なすのも一興だろう。天蓋孤独を気取るのも乙なもの。

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2024/05/15

昼行燈85「虚ろな瞳」

Image_20240515044001  虚ろな瞳

 ひび割れたガラス窓越しにあの人は見つめていた。
 それとも、今にも砕け散りそうなガラス窓に歪んだ自らの顔を映しているのだろうか。

 窓の外は、鏡面のように静かな湖が見えるはずだけど、あの人の虚ろな瞳には何も見えはしないのかもしれない。

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2024/05/07

昼行燈84「闇の衣」

Hakunetu  「闇の衣

 夢遊病者みたいだ。目覚めているはずなのにフワフワフラフラ。
 寝床を離れてとにかく外へ。夢を見ていたのだろうか。どんな夢だったか覚えていない。目覚めた瞬間、ハンマーで叩き割られたガラスの器みたいに粉々になった。モノの見事に粉塵になった。ガラス粉は頭蓋内に散在している。

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2024/05/06

昼行燈83「夢は眼下に」

Umi3  「夢は眼下に

 海を眺めていた。限りなく透明で懐かし気で自分を何処までも蕩かせてくれそうな海。大好きな青。青というよりアズールの青だ。ラピスラズリの青

 もっと好きなのは紺碧の青。海外の人にはアズールの青と何処が違うだろうが、俺には全く違う。紺碧には、濃い青色の『紺色』と強い青緑色の『碧色』とが混ざっているのだ。紫を帯びた濃い青色、黒みを帯びた紺色、藍がかった濃い青色…藍染の色とも云えなくもない? 俺にはどう表現すればいいのか分からない。

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2024/03/12

昼行燈79「カップ麺」

Th  「カップ麺

 無限だなんて今更そんなロマンチックな戯言を。奴は知恵遅れの俺を見下すように言い放った。
 俺は奴だろうが誰相手にだろうが、無限なんて言葉を口に出したことなどないはずだ。

 別にその存在を信じてるとかどうかじゃなく、その姿を思い浮かべようがないからでもない。
 神様だって御姿を脳裏に描けない。俺の脳味噌には任の重い仕事だ。

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2024/03/11

昼行燈78「貝の殻」

Umi_20240311040501  「貝の殻

 

 何だかやたらと爽やかな感触があった。ドロッとした、何処かオリーブオイルの中に浸かったような。皮膚も喉頭も眼球も指先も、何もかもがつかみどころのない優しさに満たされている。決して密着の許されない絆。

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2024/03/06

昼行灯77「影の女へ」

53669632_2196995801_124large  「影の女へ

 あなたは形を失っていく。
 わたしを見つけることもできないままに。

 あなたは形を失い、崩れていく、ひたすらに。
 まるでわたしをなぞらえるように、蕩けていく。

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2024/03/05

昼行灯76「真夏の夜の訪問者」

  「真夏の夜の訪問者」

 何処かの部屋? 薄闇。薄暮なのか未明間近なのか。真夏。 屋根裏部屋か。蒸し暑くて眠れない。堪らず網戸もないのに窓を開けてしまった。何かが闇を突っ切って部屋に侵入した。黒い飛礫(つぶて)が寝転がってる俺の鼻先を過った。部屋の壁のあちこちにぶつかってる。何だ? 何事だ? こんな真夜中に野鳥が飛来した?

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2024/03/01

昼行燈75「首を振って悪夢を振り切る」

Shuro_20240301023901  首を振って悪夢を振り切る

 

 富山なのか東京(新宿)なのか。ある場所で老婦人に声を掛けられる。私はタクシードライバー?  何処かへ連れていってと。ご婦人の言うままに走らせていくと、未開発、手付かずの、広い、見知らぬ場所へ。
 そこでようやく、婦人は行く先を告げる。済生会病院。正午までに。まだ時間はあるけど、ギリギリ。最初に言ってくれれば楽勝で間に合っていたのに。文句を言っても仕方がない。おおよその方角は分かるが、茫漠とした土地には道がない。彼女を連れ、道を探す。

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