ナンセンス

2019/02/04

ジェネシス 10 胡蝶の夢

800pxpapilio_maackiijawikiジェネシス 10 胡蝶の夢

 宇宙の永遠の沈黙。それはつまりは、神の慈愛に満ちた無関心の裏返しなのである。
 神の目からは、この私も彼も、この身体を構成する数十兆の細胞群も、あるいはバッサリと断ち切られた髪も爪も、拭い去られたフケや脂も、排泄され流された汚泥の中の死にきれない細胞たちも、卵子に辿り着けなかった精子も、精子を待ちきれずに無為に流された卵子も、すべてが熱く、あるいは冷たい眼差しの先に厳然とあるに違いない。

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2019/01/27

ジェネシス 7 先生

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 小学三年になって担任になった先生は優しい、そして厳しい。先生は、ボクが授業中にボーとしてたり、宿題を忘れたりしたら、頬をつねったり頭を手板で叩いたりした……してくれた。ボクは、手術のための入院したのは4年の冬休み。退院してからボクはボーとするようになったんだ。自分では(たぶん回りの連中も)手術の副作用で口呼吸しかできなくなり、夜が、睡眠が全く取れなくなったこと、そのせいで起きるのが辛くなってしまっていることが分からないでいた。

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2019/01/24

ジェネシス 5 匂いを嗅ぐ

Dsc_0682ジェネシス 5 匂いを嗅ぐ


 ある意味、そんな自分の肉体的事情があるからこそ、匂いに一方(ひとかた)ならぬ関心があるのかもしれない。口呼吸で匂いを嗅ぐわけにもいかず、一体、健常者として鼻呼吸をされている方というのは、つまり、世の大概の方というのは、どんな正常な感覚生活を送っておられるのか、気になってならないのだが、殊更に訊くわけにも行かないし、また、敢えて尋ねるようなことでもないのだろう。
 健常であるということは、それが当たり前のこととしてその健常さを生きているわけで、その健常さを自覚する必要も何もない。

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2019/01/22

ジェネシス 4 ゼンマ明け

2010_0515071003tonai0022ジェネシス 4 ゼンマ明け


 そのことが何を意味するのか。
 それは、ほとんど生まれて初めて熟睡を経験したということである。
 小生は、十歳の時の手術で鼻呼吸ができなくなった。
 当然ながら、睡眠時無呼吸なわけである。
 睡眠時無呼吸症候群というのがあるらしいが、小生は端的に睡眠時は口呼吸だけ。
 なので、目覚めの時は疲れ果てている。疲労困憊なのだ。

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2019/01/20

ジェネシス 3 お袋の涙

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 気づくのがあまりに遅い。遅かった。
 お袋は何度も、涙を流しながら、ゴメンね、糖尿病体質を移しちゃってと、詫びるのだった。
 自分は何も反応しなかった。別に許せないから、ではない。
 そんな、涙ぐんでまで詫びることはない、あまりに大袈裟だよって思うだけだった。
 折に触れ、他に誰もいない、二人きりの時、お袋は嗚咽しながらも詫びる。
 糖尿病体質だったからって、自覚的な生活や食事、運動などを心掛ければ、なんとかなるかもしれないじゃないか。
 
 涙の真意に気づいたのは、お袋が亡くなってからのこと。

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2018/11/17

ポーチポチポチッ

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→ ポーチ(タマ&ポチ&トラ) (画像は、「ポーチ(タマ&ポチ&トラ) TF-PO002 TA - タマ&フレンズ 公式オンラインショップ」より)

 ポップな彼女とポーチを歩いていました。
 お供にはポチを連れて。彼女は腰にロリポップ!のポーチを下げてます。
 餌をポチッとポチに。ポチはこれポッチかと不満顔。まだポチがっています。
 聞き分けのないポチにごポーチが必要ですね。

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2018/09/10

猫…生まれいずる夢

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→ A・ビアズリー によるポーの『黒猫』への挿絵、1894年-1895年 (画像は、「 黒猫 (小説) - Wikipedia 」より)

 吾輩は猫である。名前はまだない。そもそもまだ生まれていない。これは困った。この世に居ないのでは話にならない。そこで吾が輩がこの世に生まれるべく雄猫と雌猫を出逢わせることにした。そう、まだ我が親たる雄と雌とは出会してもいないのだ。話以前のお粗末ぶりで、面目ないことこの上ない。だが、それは不都合ばかりとも言い切れない。なぜなら、これから最上の親を、極上の雄猫と雌猫とを探し出せばいいのだから。さすれば、至上の吾が輩が日の目を見ることになるではないか!

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2018/08/31

赤いシーラカンス

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← 小林たかゆき作「題名不詳」 (画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より)

赤いシーラカンス

 不思議の海を泳いでいた。粘るような、後ろ髪を引かれるような海中にもう馴染み切っていた。
 髪を掴まれて、何処へでも流れていったって構わないはずだ。
 なのに、妙な意地っ張りな心が前へ、前へ進もうとする。

 緑藻の長い腕が、ビロードの肌で絡みついてくる。紅藻が乳糜を沁み出して呑んでいきなさいよって、誘っている。

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2018/08/28

赤い闇

どこをどう歩いて行っても、逃げるように遠ざかってみても、まして開き直ってその場にへたり込んでみても、ズルズルと後退していく。不意を打つように後ろへ飛び去ってみても、奴には同じなのだ。

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→ ヴォルス Wols (Alfred Otto Wolfgang Schulze) [title not known] c.1944–5 (画像は、「Wols (Alfred Otto Wolfgang Schulze) 1913-1951 Tate」より)

 高みの見物とばかり、そう、高い空を舞う鷹のように、獲物をじっくりと追っている。
 こっちがじたばたしても、地上を右往左往するウサギのように、滑稽に見えるだけなのだ。
 眼光は鋭い。焦点は定まっている。照準はピタリ合っている。
 ああ、それだったら、じらしたりせず、いっそのこと一思いにやっつけてくれればいいんだ。

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2018/06/04

柔らかな時間

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← サルバドール・ダリ「時間のプロフィール」(1984) (画像は、「サルバドール・ダリ - Wikipedia」より)

 駅のロータリーの(太陽光発電を動力源とするらしい)時計。今日の狂いは7分ほど。一昨日は10分以上だったことを思えば、まあまあか。数年来、ウォッチしてきたが、一貫して数時間は違っている。最初の頃は、思わず自分の腕時計が狂ってるのかと、慌ててあちこちの時計を見比べたりしたが、もうすっかり慣れっこで、今日もいつも通り三時間ほど違ってるな、いつになったら直すんだろうと思うだけ。それが、である。年初に驚くべき事態が発生した。

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