あの日から始まっていた (20 バスキア!)
「バスキア!」
オレは、街中をやたらと歩き回った。何かを求めて? それとも、何かから逃げるために?
そのどちらでもあり、どちらでもない。
オレは、壁の落書きを見て歩いた。他に見るものなど、何もなかったからだ。空の青? 公園の緑? 今更、都会で風景など眺めたって、何の新味があるものか。所詮は、作り物の自然、刈り込まれた、自然とは名ばかりの、冷たく乙に澄ました他人行儀な植木じゃないか。
小奇麗で洒落たショーウインドー? 聳え建つ高層ビル群? 高速道路とモノレールと地下鉄と運河の立体交差する湾岸の眺望? 瀟洒な豪邸の居並ぶ高級住宅街? 昔ながらの佇まいを残す古びた住宅街?
最近のコメント