ディープ・スペース

2024/05/06

昼行燈83「夢は眼下に」

Umi3  「夢は眼下に

 海を眺めていた。限りなく透明で懐かし気で自分を何処までも蕩かせてくれそうな海。大好きな青。青というよりアズールの青だ。ラピスラズリの青

 もっと好きなのは紺碧の青。海外の人にはアズールの青と何処が違うだろうが、俺には全く違う。紺碧には、濃い青色の『紺色』と強い青緑色の『碧色』とが混ざっているのだ。紫を帯びた濃い青色、黒みを帯びた紺色、藍がかった濃い青色…藍染の色とも云えなくもない? 俺にはどう表現すればいいのか分からない。

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2024/03/11

昼行燈78「貝の殻」

Umi_20240311040501  「貝の殻

 

 何だかやたらと爽やかな感触があった。ドロッとした、何処かオリーブオイルの中に浸かったような。皮膚も喉頭も眼球も指先も、何もかもがつかみどころのない優しさに満たされている。決して密着の許されない絆。

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2024/02/20

昼行燈72「四次元の世界旅へ」

Reiiji  「四次元の世界旅へ

 やたらと曲がりくねった路地だった。おや? 天井らしき蓋が覆っている…。
 路地に迷い込んだんじゃなく、何処かの廃墟…ビルの中なのか。階段は上にも下にも続いている。踊り場らしき狭い床に居るようだ。
 時計とは逆方向に螺旋を描く階段。昇るたびに踊り場には半端に締まった扉が目につく。扉を潜って闇の向こう側へ忍び込むべきか。

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2024/01/29

昼行燈65「結ぼれ」

Adolf_wlfli   「結ぼれ

 遠い昔のこと、R.D.レインだったかの『結ぼれ』を読んだ。
 あれを読んだと云えるか怪しいが。『引き裂かれた自己』にまともにハートがショックくらって、その勢いで彼の本を読み漁った。読んで理解は全く及ばなかった。だけど、嵌った。ドツボに嵌ってしまった。『引き裂かれた自己』にだって、これは間違いなく俺のことを描いてるに違いないと、密かに疑ったっけ。そんな初心だった自分が懐かしい。

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2024/01/23

昼行燈63「線虫」

Senchu_20240123032301  「線 虫」

 夢の中だったろうか、奴がベッドでセンチュウ、センチュウって吐いてる。
 センチュウ? 戦争中ってこと? 

 だけど奴はどう見たって戦中派って歳じゃない。ガキじゃないけどそれなりに大人のはずだ。
 熱に浮かれたようにセンチュウを繰り返して止まない。魘されてる。

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2024/01/01

昼行燈54「The Walking Man」

Thewalkingman  The Walking Man

 真夏の夜中、あまりの暑さに涼みに外へ飛び出した。途端にボコッと音がした。置き去りにしていたバケツを蹴飛ばしてしまったようだ。出てはいけないとでも? でも、行かなくちゃいけない。誰かに逢いたいと、胸の内で叫んでいた。逢わないといけない。行かなくちゃいけない。
 でも何処へ?

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2023/11/29

昼行燈(番外2「音という奇跡」)

Takemitu   「音という奇跡

 森の奥の人跡未踏の地にも雨が降る。誰も見たことのない雨。流されなかった涙のような雨滴。誰の肩にも触れることのない雨の雫。雨滴の一粒一粒に宇宙が見える。誰も見ていなくても、透明な雫には宇宙が映っている。数千年の時を超えて生き延びてきた木々の森。その木の肌に、いつか耳を押し当ててみたい。

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2023/11/28

昼行燈42「無間 」

Gaito無間

 夢の中にいるはずだった。なぜなら宇宙空間をゆらゆら漂っているのだから。ん? ゆらゆら? そんな呑気で居ていいのか?

 何処までも落ちていく…それとも際限もない上昇なのか。右も左も、上も下もない。グルグル回っている。メニエル病の日々の再現。あれ以上の猛烈な遠心力が脳味噌の神経細胞の一つ一つを引き裂いている。グリア細胞までが星屑にならんとしている。凍てつくという表現が可笑しいほどに懐かしい。

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2023/11/27

昼行燈41「 ダストシュート」

Husen  「ダストシュート


 奴は蛇の目をしていた。間違いなく、奴は爬虫類だ。冷血動物だ。いや、動物に熱い血が流れるというイメージがあるなら、興味ある対象に向かっていくのが動物というのなら、そもそも、外界に興味あるものがあるというのなら、奴は、動物ですらない。
 といって、奴が植物というわけでもない。

 奴は、大地とは何のつながりもない。根無し草ですらないのだ。

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2023/11/23

昼行燈40「縫合」

Rengoku   「縫合

 眠れない夜を潜り抜けた。眠気はある。睡魔は襲ってくる。矢継ぎ早に繰り出す焔の切っ先。
 炙り出されて部屋を飛び出した。胸がむかむかする。乾麺が胃の腑で縺れてる。
 逢わなきゃならない。切迫する思いが滾る胆汁で味付けされていた。

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